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ビジネス、経済、マネーなどに関するニュースを集めたページです。注目業界・企業の最新動向や、世界の金融情勢、株式・為替のトレンドや投資術なども紹介します。

フラットな関係が求められている(写真はイメージ)
Z世代は「かわいい上司」を求める フラットな“友達関係”が理想
 生まれたときからすでにインターネットがあり、主なコミュニケーションツールはSNS、生活の中心にはデジタル技術が存在している……1990年代の半ばから2012年頃に生まれた「Z世代」についての説明だが、上の世代からは独特に感じられる“言語感覚”もその特徴のひとつのようだ。これまでは職場の上司を褒める場合に、「頼りになる」「かっこいい」といったフレーズが使われることが多かったが、Z世代では上司に対して「かわいい」という褒め言葉を使うことが少なくないのだという。 保険会社勤務の20代の女性がこう話す。「私が好きなアニメの話をしたとき、『アニメはあんまり観ないからなぁ』ってピンときていない様子だった上司が、翌日にそのアニメを観て感想を言ってくれたんです。『登場人物の名前がややこしくて覚えられない(笑)』と言いつつも、『今はああいうのが流行っているんだね~。知っておかないとな~』と。その話を同期飲みでシェアしたら『え、その上司かわいい!』と盛り上がりました。『かわいい』は私としてはかなりランクの高い褒め言葉で、『かっこいい』とか『頼りになる』とかより断然、『かわいい』上司がいいと思います」 ちなみに、「かわいい」を辞書で引くと〈小さいもの、弱いものなどに心引かれる気持ちをいだくさま〉〈ほかと比べて小さいさま〉〈無邪気で、憎めない。すれてなく、子供っぽい〉(デジタル大辞泉より)といった説明が並んでいるが、どれもこの20代女性が「かわいい」というフレーズを使う際の含意とは違っていそうだ。 若者の消費・メディア行動研究やマーケティングを専門にする信州大学特任教授の原田曜平氏は、Z世代が上司に向ける「かわいい」には、次のような意味があると話す。「上下関係を感じさせない、居心地のよさを意味していると考えられます。ヒエラルキーがある関係ではなく、フラットな“お友達関係”を築いてくれる上司に対して、Z世代は親しみを込めて『かわいい』と言うのです」 Z世代が「かわいい上司」を求めるようになった背景については次のように説明する。「昭和や平成の時代は、若い社員にとっての上司が、自分を評価する人たちであり、引き上げてくれる人でもあり、ある意味“染まらなくてはいけない存在”でした。もっと言えば、上司に染まらず気に入られなければ、人事などで冷遇される時代でした。 しかし、我慢していればいつか美味しい思いをさせてもらえる、という期待もできなくなり、もらえるかどうかも分からないご褒美を我慢してまで待つ必要はない、という感覚がZ世代を中心に広がっています。そういった“ニンジン(ご褒美)”の代わりに、彼らは自分らしくいられる居心地の良さを求めるようになったのです」(原田氏) Z世代が言う「かわいい上司」の条件のひとつに「怒らないこと」があると原田氏は続ける。「『かわいい上司』には、やっぱり“怒る”っていう要素は存在してはいけないと思います。会社という場では、どうしても部下と上司というヒエラルキーが存在します。そういった場での“怒る”という行為は、ニンジン(ご褒美)があった時代には耐えられたけれども、Z世代からしたら、何の得もないなかでただただヒエラルキーを明確に体感する出来事でしかないのです」 いくら「かわいい上司」をZ世代が求めているからと言って、「かわいさ」を演出することに抵抗を感じる人もいるも少なくないだろう。「僕はいま40代ですが、若い頃は本当にみんなが大人を嫌っていた時代でした。理由もなく、オヤジは汚ねぇしうるせぇという時代だったんです。だから、その時代を生きてきた人からしたら『若者に媚びる大人なんて、気持ち悪がられるに違いない』という思い込みがある。 でも、Z世代にはあんまりそういう感覚はなくて、多少不器用でも自分たちのことを知ろうとしてくれる上司の姿勢を、自然に受け入れるようになってきています。下手くそでもいいから、『かわいさ』を目指すこと自体が『かわいい』と評価されることもあります」(原田氏) 職場における人材マネジメントの常識が塗り替えられているという指摘だ。部下から「かわいいですね!」と言われたら、それは最上級の褒め言葉かもしれない。
