ライフ

【著者に訊け】香山リカ氏 最新刊『劣化する日本人』を語る

【著者に訊け】香山リカ氏/『劣化する日本人 自分のことしか考えられない人たち』/ベスト新書/759円+税

『劣化する日本人』というからには、比較対象が当然ある。香山リカ氏は言う。

「例えば2007年に『なぜ日本人は劣化したか』を書いた時も、食品や耐震偽装問題の頻発が私には凄く衝撃的だったんですね。真面目で几帳面、自分を犠牲にしてでも他人のためを思うのが、従来の日本人像でしたから。しかも最近の劣化はまた質が違う。小保方氏や佐村河内氏の事件でも、一言で言えば〈肥大する自己愛〉が、真犯人ではないかと…」

 理化学研究所・小保方晴子氏らによる「STAP細胞問題」や佐村河内守氏の「偽ベートーヴェン問題」。片山祐輔被告の「パソコン遠隔操作事件」や〈止まらないヘイトスピーチ〉等も俎上にのせつつ、本書では各々の深層を具に検証する。

 むろん個人攻撃ではない。例えば小保方事件に関する〈自己愛性パーソナリティ障害〉等の診断もあくまで社会を蝕む病理として下され、背後にあるSNSへの依存や〈知性の劣化〉にこそ氏は警鐘を鳴らす。彼らは決して〈突発的に生まれたモンスター〉ではないと。

 表題の「劣化」に関して、興味深いエピソードがあとがきにある。香山氏はとある友人に本書の題名を口にするなり、こう釘を刺されるのだ。〈そんなタイトルじゃ“反日的”とまた叩かれるだけだよ。だいたいいまの売れ筋の正反対だし…〉

「要するに今は中国や韓国を批判するか、海外の人が日本の素晴らしさを讃えたものがウケるらしい。確かにその手の本や番組が最近多い気もするし、私なんてネトウヨの人からは北の工作員扱いです(笑い)。

 もちろん自分や生まれた国のことは肯定していい。でも少しでもうまくいかなくなると〈こんなはずじゃなかった〉と極端に針が振れて、簡単にバレる嘘をついたり他人を貶めて満足しようとする人が、実は診療現場でも増えてるんですね。

 最近は患者さんも二極化していて、明日の生活にも困るほど貧しくて孤立する人が増える一方、恵まれているからこそ『私はもっと輝いていい』と訴える人も多い。たぶん鬱病が増えたのも日本企業に成果主義が導入された21世紀以降で、目立たないのは悪いことだ、地道に働くなんてつまらないという空気に、日本中が覆われてしまったんです」

関連記事

トピックス

高橋藍の帰国を待ち侘びた人は多い(左は共同通信、右は河北のインスタグラムより)
《イタリアから帰ってこなければ…》高橋藍の“帰国直後”にセクシー女優・河北彩伽が予告していた「バレープレイ動画」、uka.との「本命交際」報道も
NEWSポストセブン
aespaのジゼルが着用したドレスに批判が殺到した(時事通信フォト)
aespa・ジゼルの“チラ見え黒ドレス”に「不適切なのでは?」の声が集まる 韓国・乳がん啓発のイベント主催者が“チャリティ装ったセレブパーティー”批判受け謝罪
NEWSポストセブン
歓喜の美酒に酔った真美子さんと大谷
《帰りは妻の運転で》大谷翔平、歴史に名を刻んだリーグ優勝の夜 夫人会メンバーがVIPルームでシャンパングラスを傾ける中、真美子さんは「運転があるので」と飲まず 
女性セブン
安達祐実と絶縁騒動が報じられた母・有里氏(Instagramより)
「大人になってからは…」新パートナーと半同棲の安達祐実、“和解と断絶”を繰り返す母・有里さんの心境は
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《小島瑠璃子が活動再開を発表》休業していた2年間で埋まった“ポストこじるり”ポジション “再無双”を阻む手強いライバルたちとの過酷な椅子取りゲームへ
週刊ポスト
安達祐実と元夫でカメラマンの桑島智輝氏
《ばっちりメイクで元夫のカメラマンと…》安達祐実が新恋人とのデート前日に訪れた「2人きりのランチ」“ビジュ爆デニムコーデ”の親密距離感
NEWSポストセブン
イベントの“ドタキャン”が続いている米倉涼子
「押収されたブツを指さして撮影に応じ…」「ゲッソリと痩せて取り調べに通う日々」米倉涼子に“マトリがガサ入れ”報道、ドタキャン連発「空白の2か月」の真相
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《安達祐実の新恋人》「半同棲カレ」はNHKの敏腕プロデューサー「ノリに乗ってる茶髪クリエイターの一人」関係者が明かした“出会いのきっかけ”
NEWSポストセブン
元従業員が、ガールズバーの”独特ルール”を明かした(左・飲食店紹介サイトより)
《大きい瞳で上目遣い…ガルバ写真入手》「『ブスでなにもできないくせに』と…」“美人ガルバ店員”田野和彩容疑者(21)の“陰湿イジメ”と”オラオラ営業
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《“奇跡の40代”安達祐実に半同棲の新パートナー》離婚から2年、長男と暮らす自宅から愛車でカレを勤務先に送迎…「手をフリフリ」の熱愛生活
NEWSポストセブン
「ガールズメッセ2025」の式典に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月19日、撮影/JMPA)
《“クッキリ”ドレスの次は…》佳子さま、ボディラインを強調しないワンピも切り替えでスタイルアップ&フェミニンな印象に
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン