ラジオでは伝わる人柄の良さ(イラスト/佐野文二郎)
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、90歳でいまも現役の毒蝮三太夫についてお届けする。
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東京者にとって、ラジオ大好き人にとって、オールドメディアと言われる方達にとって嬉しい本が出た。まさに江戸っ子と東京っ子の語り合い、いじりあい。『愛し、愛され。毒蝮三太夫・玉袋筋太郎』(KADOKAWA)である。互いに筋金入りの東京っ子。日芸の先輩でもある蝮さんはたしか浅草は竜泉育ち、片や玉袋は根っからの新宿っ子。渋谷生まれの私とは昔っからふたりとも気が合う。
盟友立川談志から『笑点』の本番中いきなりこの名に改名しろと言われてびっくりの石井伊吉(ウルトラ警備隊である)。テレビを見ていた青年の私もおどろいた。芸能界最強の名前誕生である。それから何年も何年もして師・ビートたけしから玉袋と名付けられた赤江君、袋が縮みあがる程おどろいた。NHKなど出られるはずもない芸名誕生に横で見ていた私は「タケちゃん、ナイス」とガッツポーズ。
生きていれば談志生誕90周年である。同い年だから蝮先輩も今年の3月で90歳。今でも現役、ラジオで「ババァ死ぬの忘れたのか」なんてやっている。コンプライアンスのこの時代に素晴らしい。それもこれも喋り手のキャラクター、人柄、人間の良さがラジオは伝わってくるから大丈夫なのだ(私もそうだが)。私の名言に「鶏は鶏ガラ、人は人ガラ(柄)」というのがある。
蝮先輩も大忙しで本が出たら今度はライブで「立川談志 生誕90年記念 談志ザ・ムービー特別編~伝説の『芝浜2007』~」。ミューズが降りてきたと当人も言っていたあの時の映像をみんなで見る。松岡慎太郎(息子)の企画でトークが毒蝮三太夫、高田文夫、松岡ゆみこ(娘)。演芸が松元ヒロ、談吉改メ立川談寛らしい。3月7日(土)13時、有楽町よみうりホール。90になってもこうやって元気にやってるのが嬉しい。
そこで調べてみた。今年中に90歳になる人。横尾忠則(連載までやってる)、戸田奈津子(同時通訳してほしい)、北島三郎(御大、スタートは渋谷の流し)、里見浩太朗(最後のチャンバラスター)。
では1歳上、90歳の人。美輪明宏(『ヨイトマケの唄』、子供の頃ずっと“酔うと負け”だと思ってた)、浜木綿子(ずっと“もめんこ”かと思ってた)、八名信夫(東映フライヤーズの選手時代から知っている)。91歳は倉本聰(『北の国から』。私は、“南の国から”というコントを書いた事がある)、田原総一朗(もう朝まではやれないのか)。
そして92歳は黒柳徹子、オノ・ヨーコ、高木ブー、若尾文子。93が渡辺貞夫、小林信彦、五木寛之、岸恵子、広岡達朗。我らが野末陳平が94歳、山田洋次も94歳。みんな凄い。脱帽。
※週刊ポスト2026年2月20日号
