日本を取り囲む各国の核保有の状況
米国には「日本の核保有は認めない」との意見は多いが、一方で「東アジアの安全保障維持に疲弊している米国内には、日本の核保有を容認して米国の負担を軽減してもいいのではないかという意見は必ずしも少なくない」(核兵器専門家)との見方もある。
歴代米政権の外交アドバイザーを務めたヘンリー・キッシンジャー元国務長官は、亡くなる半年前の2023年の英誌「エコノミスト」のインタビューで、「日本は今後5年間のうちに、核保有国に向かっていく明確な見通しを持っている」と予測した。佐藤氏はこう言う。
「日本の核保有の方法には、インドやパキスタンのように密かに開発して成功させるか、NPTを脱退せずに、国際社会の理解を得たうえで、米国から移譲を受けるという方法も考えられる。そうして核保有の是非を真剣に議論するだけでも、周辺国への抑止力になるという効果もあると考えています」
核保有を具体的にシミュレーションしていくと、意外なほどに容易に進められる部分もあれば、高い壁として残るポイントもあることがわかる。単に「核を持つべきだ」と言い放つのは短絡的だし、それを「ダメに決まっているだろう」と批判するだけなのも現実を直視しているとは言えない。
もちろん、唯一の被爆国たる日本が、核を持たずに戦後80年の平和を築き上げてきた歴史は重い。核を持たないという選択を国家として“選び直す”としても、タブー視せずこうした議論を積み重ねるべきではないのか。
(第1回から読む)
※週刊ポスト2026年1月16・23日号