2021.12.18 07:00
NEWSポストセブン
「近年の男性化粧品はかなり細分化されてきた」と話すマンダムの西村社長
「男には男のメイクがある」 マンダム社長が語る若者の美意識と時代背景
 コロナ禍で訪日外国人の需要が蒸発した化粧品業界。一方、オンライン会議の普及で新たな身だしなみニーズが生まれ、若年男性の間でコスメブームも続いている。そんな中、男性化粧品メーカーの老舗、マンダムでは、どんな一手で市場を深耕していくのか──。今年4月にトップに就任した西村健社長(39)に話を聞いた。――外出自粛が続いて化粧品需要が落ちた一方、テレワークの普及でオンライン会議が増え、新たな身だしなみ需要も出てきました。西村:コロナ禍前は、ほとんどの男性は鏡越しに自分の髪や顔を大雑把に見る程度だったと思います。ところが、オンライン会議が普及したことで、パソコンやスマホの画面越しに映る顔のシワやシミ、ニキビなどが気になってケアする人が増え、新たなスキンケアマーケットが出てきました。女性向けもヘアケアやトリートメント関連の商品が伸びています。 もう1つ、男性向けの除毛クリームやボディヘアトリマーも成長していますね。昨年と一昨年を比較すると、除毛商品の売上げは1.7倍ほどになりました。 当社では2000年から除毛関連商品を細く長くやっています。流行の最先端をいくような男性は以前から除毛クリームを使っていらっしゃるので、このジャンルはコロナ禍とは関係なく伸びています。メンズサロンに行く方も増え、総じて清潔感への意識が高い若年男性が増えています。――男性のヘアスタイリングやスキンケアなどへの意識は、この10年、20年単位で見ると、やはりずいぶん変わりましたか?西村:私はいま39歳ですが、自分が学生の頃は、時代としてスタイリングの使用率は高く、鏡の前で試行錯誤したりしていました。しかしスキンケアは浸透していなく、せいぜい洗顔料を使う程度でした。逆にいまの若い男性は、スキンケア意識は高まっている一方で、スタイリングに関してはカット技術の向上やナチュラル志向もあり、昔ほど使うことにワクワク感やデビュー感ってそんなにないと思うんです。SNS時代で変化した男性の「モテたい」ニーズ――マンダムといえば、古くは1970年代にテレビCMで起用した、俳優のチャールズ・ブロンソンが発した台詞、「う~ん、マンダム」で一世を風靡しました。西村:当時はどちらかといえば男くさい、ワイルド系の商品イメージでしたが、その後、テレビCMで松田優作さんや本木雅弘さん、木村拓哉さんなどにご出演いただき、時代を経るごとにシンボリックな人も変わってきていて、最近では“中性的な”タレントさんたちの人気が高くなっていきました。 韓国のK-POPが流行るようになったことも時代を映していますね。つれて、男性化粧品もかつてはヘアスタイルやデオドラント関連のケア商品だけだったものが、近年はかなり細分化されています。 そこに至った要因の1つは、デジタル社会が浸透したことでプロでない一般の方でも、SNSに投稿した写真の精度やレベルが高くなったことがあると思います。 デジカメでなくとも、いまはスマホでも高画素で高精細な写真が撮れるので、人から“見られる”という機会が、かつてに比べて格段に多くなりました。そのため、自分の清潔感や身だしなみに気を遣う方が増えているのでしょう。――見られる対象も昔なら異性で、異性からモテたいために、おしゃれをしたり身だしなみに気を配るという動機だったのが、最近は少し違うようですね。西村:異性からモテたいという意識はいまも昔も根源的にはあるでしょう。ただ、同性からの好感や清潔感を得たいという欲求が、いまの若い男性には、より強くあると思います。異性にモテたいという気持ち以上に、周囲の仲間と馴染んでいたいという意識といってもいいですね。 昔、特にインターネットがまだなかった時代は、学校の部活動であれ遊びに行くのであれ、仲間や友人たちとの交流はほとんどがリアルの場でした。 いまは、デジタル上で友人とつながってはいますけど、たとえばSNSでフォロワーや「いいね!」がたくさんついていたとしても、それは形があるようなないような、どこか曖昧なものじゃないですか。