STAP細胞一覧/3ページ
【STAP細胞】に関するニュースを集めたページです。

石田衣良氏 「ベタな物語」「見せかけの賢さ競争」に苦言
「NEWSポストセブン」恒例の直木賞作家・石田衣良氏の年頭インタビューをお届けする。2014年、日本人はわかりやすい物語に振り回された。(取材・文=フリーライター・神田憲行) * * * 去年1年間のニュースを見ていて感じるのは、今の日本人がベタなわかりやすい物語を惹きつけられやすいということです。 ゴーラストライター疑惑の佐村河内問題もSTAP細胞騒動も、根は一緒だと思いません? みんなが受け入れやすいベタなストーリーを作って押し出されると、欺されたい気持ちがずっとあるんですよね。アベノミクスだって、そのベタなストーリー提供が巧かったんだなと気がする。ベッタベタなものがいま来ているな。 僕が仕事をしている小説の世界でも最近、嘘くさいなと感じます。物語の中心が道徳の話なんですよね。国のために死ぬとか、親子の情とか、警察ものでも銀行ものでも、組織の中で正義を貫くみたいな話じゃないですか。反道徳的な小説も、結局は道徳に絡め取られているわけですから。恋愛小説は不幸ばかりで鬱陶しいなというのもあるし。 なーんか嘘くさくて、そういうものを信じていない僕は体質的に全く受け付けなくなりましたね。1ページたりとも読めない。だから逃げ場はファンタジーかSFばかりになるんですけれどね。道徳と切れた非・道徳的な小説ができないかと考えています。 そしてベタなストーリーが偽物だとわかると、手のひら返しでバッシングが始まる。相変わらずそこはなかなか成熟しないものだなあ、底が浅い。 不正経理の記者会見で号泣した県議さんがいましたけれど、あの人も自分が作った物語にいっぱいいっぱいになって、それを突かれたから号泣した。落ち着いて自分のことが信じられないんですね。最近ああいう人が増えてきているかもしれない、終電で駅員を殴るサラリーマンとかさ。ふだんから何かに堪えに堪えていたロープがブツンと切れると、逆上してギャアーとなる。 日本人全体の中で堪えて頑張る力というのがだんだん弱くなってきている気がするんですよね。アメリカの日系移民の歴史を見ると、最初の世代は死ぬほど頑張って、それが次の世代に引き継がれていくうちに徐々に生活レベルが上昇していく。だから今の日系人はわりと豊な地位にありますよね。 今はそれが無くなって、庶民が次々と切れてこぼれていく。しかも坂道が急になっているので、しがみつかないと転げ落ちてしまう。ものすごく心配です。 ネットの世界ですごく人の関係が切れやすくなっていると感じませんか。ネットは、ある漫画が好きとか小説が好きですぐ近くなれるのに、家族の間では会話が少なくなるという不思議な個を浮かび上がらせる力がある。人間を落っことして分断させる力があると思います。 これは西洋の文明全般にある指向性、思想なんですよね。極端にいえばこの世界は全部神様から人間が預かったものだから、どのように自然を使ってもいいとか、自然現象をどんどん細かくわけていって、分析してそれぞれ対処法を組み合わせて使っていくという考え方なんでね。それが人間に対してだと独創性とか個の違いにつながるんですが、なにか行きすぎている感じがします。 みんな不安なんですよね。SNSなんか見ていると、みんなハイセンス競争とか賢さ競争をやってどんどん孤立していっている。しかも言葉は激しくなるのにその孤独感は癒されないという恐ろしいところにいってますよね。賢さ競争、ハイセンス競争、お金持ちの振り競争から降りると本当に楽になると思うんだけれどなあ。消費の傾向も、これを持っている自分はスマートなのである、賢いのであるというものが売れるので、意外と値段とかブランドではない。 見せかけの賢さ競争をやっているから、自分が思っていることを口に出しにくい雰囲気も生まれている。 たとえば僕は原子力発電所の再稼働はそれほど問題なのかなあと思うんですよね。去年、いろんな天災やデング熱の流行とかありましたけれど、根っこは地球温暖化の問題ですよね。二酸化炭素対策を考えたときに、化石燃料にどこまで頼るべきなのか。それを考えたとき、僕は原発は整備して、機械を入れかえて再稼働もやむを得ない派になるんです。 ただこういうこと書いたり喋るとすぐ東京電力が来るからなあ。いや実際に東電から「うちの原発を見に来ませんか」って、依頼が来たんですよ(笑) ギャラは「要相談」て書いてあった(笑) でも僕は原発はやむを得ない派にしても東電を是認しているわけではないですから、そういう仕事は受けないですけれどね。 あと去年大きなニュースは、朝日新聞の「吉田調書」と「従軍慰安婦報道」ですか。吉田調書は別にして、従軍慰安婦は僕は別に大きな問題だと思わないんですよ。軍の強制はなかったとしても慰安婦という存在はあったわけで、海外の関心もそこです。どんな報道にも誤報もバイアスもあるんだから、朝日新聞の反応がナイーブ過ぎるというか、インテリの弱さみたいなのを感じました。海外からみて、日本のメディアの内輪喧嘩にしかみえないと思う。だって朝日新聞なんて世界で高い評価を受けているメディアというわけじゃないから。 日本人が忘れてはならないのが、日本人の戦死者が300万人で中国の戦死者が1000万人、仮に話半分だとしても、日本人がひとり死ぬ間に中国では2人ずつ殺してきたんだよ、ということですね。いまの日中間の問題がどうであれ。 いまの日本人は楽しいもの、快楽を自ら禁じている気がします。セックスレスの多さもそうだし、すぐに自分にツッコミをいれて楽しさみたいなことを壊していく。それなのにいざとなると惹きつけられるのは、親子の情だとか社会正義、主君の義理立てみたいなところでとどまってしまう。で、その物語に傷つけられると逆上する。全員が不安症とか強迫神経症的になっていると思う。その典型が安倍さんだと思う。 今の政権は絶対にヘイトスピーチ対策の法律は作らないですよね。それは安倍さんのフェイスブックのコメントがそちら系の人が多いからというのもあると思うんですが、ああいうものを自分の根本的に肯定する人というのは、政治的に弱い部分を感じる。自分の才能を実際より大きく見せたい、ハリボテ感が半端ない。見られない理想型の道徳を、永遠に繰り返し自分にいい聞かせているという気がします。(談)
2015.01.01 07:00
NEWSポストセブン

