“不透明な理由”で和解が遅々として進まない現状だ(写真/PIXTA)
明日生きられるかわからない
和解給付金は症状に応じて金額が変わるが、和解は症状別に分けられるわけではなく、症状のない無症候性キャリアでも、重度の肝硬変や肝がんでも、和解にかかる時間は同じで、提訴した順に“裁かれる”。Aさんはそこにも疑問を訴える。
「病気に優先順位をつけることが正しいとは思いませんが、明日生きられるかわからない人と、症状がない人を同じシステムで審査することに失望を感じます。
集団予防接種での注射器使い回しという、明らかな国の衛生管理による不備で病気になり命を脅かされているのに、1年も2年も和解に時間がかかるのはどう考えても間違った制度ではないでしょうか」(Aさん)
たしかに、被害者救済を目的とした制度であるにもかかわらず“不透明な理由”で和解が遅々として進まない現状は“命を軽視”しているといっても過言ではない。前出の経済ジャーナリストが言う。
「和解訴訟は厚労省が資料の確認などを行い、法務局が事務手続きを担当しています。厚労省での審査はすでに終わっているにもかかわらず、法務省のところで止まっているのは、被害者にとってあまりにずさんな対応です。コロナ禍のときも、“人員不足”を理由に件数が落ち込んだこともありましたが、今回は明確な理由の説明すらありません。
被害者救済金の予算は年単位で確保されていますが、今年度はこのままでいくと大幅に残ってしまう。予算を余らせて次年度以降、減らしていくための準備なのかと思ってしまうほどありえないことが起きているのです」
B型肝炎訴訟の基本合意書において、国は「適正・迅速に和解手続きが進行できるよう努力する」と約束した。しかし、これが本当に適正で迅速な手続きといえるだろうか。
※女性セブン2026年2月5日号
