警察庁が作成した悪質ホストクラブ問題への注意喚起ポスター
「ほかの店と違うなと思ったのは、働く女性に、法律では禁止されているサービスを積極的に行えという、店長からの直接の指示が出たことです」(元性風俗店従業員の女性)
日本国内では、それがたとえ性風俗店であっても、いわゆる”本番行為”を行うことは、法律によって禁じられている。当然、そうしたサービスを提供していれば、うわさなどから警察、司法当局に目を付けられ、検挙されてしまうリスクがある。
しかし、女性が働いていた店では、例えば、誰もが閲覧できてしまうネットの専門情報サイト上において”違法サービス可能”をにおわせるような発信を求められたという。
「そのサイトは、店で働いている女の子が男性客向けの日記を公開しています。そこでも、違法サービスができるように匂わせろ、リピート客を作れ、と指示がある。逮捕されるのは嫌だなあと思いつつ、私自身、ホストの売掛でパンク(※破綻)してこの業界に身を投じたので、とにかく借金を返すため、違法サービスに明け暮れました」(元性風俗店従業員の女性)
女性が、危険が大きくなったと察知して業界から足を洗う寸前には、店長からさらなる「指示」があったという。
「プレイを動画に撮ることができる、というサービスが追加され、働く女の子たちにはこのオプションを取ってくるよう言われました。私の顔まで撮られてしまうので嫌でしたが、担当のスカウトに話すと”儲かるならやるべき”といわれ、渋々受け入れました」(元性風俗店従業員の女性)
担当のスカウトとは、彼女に風俗の仕事を斡旋している人物のことだ。一般的な派遣会社の社員のように「担当」として、借金返済プランも含めた仕事の相談もうけ、もっと稼ぎたいなどの希望にあわせて、地方へ短期集中して働ける店を紹介するなどの便宜をはかったりする。彼女にとっては、この仕事の指南役とも言える人なので、逮捕される危険を冒してまでやることはないと言ってもらえるのではと、内心で期待していたのかもしれない。ところが、金を稼ぐことに勝るものはないという答えが返ってきてしまったのだ。
彼女が働いていた店が特殊だったのではない。事実、風俗系のウェブサイトを覗くと、確かに「撮影可能」オプションを謳う店舗は、各地方ごとにいくつか存在する。口コミなどを見る限り、それもなかなかの繁盛店のようだ。