STAP細胞存在せず 小保方晴子氏の実家から両親の姿も消える
「生物学の歴史を覆す革命」「人間は神の領域に入った」──世界中の科学者がそう言って驚嘆し、再生医療の発展を待ち望む重病患者たちに生きる希望を与えたあの日々は、一体なんだったのだろうか。 2014年12月19日、理化学研究所は新型の万能細胞といわれる「STAP細胞」について、検証実験の結果、存在が確認できなかったと発表した。実験で試みた細胞塊は1800個にのぼったが、STAP細胞を有するマウスは一匹も作れなかった。 理研の小保方晴子さん(31才)を筆頭著者にした論文が1月に英ネイチャー誌に掲載されて以降、不正が次々に発覚し、4月の会見で「STAP細胞はありま~す」と彼女が宣言したのが今や昔、世界中を巻き込んだ一連の騒動は、これで終焉を迎えたことになる。 心機一転ということか、12月19日にワイドショーの直撃取材を受けた小保方さんは、髪の毛をバッサリ、ショートカットにして登場。すでに同月21日付で理研を退職済みだが、“処分”はまだ終わったわけではない。 理研がSTAP細胞に費やした費用は、今回の再現実験を含めて3500万円にのぼるが、このお金が小保方さんに向いているのだ。「理研は税金で動いている組織ですし、一連の研究費用が公的なもので、かつ小保方さん個人に下りていたものだとしたら、辞めた後であっても、本人に返還請求が行く可能性はありますね」(東京大学医科学研究所の上昌広教授) 無職となった彼女が支払うにはあまりにも巨額で、彼女に安寧の日々が訪れるのは、まだ先のことになりそうだ。さらに、一連の騒動は、小保方さんの家族にも暗い影を落としていた。 東京都内の大学で心理学の教授を務める母親は、この半年間、大学を休むことが増え、「授業は休講ばかりだった」(同大学学生)という。千葉県にある実家も、最近は静まりかえったままである。「不正が発覚してからは、まったくご両親の姿を見なくなりました。いつも雨戸を閉めきったままで…。お父さんが日用品の買い出しなんかをしていた時期もありましたが、最近はまったく見かけません」(近隣住民)※女性セブン2015年1月8・15日号
2014.12.26 07:00
女性セブン

野々村氏、小保方氏他 2014年記者会見の名言・迷言11を回顧
かつてこれほどまでに変な記者会見が連発された年があっただろうか。この中から流行語大賞が選ばれても少しもおかしくないほどの「迷言」が多数飛び出した。手話あり、丸刈りあり、乱闘寸前あり……ある者はひたすら頭を下げ、ある者は開き直る。2014年に印象に残った記者会見と、そこで飛び出した名言・迷言の数々を紹介しよう。■「オゥアゥッウアアアーーーーアン!」「ガエダイ!」 7月、野々村竜太郎・元兵庫県議は300万円以上を支出した政務調査費について釈明会見を開くが、ご覧の通りの有り様で「号泣議員」として歴史に名を残すこととなった。■「STAP細胞はありまぁ~す」 STAP細胞の研究で「リケジョの星」と一躍時の人となった小保方晴子氏だったが、論文の不正疑惑が持ち上がり大騒動に。「200回以上作製に成功」と主張するも検証実験ではいまだ成功していない。■「真犯人は自首してほしい」 3月、PC遠隔操作事件の犯人として拘束されていた片山祐輔被告が保釈されたが、5月に「真犯人」メールの自作自演が発覚し、すべての犯行を認めることに。■「裏付けが不十分だった」「吉田調書」をめぐる報道で、朝日新聞の木村伊量社長らが9月に謝罪。慰安婦報道についても「訂正が遅れた」と詫びた。■「新垣さんを名誉毀損で訴えます」「全ろうの作曲家」として名を馳せた佐村河内守氏は、新垣隆氏がゴーストライターだったとの告発を受けて開かれた3月の会見で新垣氏に逆ギレ。■「早く結婚したほうがいいんじゃないか」 6月、東京都議会で塩村文夏議員が妊娠や出産に対する支援策を質問したところ、「早く結婚しろ」「産めないのか」といったセクハラ野次が飛び、日本だけでなく海外からも大きな非難を浴びた。当初はしらばっくれていた発言者・鈴木章浩都議もとうとう追い詰められて謝罪。会見では正確なヤジの内容を聞かれ、「早く結婚したほうがいいんじゃないか」と認めた。会見前には塩村議員にも頭を下げた。■「酉の市で大きな熊手を買った」 みんなの党の渡辺喜美元代表が、化粧品会社DHCから8億円を借り入れていることが発覚したのは3月。会見で使い途を聞かれ「熊手」の名が飛び出た際には記者から思わず失笑が。■「僕はカメラを盗んでいない」 9月に韓国・仁川で行なわれたアジア大会で、競泳の冨田尚弥選手が韓国記者のカメラを盗んだとして選手団から追放された。11月には弁明会見を開き「やってない」と無罪を主張。■「『キモい』をどう捉えるかという部分になるんですけれど」 中学生をLINEで脅したとして大阪維新の会から除名された山本景大阪府議は、8月に丸刈りで謝罪会見。一方、テレビで自身を「キモい」と発言したテリー伊藤をBPOに申し立て「中学生と公人の『キモい』は違う」と発言。■「イメージはいま最悪だから、これ以上下がることはない」 不倫騒動で1年5か月の間、テレビから姿を消していた矢口真里が10月、『情報ライブ ミヤネ屋』に生出演。放送終了後は約100人もの報道陣の前で会見したが、騒動の核心に触れることはなく、松本人志ら芸能界からも「面白くない」の声が。■「『お前』でいいのか」「『あんた』じゃねえだろ」 ヘイトスピーチ対策を検討する橋下徹大阪市長は、「在日特権を許さない市民の会」桜井誠前会長との公開意見交換会を10月に行なう。結果、相手の呼び方をめぐるやりとりなど罵声を浴びせ合う壮絶な打ち合いとなり、わずか10分弱で終了と相成った。※週刊ポスト2014年12月26日号
2014.12.21 16:00
週刊ポスト

