国枝栄調教師が「ディープ産駒」の思い出を振り返る
1978年に調教助手として競馬界に入り、1989年に調教師免許を取得。以来、アパパネ、アーモンドアイという2頭の牝馬三冠を育てた現役最多勝調教師・国枝栄氏が、2026年2月いっぱいで引退する。国枝調教師が華やかで波乱に満ちた48年の競馬人生を振り返りつつ、サラブレッドという動物の魅力を綴るコラム連載「人間万事塞翁が競馬」から、ダービーの夢を何度も見させてくれた“ディープインパクト産駒”についてお届けする。
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ディープインパクト2年目の産駒ベストディールは札幌で新馬勝ち、年明け2012年1月にGIII京成杯を勝ってデビューから4戦3勝、「これでクラシックを狙えるぞ!」と意気込んだが、どうしてだかそのレース後からトモの弾みがなくなってしまった。皐月賞もダービーも回避、その後1勝もできなかった。
3年目の産駒カミノタサハラも新馬、特別と勝ってGII弥生賞ではエピファネイアやキズナに勝ってクラシックの権利を獲得。体が大きかったので器用さが必要な中山より東京ならと思っていたが皐月賞でも4着に健闘、「ダービーならもっと走るぞ!」と思ったが、このレース後に屈腱炎が判明して引退。この世代はヒラボクディープがダービートライアルの青葉賞を勝ったけれど本番では13着だった。
次にクラシックを意識させてくれたのは2016年のプロディガルサン。前年皐月賞と菊花賞で2着、ダービーでも4着だったリアルスティールの全弟。見た感じではこちらのほうがずっといい馬だったので「これでついにクラシックを獲れる!」と意気込んだ。新馬、オープン特別と連勝、東京スポーツ杯でも2着に入って賞金を積み上げたが、メンタルが弱くてダービーでは10着。その後オープンまで出世したけど1勝のみ。レースでハナに立つと気を抜いてしまったり、最後の勝負所で頑張りがきかなかったりで2着が8回もあった。
サトノフラッグはセレクトセールで見た時から体にハリがあっていい馬だと思った。デビュー2戦目から連勝し、2020年から「ディープインパクト記念」という冠がついた弥生賞を勝って4戦3勝。里見治オーナーともども「今度こそクラシックだ!」と息巻いたけど、三冠馬コントレイルにはかなわなかった。
