高市首相の台湾有事答弁以降、様々な方面に影響が出ている(時事通信フォト)
2025年に日本を訪れた外国人旅行者数が3900万人を突破し、過去最多だった昨年を上回った一方で、日中関係の冷え込みが観光業に影を落としているのではないかと危ぶまれている。もっぱら訪日中国人向けにビジネス展開してきた人たち、とくに在日中国人たちのビジネスが不調と伝えられているが、本当はどうなのだろうか。ライターの宮添優氏がレポートする。
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いわゆる「台湾有事」に関する高市早苗首相の発言をきっかけに激怒したという中国政府は、政治だけでなく人的交流の面でも揺さぶりをかける発信を繰り返している。
「中国人がトラブルに巻き込まれている」などと理由をつけて、中国政府は自国民に日本への渡航自粛を呼びかけた。つい先日は、北海道・東北沖で発生した地震と、その後に発令された「地震注意情報」を理由に日本への渡航自粛を呼びかけた。対中国にまつわる騒動を取材するキー局国際部記者がいう。
「日本在住もしくは滞在する中国人が、日本人からヘイトクライムを受けたなどの事例はほぼゼロ。にもかかわらず、中国側は嫌がらせのように日本への渡航自粛を繰り返し呼び掛けている。実際に日本で起きたのは、中国人同士のトラブルばかりなんですが、中国のSNSではそれすら、中国人が日本人にやられている、などとねじ曲がって伝わっているのです」(キー局国際部記者)
インバウンド客に頼らざるを得ない日本国内の観光地から中国人が一斉にいなくなってしまうのではないか、さらに、日本国内の高級不動産を買い漁った中国人富豪たちが、日中関係の悪化を理由に不動産を売却することで、不動産が一気に値下がりしてしまうのではないか、一部マスコミではそんな懸念が報じられているが──。京都府内の土産店店主は涼しい顔でこう述べる。
「ああ、全然気がつきまへんでしたね。確かに中国の方は(騒動以来)減った気がしますね。でも、ほかの外国の方や、日本人の方もぎょうさん来てくれはりますから、商売にはほとんど影響出てませんね」(京都の土産店店主)
また、以前は土産品や転売目的の中国人で溢れかえっていたという東京都内にあるドラッグストアの店員も、最近では中国人観光客が目に見えて減った、と言う。
「中国の方は話し方とか声量でわかりやすいのですが、この数週間ほど、確かにあまりみかけなくなりました。しかし、ほかのアジアの国やヨーロッパからのお客さんも多く、売り上げにダメージが出るようなことはありません。”爆買い”する中国人観光客も、ここの所はほとんどいらっしゃらなかった」(ドラッグストア店員)