他人から認められる、あるいは一目置かれるとか、そういう状態を、より物理的に欲しているところはあるのかなという気がしています。情報過多でインフルエンサーの「検索疲れ」も――若年男性の間では、ヘアスタイリング剤はもちろん、スキンケアもかなり当たり前になってきていますか。西村:4年ほど前までは、高校生~20代前半の社会人のスキンケア商品の使用率は20%程度だったのですが、現在はだいたい35%くらいの方が使っているというデータがあります。――スキンケアからさらに一歩進んで、メーキャップに入っていく男性も増えているようですが。西村:いまや色つきのリップクリームは結構当たり前で、血色のいい唇で人に見てもらいたいという意識がありますね。 ただ、彼らが日々接しているSNSには膨大な情報が洪水のように流れています。そこで自分好みのインフルエンサーを検索して探すわけですが、情報過多でついつい目移りしてしまい、ある種の検索疲れ、比較疲れみたいなもところも見受けられます。 化粧品、あるいはファッション分野もそうですが、一定程度のセオリーや理屈があって、消費者はそうした情報をいわば「左脳」で処理するわけですが、一方で、人には誰しも直感的に「右脳」で楽しみたいという欲求もあって、それも大事な要素だと思っています。――そういう意味では今年10月から、マンダムでは「ギャツビー ザ デザイナー」という新ラインのシリーズ商品を投入し、ストリートカジュアル系、ストリートモード系、韓流系に分けて、個性の違うヘアスタイリストを3人、共同開発・監修で起用しています。西村:お三方とも非常に影響力のある方々ですが、それぞれでフォロワーを持っておられるし、ギャツビーブランドから出すメーキャップ商品という括りで言っても、ブランドの世界観がきちんとありますので、おしゃれや身だしなみを1つの世界観として楽しんでもらう提案をさせていただきました。 当社は、時代時代の若い男性に化粧品という分野から常に寄り添ってきたメーカーですので、これまで蓄積してきた知見が数多くあります。 ですから今回の新ラインのシリーズも、女性向けのメーキャップ商品をフォー・メンとして出すようは発想法ではなく、女性向けの商品よりも容器の太さや形状を持ちやすくするようにしたり、鞄の中がゴチャゴチャしないよう、アイブロウのペンシルとマスカラを「2in1」の商品設計にしたりと、「男には男のメイクがある」という点はかなりこだわって作り込みました。 使い勝手の良し悪しはすごく大事な要素だと思いますし、使ってみて楽しい要素も重要。テクニカルな商品を出す時は特にそうですね。男性の美容トレンドを先取りする「韓流アイドル」――メーキャップをする男性は、顔の中でどこを一番気にするのでしょう?西村:たとえば、メイクで小顔に見せたいというよりは、鼻筋をスッとさせて精悍に見せるとか。メイクで顔の陰影がくっきりすると、男性は女性よりも骨格がしっかりしているので、陰影を際立たせることでシャープに見せることができるのです。――韓国では、アイドルをはじめメーキャップをしている男性有名人が多いと思いますが、韓国発で日本に入ってくるような美容トレンドもありますか。西村:それは女性も男性もあると思います。男性向けは化粧品のアイテム数も多くはないのでそれほど目立ってはいませんが、たとえば当社のワックス商品のいくつかは、韓流系を好むヘアスタイルに適した商品があります。 韓国の美容トレンドは日本でも浸透してきていますし、昔のように東アジアのトレンドは日本から発信、みたいなシンプルな話ではなくなってきています。――韓国では美容整形なども日常風景ですしね。西村:あくまでも私見ですが、確かに会社の昼休み時間を使って整形外科に行き、その足でまたオフィスに帰ってくるといったことが日常的にあるようですからね。昔に比べると、化粧品分野も韓国メーカーは少し強くなってきたと感じています。――韓国以外のアジア、あるいは欧米のコスメ事情はどうでしょう。西村:アメリカ人は髪質的にクセっ毛で細い人が多く、ジェル1つとってもいかにグロッシーに見せるかとか、整髪的な意味合いよりも魅せるほうに振っていたりしますね。ヨーロッパなら、フランスに代表されるようにフレグランスへのこだわりがあったりとか、国によっておしゃれのポイントが少しずつ違います。 一方で、東アジアや北東アジアの人たち、特に北東アジアの人は、もともと持っている体臭自体が弱いですから、割とヘアスタイリングとかメイクに凝って化粧品を使う人が多いかもしれません。