小保方氏が「魂の限界まで取り組んだ」ことへの評価について
STAP細胞騒動に一応の区切りが付けられた。1年近くに渡り日本中の話題となったこのニュースから学べることはなにか。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が小保方晴子氏から学ぶ。 * * * 割烹着姿がよく似合う小保方晴子氏がSTAP細胞について発表したのは、今年1月のことでした。いきなり華やかなスポットを浴びますが、その後さまざまな疑惑が噴出し、一転して厳しい目が向けられます。本人の「STAP細胞はありまぁす」という言葉の真偽を確かめるべく、7月からは本人と理研検証実験チームが個別に実験を行なってきました。 そして12月19日、理研は記者会見を開き「STAP現象を再現できなかった。この時点で検証実験を終了する」と発表。事実上、理研としてはSTAP細胞の存在を否定しました。小保方氏は理研に退職届を出し、21日付で退職するそうです。これでどうやら、日本中が大騒ぎになり、自殺者まで出てしまったこの問題に一応の区切りがつきました。 大人としては、ほぼ一年にわたって繰り広げられた波乱の出来事から、何を学び取ればいいのか。詳しいことは理解できていないのに、組織の側が否定したからといって「ケシカラン!」「とんだ食わせ者だ」と尻馬に乗って非難するのは、もっとも恥ずかしい行為。もし周囲にその手の人がいたら、自分が迷惑を受けたわけでもないにもかかわらず、叩きやすい相手を無邪気に叩いてしまうみっともなさを他山の石にさせてもらいましょう。 小保方氏がどうとかSTAP細胞がどうとかは別として、大人として着目したいのは、小保方氏と野依良治・理研理事長がそれぞれに発表したコメント。 小保方氏は、まず「予想をはるかに超えた制約の中での作業となり」と無念をにじませつつ、「与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております」と全力を尽くしたことを主張した上で、迷惑をかけたことへのお詫びと支援へのお礼を述べています。 高く評価できるのは、「魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り」という表現。単に「全力で取り組みましたが」というよりも、はるかに迫力があります。ビジネスマンのみなさんも、仕事で頑張ったけど成果が出なかったときは「魂の限界まで取り組んで、今はただ疲れ切っています」と言ってみましょう。「それなら仕方ない」と思ってもらえそうです。 いっぽうで、結果を受けて「困惑」という言葉を使ったのは感心できません。本人にそんなつもりはなくても、どこか「他人事」のように受け取って腰が引けている印象を与えます。みなさんも、上司に「この結果について、どう思ってるんだ」と言われたときに、うっかり「困惑しています」と言うのは危険。素直に「残念だと思っています」と言ったほうが、聞く側に無用の引っ掛かりを覚えさせずに済みます。 野依理事長のコメントは「これ以上心の負担が増すことを懸念し、本人の意志を尊重することとした。前向きに新しい人生を歩まれることを期待する」というもの。 もし自分の部下や同僚が大きな失敗をして会社を辞めることになった場合、心の中では「やれやれ、ひどい目に遭った」と思っていたとしても、あくまで相手をねぎらいつつ応援の言葉をかけることで美しい構図が生まれて、後味の苦さを最小限に抑えられます。野依理事長が実際にどう思っているかはわかりませんが、このフレーズも覚えておきたいところです。 小保方氏は、こうやって一応の区切りはついても、たぶんしばらくはマスコミに追われるでしょう。いろいろたいへんでしょうが、いいことが少しでもたくさんある2015年になるように、微力ながらお祈り申し上げます(こうやってネタにさせてもらった後ろめたさを和らげるために、ねぎらいつつ応援の言葉をかけさせてもらいました)。
2014.12.20 16:00
NEWSポストセブン

小保方晴子氏 「調査次第で詐欺罪での刑事告訴も」と弁護士
理化学研究所の小保方晴子氏への処分は、来年3月にも出されると見られている。それは、「来期の契約を更新しない」という判断で同氏を切ることが可能であることを意味する。これにより「懲戒解雇」ではなくなるため、労働に関する訴訟沙汰を避けられる。しかし、本来であれば理研側が小保方氏を訴えるのが当然の事案である。 理研が3月に行なった会見によれば、当時ユニットリーダーだった小保方氏には、1年間で研究費1000万円と、研究員の雇用などに使う人件費1000万円の計2000万円が配分されていた。さらに年間6億円の笹井研究室の研究費も使用していた可能性が指摘されている。その原資の多くは税金である。弁護士の長谷川裕雅氏がいう。「3月に終了する調査結果次第では、詐欺罪での刑事告訴が考えられます。ありもしないSTAP細胞をあるかのように見せかけて研究費を騙し取った疑いです。立件は簡単ではないが、実刑となれば10年以下の懲役になる。また、民事でも損害賠償請求が行なわれる可能性はあります」 一連の不正では、理研のガバナンスに問題があったことは間違いない。そのため理研はことを荒立てたくないのだろうが、独立行政法人として血税を扱う以上、うやむやにすることは許されない。 理研は疑惑の舞台となった「発生・再生科学総合研究センター」を解体し、11月21日付で「多細胞システム形成研究センター」に再編した。小保方氏はユニットリーダーの職を解かれ、埼玉県和光市の理研本部付となった。今のところは、神戸にある自宅マンションで暮らしているようだ。付近の住民がいう。「最近はお葬式のような黒いスーツを着ていました。会見の時よりさらに痩せていて、憔悴しきっている雰囲気でした。時折お父さんと思われる白髪の男性が訪ねてきます。黒いレクサスがお迎えに来る時もあった」 家族にとっても厳しく苦しい年の瀬だ。※週刊ポスト2014年12月26日号
2014.12.17 07:00
週刊ポスト

小保方晴子氏 理研にとって都合がいい来年3月に処遇発表か
「STAP細胞はありまぁーす」「200回以上成功しています」──かつての豪語が、今となっては虚しく響く。理化学研究所の小保方晴子氏はついに土壇場まで追い詰められた。 小保方氏によるSTAP細胞の検証実験が先月末に終了した。しかし理研は、「実験結果の公表は未定」(広報室報道担当)として、いまだにその内容を明らかにしていない。 重要なのはSTAP細胞が存在するのか、しないのか、その1点に尽きる。理研は「データのとりまとめが終わり次第、公表する」(同前)と先延ばしにしているが、もし1回でも再現に成功したなら、すぐに発表しているはずだ。理研関係者が内情を話す。「8月の中間報告で小保方氏の論文にある手法ではSTAP細胞は再現できないと発表されているように、結論はすでに出ている。理研としてもこのタイミングで大々的に発表して批判されることを避けたいのでしょう。来年3月には、小保方さんと別に検証実験を行なっているチームの結果が出る。そこではじめて、研究結果と小保方さんの処遇に触れるのではないか」 3月というタイミングは理研にとって都合がいいとこの理研関係者はいう。「現段階で小保方さんの処分を決定すれば懲戒解雇は避けられない。そうすると処分を不服として訴訟を起こされたり、理研内部の問題を外部に漏らされる可能性がある。理研としては、笹井芳樹氏(故・CDB副センター長*)が亡くなって当事者もいませんし、訴訟は避けたい。その点、3月まで雇用を引き延ばせば、懲戒解雇ではなく来期の契約を更新しない形で穏便に小保方さんを切れる」 処分の引き延ばしは、小保方氏への温情ではなく理研側の都合というわけだ。【*注】CDB=発生・再生科学総合研究センター※週刊ポスト2014年12月26日号
2014.12.16 16:00
週刊ポスト

