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《国旗損壊罪》「バツを書いた日の丸を“国旗冒涜”と罪に問うのは不適切」前外相・岩屋毅氏が15歳中学生記者に明かした“表現の自由”のボーダーライン

中学生記者の川中だいじさんが岩屋毅氏と対談

中学生記者の川中だいじさんが岩屋毅氏と対談

 大阪府に住む中学3年生の川中だいじさん(15)は自他ともに認める“政治マニア”だ。小3で選挙や政治に興味を持ち、中1のとき「日本中学生新聞」を創刊。現在はSNSでの発信に加え、石破前首相や岸田元首相を直撃するなど、大人顔負けの行動力と質問力で注目を集めている。

 そんな川中さんが「ぜひ話を聞きたい」と自ら取材企画書を送ったのは、自由民主党の岩屋毅前外相(68)だ。SNSで謂れのない誹謗中傷を受けている同氏を見て「直接、話を聞き、本人の本当の思いを発信したい」と思ったことから、対談を申し込んだ。

 依頼を快諾した岩屋氏との対談は、時事問題に真正面から切り込む内容になった。話題の法案「国旗損壊罪」と「スパイ防止法」について11月下旬、岩屋氏の考えを聞いた。【全4回の第1回】

「『高市さん』という固有名詞は関係ない」

川中:国旗損壊罪が話題ですが、岩屋さんはどうお考えですか。

岩屋:大前提として、国旗と国歌が尊重されるべきことは当然です。そして今の刑法には「外国国章損壊罪」があるけれど、日本で外国の国旗が壊されたり燃やされたりすると、外交関係に影響を及ぼしかねないからね。この法律は、外交関係に配慮する意図であえて設けられたものだと思います。

 一方でわが国の国旗について考えると、「日の丸は十分に尊重されるべきもの」という認識は、国民に広く共有されていますよね。過去の事例を調べても、国内で日の丸が損壊されたのは沖縄の事案(編集部註:1987年の沖縄国体日の丸焼却事件)ぐらいだったと思う。他国の国旗では、中華人民共和国のものが一度、損壊されたことがありました。

 では最近、日の丸が焼かれたり壊されたりする事案がニュースなどで日常的に報道されているでしょうか。決してそんなことはないですよね。だから、法律用語では「立法事実」というけれど、そもそも法律をつくらねばならない事実がない。それなら国旗損壊罪を設ける必要もない、というのが私の考え方です。

川中:高市首相は民主党政権のときに、「国旗損壊罪を党内審査にかけたところ、岩屋さんひとりが反対したので国会に提出できなかった。それが国会議員生活の中で唯一の恨みだ」と話しています。

岩屋:「高市さん」という固有名詞は関係ないのですよ(笑) 。私は高市さんに反対したわけじゃなく、その法律案に意見を述べただけだから。あのときも「立法の必要性はないのでは」と言ったと思うし、今も同じ考えです。あと補足しておきますが、その会議で私以外にも「本当に国旗損壊罪が必要か」と発言した方がいたと思いますよ。

川中:高市首相は一貫して「諸外国では自国の国旗を傷つけた場合、他国の国旗を傷つけるよりも刑罰が重い。一方、日本は自国の国旗を傷つけたときに何の規定もなく、バランスを欠いている。だから国旗損壊罪を設けるべきだ」と主張しています。これについてはどうお考えでしょうか。

岩屋:今の刑法では、他人が所有する日の丸を損壊したら器物損壊罪になります。これは外国国章損壊罪よりも重い罰が設定されているので、法的にはカバーされていると思います。

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