物品の真贋の検証のため、複数の関連商品を購入(筆者提供)
私的な手紙や個人の記録である手帳などが「戦争犯罪の証拠」として売り出されていることについて、正字・歴史学者の井上寿一・学習院大学教授はこう指摘する。
「そもそも戦争犯罪とは民間人や捕虜への殺人・拷問、毒ガスの使用といった国際法や条約に反する行為を指します。戦時中の個人の手紙や印鑑証明など、今回のどの資料を見ても、そうした行為に関係する内容が書かれているとは思えない。出品者がどこまで意図してやっているかは判然としないが、誤った定義づけのされた物品が出回り、旧日本軍による戦争犯罪の証拠とは言いがたいのに、戦争犯罪の証拠のように受け取られているとすれば、それらの資料が本当はどのようなものなのか、わかってもらう必要があるでしょう」
反日愛国スローガンを叫ぶ配信者たちが証拠とも言えないものを証拠としているのだとすれば、日中関係に暗い影を落とすことになりかねない。
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【プロフィール】
廣瀬大介(ひろせ・だいすけ)/1986年生まれ、東京都出身。フリーライター。明治大学を卒業後、中国の重慶大学に留学。メディア論を学び2012年帰国。フリーランスとして週刊誌やウェブメディアで中国の社会問題や在日中国人の実態などについて情報を発信している。
※週刊ポスト2026年2月6・13日号