【著者に訊け】仙川環 食と経済優先社会の闇を描く『極卵』
【著者に訊け】仙川環氏/『極卵』/小学館/1500円+税〈──極卵! 江戸時代から甦った極上の卵、相州地鶏の自然卵。四個入り千円。安全、安心。値段以上の価値があります〉と書かれた自然食品店のPOPを見て、貴方はその卵を買うだろうか。それとも「やれやれ」と眉を顰(ひそ)めるだろうか…。むろん選択は人それぞれ。本書『極卵』の読まれ方、感じ方も、読み手によって大きく分かれるに違いない。著者・仙川環氏も言う。「例えば最近の先端医療は、何が正しいかなんて次元を超えている。様々な事象を見極めた上で、結論はその人が出すしかないんですね。食の問題も全く同じで、自分の体に何を取り込むかは個人の問題。特に卵は食べる側の意識や無意識を炙り出す身近な食品なので、敢えて選んでみました」 本作はそんな超高級卵をめぐり、消費者や生産者、科学界やメディアをも巻き込んだ食中毒事件の顛末を描く。中毒者48名、内10名が亡くなる悲劇が照射するのは、己の身は己で守るしかないという現代の空気だ。不信と不安の連鎖はやがて攻撃性すら帯び、食わずして生きられない人間の日常を殺伐としたものに変える。 大学院では細胞学や生命科学を研究し、新聞記者を経て『感染』でデビュー。以来医療や科学技術の「今」に材を取った物語性溢れる作品群は幅広い支持を得る。「今回の着想もきっかけは2007年の中国毒入り餃子事件。実はあの餃子は私も買っていて、それまでカップ麺やコンビニ弁当に頼っていた私が勉強会に通い、米まで自分で作り始めたのも、小説以前の“恐怖”からでした。 ただし食の安全も結局はバランスが大事で、普通が今は最も難しい。ここまで極卵を高級な卵にしたのも、食に関して意識の高い人ほど、逆に情報に押し流されて極端に走る危うさを感じたから。吉祥寺のカリスマ主婦〈野々市純子〉やその周辺の人々に手厳しいのも、私自身が過敏になった反省からで、自分のことだから容赦がないんです(笑い)」 その純子と、元新聞記者のライター〈瀬島桐子〉が、吉祥寺の自然食品店で再会する場面から物語は始まる。桐子は極卵の生産者〈山田謙太〉を取材した縁で店員の〈小森麻衣〉と知り合い、偶然紹介された常連客が高校の元同級生・純子だった。2人に交流はなかったが、この日買った極卵が原因で純子の息子が〈ボツリヌス症〉による神経麻痺を発症し、歯車は再び動き始める。 結局親鶏からも菌は検出されず、酸素中では繁殖しにくいボツリヌス菌の卵による中毒自体が異例だったのだ。新型の可能性も取り沙汰される中、相州地鶏を復活させた〈相州生命科学研究所〉が遺伝子組み換えに関与していると根拠もなく煽るジャーナリストも…。〈マッチポンプ野郎〉こと、桐子の先輩記者〈石黒〉である。そしてメディアによる集中砲火の中、謙太の父〈伸雄〉は自ら命を絶つ。「石黒的な人はどの世界にもいて、だからこそ“証拠”が大事です。STAP細胞にしろ本当にあるなら証拠を示せばよく、それを信じるとか信じないとか、日本人は科学リテラシーが低すぎます。震災の風評被害でも誰かが危ないと言ったらそれをそのまま信じる人がいる。だから穏健派は嫌気がさして口を噤み、過激な人々はますます暴走する」 生産者との〈顔の見える関係〉にしろ、何かあれば顔など忘れるのが消費者だ。桐子が取材を進める一方、夫や姑の無理解に悩む純子はある消費者団体に参加。テレビにも出演して危険性を訴えた。また一連の騒動を裏で操る石黒の目的や、遺伝子操作をめぐる企業側の思惑など、事件は現代の食事情や人間模様を映し、思わぬ方向に転がり始める。 後に同団体を去る女性が〈自分が正しいと思う主張を通すためなら、デマを流してもいい〉〈それって国益のために国民を騙してもいいと考える人たちと、何が違うんですか〉と非難するように、「目的と手段」の歪みが本書の隠れた主題。「朝日の慰安婦問題や在特会のデモもそう。目的さえ正しければ何をしてもいいみたいな空気に私は物凄く違和感があって、特に事あれば正義の拳を振りかざす人たちの単純な善悪に走る感じが怖い。原発問題でも正解なんて簡単に出ないからこそ事実に基づくフラットな話し合いが必要なのに、今は誰も彼も『自分は正しい』の一点張りですから。 私は細部より、そうした歪んだ空気のリアリティを小説に描きたいと常々思っていて、考え方は人それぞれでいい、でも闘い方はフェアであってほしいと…」 その点、相州研の研究員〈江上〉や伸雄の養鶏仲間〈源蔵〉など、それぞれの持ち場で坦々と働く人々の言葉は、理性的で謙虚だ。「結局農家でも消費者でも、地に足をつけて生きている人が一番強いと思うんです。私も米を作り始めてからは、食品も自分も同じ生き物だと思うようになり、今は安全面より、生き物同士の関係や循環を実感したくて農業を続けています。例えばある農家の方は『食べ物は単に安全でおいしければいいってもんじゃない』と言うのですが、その真の意味を私も理解したいのです」 食をめぐる様々な意見や風景を丹念に拾った本書は同時にミステリーでもある。ラストで明かされる衝撃の事実に舌を巻いた次の瞬間、私たちは今日から何を食うべきか、答えを探し始めるはずだ。その答えは桐子と純子で違うように百人百様が正解なのだろうが、毒卵より何より、理性を失った人間のありようこそがこの世で最も怖く映るのだった。【著者プロフィール】仙川環(せんかわ・たまき):1968年東京生まれ。早稲田大学教育学部理学科卒、大阪大学大学院医学系研究科修士課程修了。大手新聞社在籍中の2002年、『感染』で小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。「シンクタンクに出向していた時、割と時間があってカルチャーセンターの小説教室に通ったのが小説を書くきっかけ。中国語を習おうとしたら学費が高く、だったらミステリー好きな友達でもできた方が楽しいかなって」。著書は『再発』『潜伏』等。155cm、A型。(構成/橋本紀子)※週刊ポスト2014年10月31日号
2014.10.23 16:00
週刊ポスト