見た目を気にする40代以上のミドル層―― マンダムでは40代以上のミドル世代に向けては、「ルシード」という商品シリーズがあります。ちょいワルオヤジとはいかないまでも、中年男性でもおしゃれや身だしなみに気を遣う人も少なくありません。西村:たとえばコンシーラーを使用することで、ミドル男性の顔肌の見た目を即時的に変え、印象を変えることができますので、「ルシード」のニーズも底堅く、堅調に推移しています。――今後、40代以上の層に向けた商品では、化粧品というよりヘルスケアに近いような領域に打って出る可能性もありますか。西村:日本の事業だけを考えれば今後も少子化が進んでいきますし、人生100年時代と言われる中、40代以上のミドル層の市場もまだまだ魅力的です。 長く社会で活躍していくには人からの見られ方にも気を配り、気持ち晴れやかに生きたいと考える人も多いと思いますから、われわれもエイジングに対してどうアプローチしていくか、といった観点も今後大事になってきますね。インバウンド需要で遅れた「ビジネスモデル変革」――競合他社との差別化ポイントは、価格戦略的な面も含めてどんな点に重点を置いていますか?西村:商品の値付けに関しては、当社の創業者が、良品廉価ではなく「優良廉価」を普及させたいと言っておりまして、競合云々より、生活者がこの商品の価値をきちんと納得してお求めいただけるようにということでずっとやってきています。 お客様から「ギャツビーブランドだから買いたいけど、この値段じゃちょっと高いよね」と思われない価格と価値でご提供し続けていくことが大事だと考えています。 もちろん機能もさることながら、化粧品を使った時の自分の心の変わりよう、前向きになれる気持ちなども含めて楽しんでもらえることが重要だと思っています。そうした情緒的な価値もきちんと訴求し続けていく考えです。 当社の強みは、創業から90年以上男性化粧品を中心にやってきた知見や研究成果の蓄積によって、男性の身だしなみのことを知り尽くしていることにありますから、そこの深掘りには自信があります。――ところで今年4月に社長に就任され、前社長から一気に30歳強若返ったわけですが、父親でもある元延会長と、世代交代についてはどんな話し合いをしてきましたか。西村:私がスペイン留学から日本に戻ってきたのが2017年なのですが、その頃からいずれはという感触はありました。化粧品業界はコロナ禍前まで、インバウンド(訪日外国人)需要で活況だったわけですが、その分、ビジネスモデルの変革やデジタルの深化などは、インバウンド需要が伸びていたので後回しになりがちでした。 社内にもそういう課題への意識は強くあって、そこへの意識は会長も持たれていたのですが、今年70歳という年齢もあり、変革への思いはあっても、ジェネレーション的に実行していくところまでは難しい部分がありました。 しかもコロナ禍によって変革が前倒しで必要になってきて、化粧品業界もようやく底打ちしつつあるという中で、会長には「しんどい時代だけど、これ以上下がっていくこともないので、思い切ってやりなさい」と言われました。私自身、変革を大胆にやっていくには世の中が大きく変わっていく、いまがそのタイミングであると考えたわけです。30代と50代で広がる「ジェネレーションギャップ」――今後の男性化粧品市場はどのように変わっていくと思いますか?西村:最近は若い方々があまりテレビを観ませんし、先ほども言いましたが必要な情報はスマホを介してSNSを見て得る傾向が強まっています。 私がまだ高校生だった20年以上前は、化粧品はドラッグストアで買うのが一般的な時代でしたが、いまはEコマースであったり、ロフトさんで発売している「ギャツビー ザ デザイナー」のように、積極的に情報収集したりトライしたりする人たちは、従来とはちょっと違った販路からの購入を志向する傾向があります。 マンダムは従来、マスマーケティングが得意でずっとそれをやってきたのですが、そこからなかなか変われない部分もあったのは事実なので、今後もデジタルや多様化した嗜好への対応など、新しいアプローチも積極的に仕掛けていきたいですね。 いま、どの業界でもジェネレーションギャップがすごく大きくなっていると思うんです。