三遊亭好楽さん(79)は『笑点』などで活躍中
好楽:お客さんファーストですから。
満堂:ある打ち上げで、師匠の隣についたコンパニオンの女性のかたの態度が失礼で。彼女がトイレに立ったすきにつかまえて、注意して離れてもらったんです。師匠は絶対見てないと思ったら、見てたんですね。打ち上げの後、師匠が『あんなふうに怒ったらさ、おまえが損だよ。ニコニコ笑顔でいれば、主催者もあの子たちも楽しく帰ってくれたんだから』って。本当に優しい方なんです。
好楽:アタシはね、その場の空気が曇ってるのが嫌いなんですよ。だから、みんなでお酒飲んでいるときは、みんなが楽しく笑ってなきゃイヤ。誰か1人だけションボリしたりしてると、すごく気になっちゃうんです。
──もともとあまり怒らない、温厚な性格だったのですか。
好楽:いや、中学まではよく怒る“怒り屋”さんでした。怖かった、って言われるぐらい。すごい短気で。それが高校に入ったら、なぜか全然怒らなくなった。自分でも不思議なんですけどね。中学までで一生分怒っちゃったのかな。
満堂:怒っているところを、僕は見たことがないです。
好楽:10年にいっぺんくらい、『絶対許さない!』というくらい激怒することがありますよ。たとえば以前、ウチの事務所の社長が、アタシと楽太郎(6代目円楽)のマネージャーを募集して若い子を採用したの。ところが、2、3カ月で辞めさせたんです。あんときは怒ったね。『そんな他人様のお子さんを、ゴミを捨てるように辞めさせるなんて、人間らしくないよ』って。怒ると怖いんです(笑)。
──いつもニコニコしている好楽さんからは想像しにくいです。では、好楽さんが2025年悲しかったことは何でしょうか。
好楽:お金を入れた封筒を落としたこと。かみさんは5年前に亡くなったんで、アタシは今、この家に孫と住んでるんですが、『これつかってね!』と大きく書いた封筒に18万円を入れて家ン中に置いといたんです。電気代とかの支払いに使えるように。
ある日、そこからちょっと借りようと思って、馬券を買いに封筒を持って家を出たら、どこかに落としちゃった。拾った人は『これつかってね!』って書いてあるんだから、心置きなく使ったと思うんだよね。それが一番悲しかった(笑)
寄席を見ているような2人の掛け合いからは、厚い信頼で結ばれた師弟関係が垣間見れた──。
取材・文/中野裕子(ジャーナリスト)