早大に再論文提出意向の小保方氏 粘れば大学の信頼低下する
早稲田大学は10月7日、小保方晴子氏の学位を「1年間の猶予期間を設ける」との条件をつけて取り消すと発表したため、批判が相次いでいる。猶予などいらぬ、ということだろう。この決断は研究機関にとって自殺行為に等しい。 前回7月の会見では、「不正はあったが故意ではない」として「学位は取り消さない」と発表していた。百歩譲って前回の結論がSTAP捏造疑惑発覚間もないタイミングで時間がなかったという言い訳が立つとしても、今回は早稲田の総力を挙げての検証だ。それでも大学として論文の“カンニング”に処分を下せず、“追試”の機会を与えてしまった。 現在、小保方氏は神戸の理化学研究所で、24時間監視態勢の下、STAP細胞の再現実験を行なっている。その期限は11月末までだが、「内部では“成果が出ないことを確認するための作業”だと理解しています」(理研研究員の1人) 来月に小保方氏のSTAP捏造が正式に結論づけられたとしても、来年10月までは彼女は早稲田の博士である。早大大学院で小保方氏とともに博士号をとった研究者は自嘲気味に語った。「その時、早大はチェック機能がない研究機関というだけでなく、捏造研究者を生み、野放しにする組織ということになる」 小保方氏は再論文を提出する意向で、大学側も指導教官を選出する考えという。彼女が粘れば粘るほど早稲田の信頼は低下する。早大総長以下、創設者・大隈重信の「失敗はわが師なり」という言葉を1年かけて学び直したほうがいい。※週刊ポスト2014年10月24日号
2014.10.17 07:00
週刊ポスト

【著者に訊け】香山リカ氏 最新刊『劣化する日本人』を語る
【著者に訊け】香山リカ氏/『劣化する日本人 自分のことしか考えられない人たち』/ベスト新書/759円+税『劣化する日本人』というからには、比較対象が当然ある。香山リカ氏は言う。「例えば2007年に『なぜ日本人は劣化したか』を書いた時も、食品や耐震偽装問題の頻発が私には凄く衝撃的だったんですね。真面目で几帳面、自分を犠牲にしてでも他人のためを思うのが、従来の日本人像でしたから。しかも最近の劣化はまた質が違う。小保方氏や佐村河内氏の事件でも、一言で言えば〈肥大する自己愛〉が、真犯人ではないかと…」 理化学研究所・小保方晴子氏らによる「STAP細胞問題」や佐村河内守氏の「偽ベートーヴェン問題」。片山祐輔被告の「パソコン遠隔操作事件」や〈止まらないヘイトスピーチ〉等も俎上にのせつつ、本書では各々の深層を具に検証する。 むろん個人攻撃ではない。例えば小保方事件に関する〈自己愛性パーソナリティ障害〉等の診断もあくまで社会を蝕む病理として下され、背後にあるSNSへの依存や〈知性の劣化〉にこそ氏は警鐘を鳴らす。彼らは決して〈突発的に生まれたモンスター〉ではないと。 表題の「劣化」に関して、興味深いエピソードがあとがきにある。香山氏はとある友人に本書の題名を口にするなり、こう釘を刺されるのだ。〈そんなタイトルじゃ“反日的”とまた叩かれるだけだよ。だいたいいまの売れ筋の正反対だし…〉「要するに今は中国や韓国を批判するか、海外の人が日本の素晴らしさを讃えたものがウケるらしい。確かにその手の本や番組が最近多い気もするし、私なんてネトウヨの人からは北の工作員扱いです(笑い)。 もちろん自分や生まれた国のことは肯定していい。でも少しでもうまくいかなくなると〈こんなはずじゃなかった〉と極端に針が振れて、簡単にバレる嘘をついたり他人を貶めて満足しようとする人が、実は診療現場でも増えてるんですね。 最近は患者さんも二極化していて、明日の生活にも困るほど貧しくて孤立する人が増える一方、恵まれているからこそ『私はもっと輝いていい』と訴える人も多い。たぶん鬱病が増えたのも日本企業に成果主義が導入された21世紀以降で、目立たないのは悪いことだ、地道に働くなんてつまらないという空気に、日本中が覆われてしまったんです」 先述した自己愛性パーソナリティ障害や〈演技性パーソナリティ障害〉等々、本書では過剰な自己演出によって自己愛の不全を埋めようとする心理のからくりを、まずは医学的・客観的に検証する。 その過程では〈「自己効力感」を持てあます人〉、〈「役に立ちたい」は「認めてもらいたい」〉など他人事で済まされない指摘も多く、氏自身〈感動ビジネス〉に群がった一人だと、佐村河内氏のコンサートに自らチケットを買って出かけた過去を明かすのだ。「つまり全聾の作曲家という彼の〈ライフヒストリー〉に興味を持った私も立派な共犯で、涙や感動を商品にし、〈感動創造研究所〉なる機関まである社会こそ問題だろうと。今はアメリカでもCEOには波瀾の物語が求められるらしく、『劇的な自分』でなければ生きる意味がないとすら思い詰める彼らは、〈感動消費市場〉の犠牲者とも言えます」 ヘイトスピーチの醜悪さに違和感を抱き、「SNSはやらない(やれない?)」と胸を張る諸兄も油断は禁物だ。LINE等の短いやり取りを日常とし、〈悪の外在化〉や〈陰謀論〉といったシンプルな理屈に納得したがるのは何も若者に限らず、安倍首相や橋下徹市長ら政治家も含めた知性の劣化が、今や安全保障をも脅かしていると氏は危惧する。 面白いのは『鬼平犯科帳』「明神の次郎吉」を引いた例だ。盗みに入る道すがら人助けをした盗賊を巡って、〈人間とは、妙な生きものよ〉と悪事と善事を同時に行なう複雑さに鬼平が感じ入る場面の滋味が、今では人々に伝わらないと言う。「悪人は単純にただ悪いだけ、と考える方が楽なんでしょうね。今回扱った事件でも擁護派か反対派かだけを問う双方向企画が盛んですが、むしろ本当のことはグレー部分にある気が私はする。ところが今や曖昧さ中庸さは悉(ことごと)く排除され、どんなに考えても答えのない複雑なことを、日本人は考えなくなった」 その意味で併せて含蓄深いのが2008年の著書『ポケットは80年代がいっぱい』だ。15歳で上京後、アングラ文化の渦中に身を置いた氏の個人史を軸に、既存の権威を壊し、脱構築を模索した時代の律動を伝える一冊だ。「多少壊しすぎたかもしれないと中沢新一さんは言いますけど、少なくとも今みたいに正論っぽい圧力の前で牽制しあう薄気味の悪さはなかったと思う。例えば田中康夫さんが岩波文庫もJJも等価だと言って価値のヒエラルキーを壊した後、お金という宗教や経済的成功が最高権威として君臨してしまった。 そして経済大国神話も揺らいだ今、新たな寄る辺として編み出されたのが『私たちの日本だけが凄い』なんでしょうけど、事実を歪めた報道やそれを鵜呑みにした集団催眠状態が70年前に何をもたらしたか、日本人が知らないはずはないんです。 こうなると原発事故にも懲りない日本人は戦争まで突き進みかねない。客観性を失うのはそれほど恐いことで、せめて“劣化”と言い続けるしかないんです」 いざという時に耳に心地よい言葉より、そうでない言葉を吐く人の方が、信用できるのはいまさら歴史を繙いてみるまでもないことだろう。【著者プロフィール】香山リカ(かやま・りか):1960年北海道生まれ。東京医科大学卒。精神科医。現在は立教大学現代心理学部教授の傍ら診療所の勤務医も務め、執筆やテレビ出演に多忙な日々を送る。『ぷちナショナリズム症候群』『仕事中だけ「うつ病」になる人たち』『しがみつかない生き方』『ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか』など著書多数。最近は吉田類氏のDVDにハマる。「居酒屋情報より世のオジサマ方を惹きつける彼の存在感に興味がある」。159cm、B型。(構成/橋本紀子)※週刊ポスト2014年9月12日号
2014.09.07 07:00
週刊ポスト