昔の50歳と30歳のギャップと、いまの50歳と30歳のギャップを比較してみると、明らかにいまのほうが差は広がっていますし、われわれは「ギャツビー」をはじめ若い人たちに向けた商品も多いですから、若年代の悩みを商品面から解消してもらえるようなマーケティングにも力を入れていきます。――最後に、西村社長ご自身は毎朝、スタイリングやスキンケアにどのくらいの時間を割かれているのでしょうか?西村:私は朝、結構時間がかかるほうでしてね。家を出る1時間半前ぐらいに起きますが、なんだかんだで30分ぐらいは鏡の前にいるかもしれません(笑い)。クセっ毛ということもあって短髪スタイルで通していますので、髪型を整えるのは短時間で済みますが、髭が結構濃いほうなので髭剃りで整えるのに時間を割き、ごく控えめにメイクをすることもあります。【プロフィール】西村健(にしむら・けん)/1982年5月生まれ。早稲田大学卒業後、2008年4月マンダム入社。マンダムシンガポール出向、人事部、欧州駐在でMBAを取得後、2017年に執行役員就任(経営戦略担当)。2018年常務執行役員(マーケティング統括、広報部、新規ビジネス開発)を経て、2021年4月代表取締役社長執行役員に就任し、現在に至る。●聞き手/河野圭祐(経済ジャーナリスト)●撮影/内海裕之
2021.12.12 07:00
NEWSポストセブン
商品が整然と並ぶドイツのスーパーマーケット。店員は、自分の仕事をきっちりやるが、基本的に残業はせず、「お客様は神様」という考え方もしないという(キューリング恵美子氏提供)
「社長に頼まれた仕事でもドライに断る」ドイツ流仕事術はここが凄い
 近年、世界各国と比較して、日本人の給料が上がっていない現実について取り上げられる機会が増えている。その原因の一つに挙げられるのが、日本人の労働生産性の低さだ。 たとえば、EU(欧州連合)の牽引役であるドイツと比較すると、双方の生産性は大きな開きがあるという。ドイツ在住20年以上で、近著『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』が話題のキューリング恵美子氏が解説する。「OECD(経済協力開発機構)のデータ(2017年)によると、日本人の年間総労働時間は1710時間、ドイツは1356時間です。1日の労働時間を8時間とすると、日本人は年間44日もドイツ人よりも働いている計算になります。このデータには、記録に残らない『サービス残業』は含まれていないため、日本人の中には年間3000時間以上働いている人も少なくないと言われています。 一方、日本人の労働生産性(1人が1時間に生み出すGDP)は47.5ドル(約5225円)。ドイツ人は69.8ドル(約7678円)です。単純比較すれば、ドイツは日本の約1.5倍の生産性があると言えます」 言い換えれば、日本人は同じ成果を上げるにも長時間の労働を余儀なくされているということになる。「残業・多忙=仕事ができない人」という価値観 日本でも働き方改革関連法が施行されて、長時間労働を是正する取り組みが進められている。しかし、その一方で、改革の“旗振り役”である厚生労働省をはじめとした中央省庁での長時間労働や残業代未払いなどの問題が明るみに出るなど、日本の労働現場では依然として理想とはほど遠い風潮が残っている。「上司が残業していると先に帰りづらい」「有給休暇や育児休暇が取りにくい雰囲気がある」といった話も耳にする。あるいは、終業間際でも上司から仕事を振られたらすぐに対応する、といった人も多いだろう。しかし、それらは他の国から見たら、大いに違和感を覚える働き方だといわれる。 実際、キューリング氏によれば、ドイツ人のほとんどは残業することがないのだという。「ドイツの人々は、早く仕事を終えて自分の趣味や家族との時間を楽しみたいので、基本的に残業をしないように仕事をしています。企業の多くは、フレックスタイムを採用していて、社員はそれぞれの都合に合わせて仕事を始め、終業時間になるとピタッと仕事を終えるようにしています。逆に、残業を毎日ダラダラしている社員がいたら、その社員の評価は確実に下がります。残業=決められた就業時間内に仕事をこなすことができない、能力の低い社員とみなされてしまうのです」 日本では、遅くまで残業したり休日出勤したりして、少しでも会社のために貢献しようとする社員をねぎらい、評価する向きも少なくない。しかし、ドイツではまったく逆の評価を受けることになる。