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犬丸幸平氏『最後の皇帝と謎解きを』インタビュー「環境や時代のせいで問題が複雑になっても、お互いを思う気持ちは何かしら育てられる」

犬丸幸平氏が新作について語る(撮影/国府田利光)

犬丸幸平氏が新作について語る(撮影/国府田利光)

 清朝最後の皇帝、宣統帝愛新覚羅溥儀が、1912年の中華民国建国で廃帝となり、1917年の張勲の復辟で皇帝に返り咲くも、わずか12日間でクーデターは失敗。そんなさなかの1920年、当時15歳の溥儀に水墨画を教える帝師に採用された、東京府生まれ、大連育ちの18歳〈一条剛〉が、犬丸幸平氏の『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作『最後の皇帝と謎解きを』では主人公兼探偵役を務める。

 舞台はもちろん紫禁城。民国政府は廃帝後も溥儀に一定の歳費を与え、財産の維持管理を名目に宦官らと住まわせていたが、ある時、〈李宝徳〉という老宦官に請われ、初めて城を訪れた剛に、溥儀は会うなりこう命じるのだ。〈紫禁城には、数多くの美術品が眠っている〉〈それらの贋作を作成してもらいたい〉〈朕は、もう一度復辟して、皇帝に返り咲きたいのだ。そのための資金を、紫禁城内の美術品を売り払って調達する〉と。

 こうして元家政婦で母親代わりの〈李太太〉と暮らす胡同の家から城に通い、書画を教えるふりをしつつ本物を模写し、すり替える秘密の計画が始まるのだが、その間にも黄金の甍を戴くこの聖なる空間では不穏な事件が続発するのだった。

「元々は満洲国を舞台にした小説を書こうとしていて、ひとつ手前の清朝についても学ぶ中で、浅田次郎先生の『蒼穹の昴』や映画『ラストエンペラー』と出会い、魂を揺さぶられるほど感動してしまったんです。

 それで紫禁城を舞台にした小説に挑戦してみようと方向転換したわけですが、『蒼穹の昴』でいえば僕らには想像もできないような環境に育ち、宦官になって自ら未来を切り開いてきた春児が蒼穹の昴の意味するところを知る場面ですとか、『ラストエンペラー』での溥儀と英語教師のジョンストンの関係性ですとか……、あ、ごめんなさい。今思い出してもグッときちゃって。

 とにかく国も年齢も全然違う2人の関係が美しくて、スコットランド人のジョンストンが友人になれるなら、日本人だってなれるかもしれないと閃き、剛が溥儀の隣で様々な事件を解決するこの設定が生まれました」

 奇しくも『名探偵コナン』連載開始年の1994年生まれ。「特典の『名探偵図鑑』に御手洗潔とあるのを見て、島田荘司先生の『占星術殺人事件』を図書館で借りて読んだのが、推理小説好きになるきっかけでした」

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