落合信彦氏のメッセージは若者に勇気を与えた(モスクワ・赤の広場にて)
国際ジャーナリストで作家の落合信彦(おちあい・のぶひこ)氏が2月1日、老衰のため東京都内の病院で亡くなった。84歳だった。落合氏は、長年の取材から世界情勢を見通す鋭い分析眼とともに、若者への強いメッセージを発信していたことでも広く支持されていた。【前後編の後編。前編から読む】
「牙を磨け、群れるな」「孤独を恐れるな」
『狼たちへの伝言』をはじめとする落合氏の著作では、たびたびそうしたメッセージがつづられていた。氏がジャーナリストとしてだけでなく、一人の思想家として若者から絶大な支持を得たのは、彼が「生き方のプロフェッショナル」だったからに他ならない。
数々の著作を通じて、日本の若者たちに送り続けたメッセージは、一貫して「個の自立」であった。
〈どんな人生を行きたいのか、まず決めろ〉
〈他人と競争するのではない。自分自身と競争するのだ〉
〈つまらない知り合いをつくるくらいなら一人のほうがよい〉
〈人と違うことを恐れるな〉
落合氏の代表作のひとつ、『命の使い方』(1997年、小学館刊)では、そんなメッセージが綴られていた。
バブルの喧騒や、その後の長い低迷期においても、落合氏の言葉は常に「甘え」を許さなかった。
2005年の著書『成功本能を解き放て』では、こう綴っている。
〈ピンチとかきついとか思っていたことが実はチャンスだったりする〉
〈自分と向き合い、夢や目的を問い返せばきっと視界は開けてくる〉
落合氏の言葉に、どれほどの若者が背中を押されただろうか。
組織に安住し、横並びの安心感に浸る日本人に対し、彼は「一匹の『狼』として生きる覚悟」を持つべきだと発信していた。
落合氏は「情報」の重要性についても若者に説いていた。現代のようなネット社会になる以前から、「情報の背景にある意図を読み取れ」「マスコミに踊らされるな」と主張し続けた。
