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あえて問う「日本の核保有」シミュレーション

《あえて問う「核保有シミュレーション」国際世論の問題》NPTに加盟する日本は基本的に保有できず 脱退して自主開発に乗り出せば、米国から「ならず者国家」視されるリスク

核保有を国際世論の課題などからも考える(トランプ大統領。写真/EPA=時事)

核保有を国際世論の課題などからも考える(トランプ大統領。写真/EPA=時事)

 日本を取り巻く国際情勢が大きく揺れ動くなか、新しい年を迎えた。年の瀬には官邸幹部のオフレコでの「核保有」発言が大きな波紋を広げ、新聞・テレビは批判キャンペーンを展開した。だが、核保有の是非について、具体的に“議論”することすら封殺される状況に問題はないのか。新聞・テレビがタブー視する議論に、あえて正面から挑んだ。【全3回の第3回】

提起されるたび政争の具に

 高市早苗・首相に安全保障政策をアドバイスする官邸幹部が記者団とのオフレコ取材で「私は核を持つべきだと思っている」と発言したことが物議を醸したが、実は、日本政府は核保有について具体的に検討したことがある。

 北朝鮮が近く核実験を行なうとの懸念が国際社会で強まっていた2006年9月20日、政府は密かに「核兵器の国産可能性について」という内部文書をまとめた。発覚したのは産経新聞のスクープ(同年12月)だった。

 文書には原材料の入手可能性から、プルトニウムを効率よく作るための黒鉛減速炉の新設、再処理工場の必要性、弾頭化の可能性などが検討され、こう結論づけられていた。

〈法令や条約上の制約がないと仮定しても、現在国内にある核関連施設や核燃料などを使って1~2年以内に核兵器を国産化することは不可能である。小型弾頭を試作するまでに最低でも3~5年、2000億~3000億円の予算と技術者数百人の動員が必要。核実験せずに開発すれば期間と費用はさらに増える〉(産経新聞2006年12月25日付)

 この文書が作成されたのは小泉内閣から安倍内閣に交代する直前のタイミング。第1次安倍政権が発足(同年9月26日)し、北朝鮮が1回目の核実験(同年10月9日)を実施したのをきっかけに自民党から核保有に関する発言が相次いだ。

 中川昭一・自民党政調会長がテレビ討論番組で「選択肢として核(保有)ということも議論としてある。議論は大いにしないと」と発言。麻生太郎・外相も国会で「だんだんだんだん隣がみんな持っていく時に、日本だけ何の検討もされていないというのはいかがなものか」と答弁したが、この時も新聞・テレビや野党の批判にさらされた。

 その後も、ロシアのウクライナ侵攻後に安倍晋三・元首相が「核共有(※核保有国が核兵器を同盟国に配備して平時は管理しつつ、有事に同盟国が運用に関与する制度)」について発言するなど、日本の核保有の議論が提起されるたびに「非核三原則に反する」などとメディアから激しい批判が起こり、政争の具となって議論は深まらない。

 核保有の是非を議論する場合、技術的可能性、安全保障戦略上の必要性、法改正や国民の負担といった政治コスト面など様々な論点があり得るが、議論に進む前にメディアが批判して議論が封じられてしまうのだ。

 元陸上自衛隊幹部学校の防衛法制教官で安全保障法制が専門の佐藤庫八・千葉科学大学危機管理学部特担教授(元陸自一佐)が語る。

「ただ核廃絶を叫ぶだけでは国民を守ることはできません。すべての選択肢を挙げたうえでのタブーなき国民的議論が必要ではないか」

 本誌・週刊ポストは「ニッポンは核保有できるのか」を徹底シミュレーション、今回は国際世論や国家戦略上の課題やハードルを整理した。

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