笹井氏の遺書「STAP細胞再現して」は最大級の嫌味とも解釈可
理化学研究所(理研)発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長(享年52)が自殺してから約2週間が経過したが、残された「遺書」にはいくつもの不可解な点がある。 まず、「なぜ小保方晴子氏(31)宛ての遺書ばかりがマスコミに盛んにリークされたか」という点については、何らかの意図があってリーク内容が“選別”された可能性があると指摘されている。 次に、笹井氏の遺族が、自殺から1週間経って突然「家族宛ての遺書」を公表した経緯も謎だ。遺族の代理人である中村和洋弁護士はこう説明する。「公開は故人の遺志に反すると思われ、遺族にとってもそれは耐え難いことです。しかし内容についての取材が相次いだため、プライバシーに関するところを除き、遺書の概要のみをお伝えすることにしました」 小保方氏への遺書がクローズアップされる一方、家族宛ての遺書については「存在しないのでは」とまで噂されていた。 明らかにされた内容は「今までありがとう」「先立つこと申し訳ない」という言葉と、「マスコミなどからの不当なバッシング、理研や研究室への責任から疲れてしまった」という記述だった。中村弁護士によれば、6月にセンター解体の提言を受け、精神的に追い込まれていたことも自殺の原因だったという。理研研究者はこんな見方をする。「自殺直前にセンター内で見かけた笹井さんはげっそりとやつれていて、見ているこちらが不安になるほどだった。そんな状態を間近で見ていた家族の心配は相当なものだったでしょう。 にもかかわらず、小保方宛ての遺書ばかりが話題になって、理研の体制を問題視する声はない。身内からすれば、忸怩たる思いがあったはず。だからこそ、自殺の原因が“理研への責任”にあると訴えたかったのではないか」 もうひとつ解せないのは、笹井氏はそこまで追い詰められていたにもかかわらず、なぜ小保方氏にエールを送ったのかという点だ。別の理研関係者は首を傾げる。「小保方さんが体調不良を訴えているため、STAP細胞の検証実験に本格的にとりかかれるのは9月頃といわれていますが、理研の関係者の間では、この検証実験は『成果がないことを確認するための作業にすぎない』というのが共通認識になっている。 そんな絶望的な状況をわかっている笹井さんが『STAP細胞を再現してください』と彼女に伝えたのはなぜなのか。本当に再現できると信じていたなら、自殺を図ったことと矛盾する。 笹井さんは責任感が強く、部下に責任を押しつけたりしない人ですが、冷静に読めば遺書のエールは最大級の『嫌味』とも取れる。笹井さんは小保方さんの杜撰な研究に裏切られた立場でもある。しかし騒動後、小保方さんは自分ひとり弁護士を立てて身を守ろうとした。笹井さんも内心は穏やかでなかったはずです」「スマートな天才研究者」のまま逝った笹井氏に、その真意を訊ねることはできない。※週刊ポスト2014年8月29日号
2014.08.20 07:00
週刊ポスト

理研・笹井氏の遺書 何らかの意図で内容選別された可能性も
理化学研究所(理研)発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長(享年52)が8月5日に突然自殺してから、約2週間が経過した。笹井氏の死には、いまだ不可解な点が残されている。 何より気にかかるのは、「なぜ小保方晴子氏(31)宛ての遺書ばかりがマスコミに盛んにリークされたか」という点だ。 笹井氏の遺書はこれまで計6通が確認されている。自殺現場の理研内で発見された4通(うち1通が小保方氏宛て)と、8月12日に存在が明らかになった自宅で見つかった妻と実兄宛ての2通である。 このうち内容が事細かく明らかになったのは小保方氏宛てのものだけだ。しかも、笹井氏の死の当日には、小保方氏本人の手に渡る前にもかかわらず、その内容が報じられていた。「先立つのは、私の弱さと甘さのせいです。あなたのせいではありません」「絶対STAP細胞を再現してください」「それが済んだら新しい人生を一歩ずつ歩み直してください」 こうした文面は、話題を集めるに十分なインパクトがあったが、どこから漏れたのか。 遺書は発見後に理研から兵庫県警に渡っていたとされ、捜査関係者から情報が流れたと考えるのが自然だが、一部報道では「理研関係者」の話として遺書の内容が語られているものもある。「マスコミが飛びつく内容だけに捜査関係者が“お付き合い”で記者に流したと見られているが、不思議なことに漏れた内容が小保方氏に関する部分ばかりで、理研に批判的な部分や、STAP細胞の存在について言及した部分がない。何らかの意図があって、リーク内容が“選別”された可能性は否定できない」(別の県警関係者)※週刊ポスト2014年8月29日号
2014.08.19 07:00
週刊ポスト