また、「忙しそうにしている」のも、マイナスの印象を与えるという。「仕事でよく銀行の担当者と話をすることがあるのですが、以前担当してくれていた女性はとても優秀で、毎年昇進し、次に会う時には必ず役職が上になっていました。多忙にもかかわらず、いつも丁寧に応対をしてくれる彼女に、ある日私は、彼女をねぎらうつもりで、『いつも忙しくて大変ですね』と言ったところ、その後、彼女は私の担当から外れてしまいました。なぜかというと、私の気遣いの言葉が、彼女には嫌味に聞こえてしまったからです。 日本人には理解しがたいかもしれませんが、ドイツ人は『忙しくしている=仕事ができない、仕事が遅い』と、ストレートに言葉の意味を受け取ります。そのため、私の気遣いの発言は、彼女にとっては嫌味にしか聞こえなかったのです」(キューリング氏)基本は「他の仕事を割り込ませない」 そうは言っても、仕事が溜まってしまえば、残業せざるをえないのではないか──そんな疑問に対して、キューリング氏はこう答える。「一般の社員が、万が一その日のうちにこなそうとしていた仕事が終わらなかった場合、すぐに残業をするのではなく、その仕事の重要度、期限、翌日以降の仕事の量を考慮して、残業の必要性を確認します。 上司から急遽(きゅうきょ)依頼された仕事に関しても、その場で同じように確認します。たとえ上司から頼まれた業務であったとしても、重要度と期限を考慮して、自分の業務を優先させることがあります。『他の仕事を割り込ませない』という考え方があるからです。 仮に上司が突然仕事を振ってきても、自分にできる仕事の量は限られています。プライベートの時間を切り売りするような働き方は選択肢に入らないため、上司とコミュニケーションをとって新規の仕事を断ることもあります」 ドイツと日本の働き方の違いには、あらかじめ仕事の内容や労働条件が明確な欧米的な「ジョブ型」雇用と、“人に仕事をつける”日本的な「メンバーシップ型」雇用の差もあるだろう。自分に課せられている役割分担が明確になっていれば、業務外の仕事を引き受ける必要はないと割り切ることもできる。「極論を言うと、社長に『コピーをとってくれ』と頼まれたとしても、それが本来の自分の仕事でなければ、断ることができるのがドイツの企業文化なのです。だからドイツ人は、就業時間中は課せられた業務をひたすら集中して処理していきます」(キューリング氏) いきなり欧米流の働き方を取り入れるのは難しいかもしれない。それでも、生産性が低いままでは、「働き方改革」もままならない。ドイツ流の仕事術を参考にしながら、自分の仕事のやり方を見直すことも必要ではないだろうか。【参考文献】『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(キューリング恵美子著・小学館新書)
2021.12.11 16:00
NEWSポストセブン
今年3月、デブリ回収のための実証衛星をバイコヌール宇宙基地から打ち上げた(写真提供/GK Launch Services)
深刻化する宇宙の環境問題 「スペースデブリ」除去サービスの事業化目指す
 米ソ宇宙開発競争が活発化した冷戦下の1950~1970年代、宇宙への旅は多くの人にとって憧れであり、“夢のまた夢”だった。しかし、それから半世紀が経った現在、宇宙ベンチャー企業の技術革新により「誰しもが宇宙に行ける時代」が訪れようとしている。宇宙の利用がすすむにつれ、新しい環境問題が浮上している。 宇宙空間で問題となるのが、軌道上に浮遊する宇宙ゴミ(デブリ)だ。使用済みの衛星やロケットの残骸、それらが衝突して生じる破片……。その数は10cm以上のもので3万6500個以上、小さなものを含めると100万程度に上るという。 デブリは秒速約7~8kmという高速で動いている。1cmほどの破片であっても、軌道上でぶつかれば衛星が粉々に破壊されてしまう。破壊されたデブリ同士が衝突し合うと、その数はさらに増えていく。将来的な宇宙旅行の安全を考える上でも、デブリは深刻な「宇宙の環境問題」なのだ。 デブリの除去サービスの事業化を目指し、今年3月から高度約550kmの軌道上で実証実験するのがアストロスケールだ。ゼネラルマネージャーの伊藤美樹氏は「これまでの宇宙は使い捨て文化でした」と言う。「作っては打ち上げ、ミッションを終えればそれで終わりだった。しかし、今後、さらに多くの衛星が軌道に投入されるようになれば、持続可能な宇宙利用にとって、ゴミ回収サービスは不可欠。