「ベッド」での思い出について語った渡邊渚さん
桃太郎の物語をアレンジして作った“エコロジー桃太郎”の話
小学校低学年頃まで、毎晩寝る前、ベッドに入って、母から読み聞かせをたくさんしてもらった。母は教育熱心なタイプで、私がまだ幼稚園児だったころから古典文学を暗唱させるなど、国語教育には力を入れていた。
母は心温まる本や適齢の本も読んでくれたが、少し難しい本も選んでいた。例えば、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』。朗読を聴きながら瞼を閉じると、自然と星が浮かんできた。場面が想像しやすい文章だった。当時、未就学児だった私には内容がまだ難しく、途中で理解を諦めて眠ってしまうことが多々あった。母としては、子どもたちがすぐ寝てくれるありがたい本だったのだろうなと今では思う。
母の徹底的な国語教育のおかげか、私はおしゃべり好きな子どもになった。そして、いつしか、寝る前の読み聞かせは、母に読み聞かせてもらうのではなく、創作ストーリーを母に読み聞かせるものに変わっていった。読み聞かせするのは、母ではなく子、という独特なものになった。
読み聞かせをする側になった私は、最初は有名な童話をアレンジしたストーリーをつくった。そこからアレンジが進み、もはや元の原型を留めないオリジナルストーリーが出来上がった。
その一つが、冒頭に出てきた“エコロジー桃太郎”だ。読み聞かせのベッドで寝転がる時間に生み出された、今でも渡邊家の、伝説に残るお話。
内容は、桃から生まれた桃太郎が、生まれながらにエコの精神が強くて、あらゆるものをリデュース・リユース・リサイクルしながら、仲間を増やし、ゴミや環境汚染などの社会問題に立ち向かっていくというお話し。
あの桃太郎が、自分が出てきた桃をこのまま捨てたらもったいないからと再利用するところから始まり、“鬼退治”ではなく“ゴミ退治”をしていく、とんちきストーリー。これが大枠で、横道にそれた細々とした笑いをいかに作るかが毎晩の楽しみだった。
改めてこうして文章にしてみると、それほど面白そうには思えないのだが、子どもの笑いのツボはわからないもので、毎晩腹筋がつりそうになるくらい笑った。話を作るために頭をフル回転させているから、脳が活性化されて、全く眠れなかったのもいい思い出だ(母からしたら、眠らなくなって大変だっただろうけど)。エコロジー桃太郎は一晩では終わらない、長編大作になった。