笹井氏の自殺 小保方氏守るため「最後の仕返し」との見方も
8月5日、STAP細胞論文の著者のひとりで、小保方晴子氏(30才)に論文作成の指導を行っていた理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長(享年52)が、センター内の建物で自殺した。「先端医療センターの建物の4階と5階の間の踊り場の手すりにロープのようなもので、首を吊っていたそうです。笹井さんは、研究着などは羽織っておらず、半袖シャツにスラックス姿だったようです」(全国紙社会部記者) 午前9時過ぎに巡回中の警備員に発見された笹井氏は、神戸市内の病院に運ばれたが、午前11時3分に死亡が確認された。理研関係者が、最近の笹井氏の様子について、こう話す。「STAP細胞のねつ造が明るみに出てから、笹井さんは体調不良を訴えるようになり、心療内科に通っていました。精神的に相当参っているように感じました。仕事には来ていましたが、それまでのようなやる気に満ちあふれた様子ではなく、塞ぎがちでした。薬をのんでいたんでしょうね。呂律が回らず、何を言っているのかわからないこともありました」 4月16日に開いた記者会見では、「論文の書き直しに加わっただけ」と自身の責任はないと主張していた笹井氏。しかし、小保方氏が論文の写真を、別の論文の写真から転用したという事実を笹井氏は以前から知っていたにもかかわらず、調査委員会に報告しなかったことなどが次々明るみに出る。 すると理研の野依良治理事長(75才)は笹井氏に対して「立場上責任は重大」と発言。さらに理研が設置した外部有識者による「研究不正再発防止のための改革委員会」からは「辞任」を求められた。「笹井さんは“覚悟はできてるよ。責任は取らなきゃ”なんて気丈なことを言いながらも、時には“いろんな報道がされてイメージが悪くなっている。自分ひとりが悪者になっている”なんて愚痴をこぼしたりと、心が不安定な状態にある感じでしたね」(別の理研関係者) 今回、笹井氏が死に場所に選んだのは、自分を追い詰めた“職場”だった。精神科医の和田秀樹氏はこう言う。「一般的に自殺する場所というのは、その人の思いが大きい場所といえます。その場所を愛しているとか、恨んでいるとか。職場で自殺するということは、そこで働く人間に対して、当てつけのような思いがあったのかもしれません」 最終的に自分に責任をなすりつけた理研への“抗議”の意味が込められていた可能性もある今回の自殺。 理研は半官半民の研究機関のため、国からの多額な補助がある一方で、国を挙げてのプロジェクトも多い。「笹井さんはそうしたプロジェクトを数多く抱えていました。すべてを自分ひとりでやるのは物理的に不可能です。ですから、有望な人材に任せなければならないんですが、もちろんすべてに目が行き届くわけではなく、データのひとつひとつを精査する時間の余裕がないのも実情です。笹井さんが小保方さんを寵愛していたのは間違いありませんが、だからといって、責任のすべてを押しつけられたのは、彼にしてみれば許せなかったのかもしれませんね。大切な愛弟子を守るためにも、最後の仕返しをしたのでしょう」(前出・理研関係者) そして秘書の机の上に1通、自殺現場に3通の遺書が残されていた。「その1通は小保方さんに宛てたものでした。“STAP細胞が再現できないのは、あなたのせいではない。STAP細胞を必ず再現してください”などと綴られていたようです」(前出・全国紙社会部記者)※女性セブン2014年8月21・28日号
2014.08.07 16:00
女性セブン

小保方氏の検証実験「成果ないことの確認作業」と理研関係者
“番記者”からはこんな辛辣な感想が漏れている。「年初にはぽっちゃりしていた顎から首のラインが細くなった。『STAP式ダイエット』の成果ですね」──。 小保方晴子・理化学研究所ユニットリーダー(31)は茶髪も黒く染め直し、以前と印象が違うという。 現在は理研に出勤し、STAP細胞の検証実験に参加中。「小保方ルーム」と称される実験室に遅くまで籠もる日々を送っている。「実験室は天井に設置されたカメラ2台で24時間監視されているうえ、実験時には立会人がつく。本人は先日のNHKの一件で取材に対して一層過敏になっている」(理研の研究者) 7月23日に追跡取材をしていたNHK記者と接触し、「右肘筋挫傷」などで全治2週間の診断を受けた小保方氏は、代理人を通じて「何か私が犯罪でもしたのか」「右手が痛く、実験に支障が出る。悔しい」と怒りのコメントを出した。 すわ、“逆襲モード”発動かと思われたが先行きは暗い。早稲田大学の調査委員会が博士学位は取り消さないとの調査報告書を公表したものの、彼女が在籍していた同大大学院先進理工学研究科の教授が異議を表明し、調査報告書がそのまま承認されない可能性が出てきた。 さらに日本学術会議が理研に対して速やかな不正解明と関係者の処分を求める声明を発表するなど、風当たりは強まる一方だ。前出の理研研究者がぼやく。「彼女が体調不良を訴えているため本格的な検証実験にとりかかるのは9月頃になりそうだ。でも、理研の人間はみな『成果がないことを確認するための作業』だと知っていますから不毛な時間です」 今後「不正」が明らかになる可能性が高いだけに、小保方氏としては「体調不良」を繰り返すしかないのかもしれないが、もはや同情は集まりそうにない。※週刊ポスト2014年8月15・22日号
2014.08.07 16:00
週刊ポスト

