16人の専門家が選ぶ「最高の軍人」たち(6~43位)
6位の樋口季一郎・陸軍中将、7位の木村昌福・海軍中将は共同してアッツ島玉砕で孤立したキスカ島の撤退作戦にあたり、米軍の艦船が包囲するなか、キスカ島守備隊約5200人全員の救出に成功した。樋口はハルピンの陸軍特務機関長時代には、ドイツの迫害からシベリア鉄道を使って満州国境に逃げてきたユダヤ人の脱出に協力したことでも知られる(オトポール事件)。
『キスカ撤退の指揮官』の著者でノンフィクションライターの将口泰浩氏が語る。
「木村は『一兵たりとも残さない』を合い言葉に、味方の兵力を失わずにいかに敵に損害を与えるかが兵法の極意だと説いた。樋口は木村からの『救出艦乗船時における三八式歩兵銃の放棄』という異例の要請を独断で受け入れた。ナチスから逃れてきたユダヤ人難民も救った。いずれも戦果ではなく、人命救助で名を残した稀有な軍人です」
【選者一覧(敬称略、五十音順):家村和幸(兵法研究家)、石津朋之(防衛省防衛研究所戦史研究センター・主任研究官)、井上和彦(軍事ジャーナリスト)、井上寿一(政治・歴史学者)、潮匡人(軍事ジャーナリスト)、菊池雅之(軍事フォトジャーナリスト)、清谷信一(軍事ジャーナリスト)、黒井文太郎(軍事ジャーナリスト)、倉山満(憲政史研究家)、纐纈厚(歴史学者)、将口泰浩(ノンフィクションライター)、田原総一朗(ジャーナリスト)、福井雄三(東京国際大学特命教授)、福山隆(元陸将)、矢野義昭(軍事アナリスト)、山口昇(元陸将)】
※週刊ポスト2026年1月2・9日号