ねづっち 小保方さんとかけて「政治家の権力争いと解く…」
蝶ネクタイに赤いチェックのジャケット姿がトレードマーク。「整いました!」のフレーズから始まる即興なぞかけで大ブレークを果たした、お笑いコンビ・Wコロンのねづっち(39才)。大好評シリーズ企画「転機」今回は、ねづっちになぞかけを始めたきっかけ、作るコツなどを語ってもらった。そして、話題のあの人もなぞかけのネタに…。――なぞかけを始めたきっかけは?ねづっち:13~14年くらい前に浅草の東洋館に出ていて、落語家さんが話の枕の部分でなぞかけをやっていたんですよね。それを舞台袖で見ていて、これよりうまいのを作りたいなと思って始めました。初めは趣味でやっていたんですよ。コージー冨田さんもなぞかけが大好きで、定期的にお酒を飲みながらずっとなぞかけをやってます。――早くひらめくようになるポイントは?ねづっち:関連ワードをいくつか出すんです。一番手っ取り早いのは、同音異義語を先に考えてから、なになにと解きますの部分を後から当てはめるんです。慣れですね、誰にでもできますよ。 例えばお題が「日本茶」だと、急須や葉っぱやグリーンティー、そういう関連ワードがありますよね。グリーンティーだとゴルフと関連つけられるので、「お茶とかけてゴルフと解く、その心は、どちらも“グリーンティー”があるでしょう」というオチになります。「子育てと説いて、発破(葉っぱ)が大事」だとか、「ピンチと解いて、万事休す(急須)」とか。あとは、ドヤ顔さえしておけばなんとかなる (笑い)。――ニュースなどのネタから「○○でやって」と言われることもあるんじゃないですか。ねづっち:そうですね、話題のニュースがあると、よく“発注”うけます(笑い)。――では、STAP細胞騒動で渦中の小保方晴子さんでは?ねづっち:(すぐに)整いました。小保方さんとかけて、政治家の権力争いと解きます。――その心は?ねづっち:そこに利権(理研)が絡むでしょう。――さすがですね。では、ゴーストライター騒動の佐村河内守さん。ねづっち:(すぐに)整いました。佐村河内さんとかけまして、余裕のふりして1位をとると解きます。その心は、実際は2位が気(新垣)になりました。――やっぱり早いですね。「整いました」と言うのも、初めから?ねづっち:2005年の夏だと思うんですけど、スピードワゴンさんがラジオのゲストに呼んでくれまして。小沢(一敬)さんにお題を出された時に、なに気なく「整いました」と言ったんです。そうしたら2人が「なんだよ、整いましたって!」と食いついてくれて。それからは「整いました」と言うようにしました。一言あると違いますよね、転機ですね(笑い)。――ブレークしたきっかけは?ねづっち:U字工事の2人が『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で町工場芸人というのをプレゼンしたんですけど、それにぼくの名前も入れてくれて。そのオンエアがあった1週間後にすぐ、また『アメトーーク!』が声をかけてくれたんですよ。なぞかけをやったときに、雨上がり決死隊の宮迫(博之)さんが番組内で「今年来るで!」と言ってくれたんです。そこからですね。あれは本当にありがたい一言、恩人ですよ。――そこから仕事の依頼がじゃんじゃん?ねづっち:そうですね、そこから1年はハンパなかったですね。休んだのは自分の結婚式の1日だけ。当時は電車で移動していたんですけど、睡眠は1日3時間くらいで、電車に座った瞬間に寝ちゃうんですよ。あまりにも眠くて (笑い)。――最高月収はかなりいったんじゃないですか?ねづっち:500万円くらいですかね。でも1回だけですよ、S-1バトルの賞金(1,000万円)が入ったりして。賞金は引っ越し代に消えました。それまで嫁とひとつのシングルベッドを使っていたんですけど、ベッドが2つになりました(笑い)。嫁には食えない時にいっぱい食わせてもらったので、好きなだけ使えって偉そうに言っちゃったんですよ。そうしたら本当に好きなだけ使うから、さすがにやめてくれって(笑い)。――最低月収は?ねづっち:芸人なんて初めはゼロですよ。一番最初のライブに出た時には500円を2人で分けて250円ですから。交通費は自腹なので、当時は浅草まで自転車で行ったりしましたね。1時間20分くらいかかりました。帰りに雨に打たれると絶望的な気分になるんですよ。――そんな時期は、奥さんが支えてくれたんですね。ねづっち:そうですね。嫁が住んでいるワンルームにずっと寝泊まりしていて、これじゃだめになるからって、一緒に住む部屋を探したんです。6万円くらいならなんとかなるんじゃないかって言ったんですけど、「それじゃ頑張らないだろうから」って、嫁があえて10万円いくらの部屋にしちゃって。家賃はぼくが出したんですけど、バイト代が全部そこで飛んじゃう。だから「スイカチャージしたいからお金頂戴」とか、必要になったらその都度もらうという感じでした。――バイトはいつまでしていましたか?ねづっち:2009年までいろいろしていましたね。22才から3年間は、ダンディ坂野さんとマクドナルドで一緒にバイトしました。ダンディさんは週6で、ぼくは週5でしたね。ダンディさんは真面目で、お喋りしてると“ねづ君、そういう態度だとおいしいハンバーガーを作れません”って。本当にマックの人間じゃないかと思ったぐらい(笑い)。――これからの目標は?ねづっち:今やっている事を続けたいだけなんです。それが結局、死ぬまでということになるじゃないですか。なぞかけは一生続けていこうと思いますからね。内海桂子師匠なんて90才過ぎても舞台に立ってカッコイイじゃないですか。ぼくもああなりたいですね。【ねづっち】1975年2月18日生まれ。東京都出身。1997年、芸人デビュー。2004年、木曽さんちゅうと漫才コンビ・Wコロンを結成。「整いました!」は2010年の流行語大賞トップ10入り。漫才新人大賞特別賞や浅草芸能大賞新人賞などをはじめ、数々の賞を受賞。2012年に漫才協会の第24代真打に昇進。動物や食べ物などのなぞかけを集めた児童書『江戸のなそなぞ なぞかけランド』3部作(理論社)が発売中。
2014.08.02 07:00
NEWSポストセブン

日本が陥っている現象を精神科医・香山リカ氏が読み解いた本
【書籍紹介】『劣化する日本人 自分のことしか考えられない人たち』香山リカ/ベスト新書/759円+税「ねつ造」とされたSTAP細胞問題に対し、自分の正当性を主張する“リケジョ”。実は虚構だった感動の“全聾の作曲家”。ほか街中で「死ね!」「殺せ!」と連呼する集団、暴言を繰り返す政治家などを分析しながら、いま日本が陥っている現象を読み解く。※週刊ポスト2014年8月8日号
2014.07.28 16:00
週刊ポスト
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