国際的なルール作りが必要になるでしょう」 同社は磁石によってデブリを回収し、大気圏に落として燃やす機能を持つ「ELSA-d」を開発。最初はロボットアームや網、粘着材、銛といった案も検討されたなか、磁石を利用する手法を採用したそうだ。 同社は将来的に、故障した衛星の回収や燃料補給による寿命延長など、総合的な「軌道上サービス」を展開する構想だという。「衛星が周回する地球軌道は有限の資源です。宇宙旅行でも衛星の打ち上げでも、軌道上のどの場所が混雑しているのかという道路交通情報センターのような仕組みが必要になっていくはず。いわば高速道路のロードサービスのように、軌道の環境を支える企業になっていきたいと考えています」取材・文/稲泉連※週刊ポスト2021年12月17日号
2021.12.10 11:00
週刊ポスト
周囲を海と湿地に囲まれたロケット発射場「北海道スペースポート」(写真提供/インターステラテクノロジズ)
ロケット射場「北海道スペースポート」 日本を代表する宇宙港への意気込み
 とかち帯広空港から車で40分。東に太平洋が広がる大樹町の原野に、「北海道スペースポート」というロケットの射場がある。小型輸送ロケットの開発・実証を続けるインターステラテクノロジズの社長・稲川貴大氏は、将来、この地域が日本を代表する「宇宙港」として栄える未来を見ている。 2013年、実業家の堀江貴文氏の出資を受けてロケットの開発を始めた同社は、小型ロケット「MOMO」の開発で知られるベンチャー企業だ。コンセプトは小型で安価な輸送ロケット。2019年には地上100kmに観測ロケットを送ることに成功し、彼らは日本の民間単独ロケットとして初めて宇宙空間に到達した宇宙ベンチャーとなった。今年7月にも「ねじのロケット(MOMO7号機)」と「TENGAロケット(MOMO6号機)」の2機連続打ち上げに成功している。 同社の特色は様々な技術を自社開発する独立系ベンチャーであることだ。MOMOはロケットの中では最小のものだが、それでもエンジンには「小型の火力発電所と同等」の出力が必要だという。そこに複雑な制御技術を組み合わせ、コストの安さと安全性をどのように両立させるか。開発は試行錯誤の連続だった、と稲川氏は振り返る。「とにかくモノを作っては試してみる。ある程度の失敗を許容しながら、開発のサイクルをいかに早めるかがポイントでした」 現在、彼らが同様に急ピッチで開発を進めているのが、地球の周回軌道に小型人工衛星を送ることができるロケット「ZERO」だ。「いまは日本でのロケットの打ち上げはせいぜい年間に3~5回。これでは企業が衛星を打ち上げたり、宇宙で何らかの実証実験を行ないたくても、機会が少なすぎます。民間による新しい技術の発展を妨げていると言えるでしょう」 一方、2023年度に初回の打ち上げを目指すZEROでは、将来的な量産化後に年数十回の打ち上げの実現を想定している。「私たちはZEROによって、これまでは10年かかっていた宇宙での様々な実証実験を、1年もあればできるようにしていきたいんです。民間企業が宇宙をより利用しやすくすることで、『宇宙産業』の発展スピードを速めたいわけです」 例えば、月に1回以上のペースで、大樹町の射場から彼らのロケットが打ち上がる。そのとき町は「宇宙港」として賑わい、様々な民間企業が「宇宙で何ができるか」を当たり前のように考える──。そんな日常を稲川氏は作り出したいと考えている。「いまは国が主導してきた『宇宙開発』が、民間による『宇宙産業』に移り変わるまさに黎明期。これからの『宇宙産業』に必要なのは、エンジニアだけではありません。宇宙で新しい産業を興そうとする起業家やビジネスを構想する人、コンサルティング会社など、幅広い業界の人たちが『宇宙』という場所を活用していく。夢やロマンではなく、そこにある『現実としての宇宙産業』を私たちは見ています」取材・文/稲泉連 撮影/黒石あみ※週刊ポスト2021年12月17日号
2021.12.09 11:00
週刊ポスト
東京・日本橋には月着陸船、月面探査車に指令を与えるためのミッションコントロールセンターが
「ムーンバレー構想」2040年代は月面で1000人が生活、年1万人が月旅行も
 2040年代、月面で1000人が生活し、年間1万人が「月旅行」をしている──。そんな「ムーンバレー構想」を掲げる宇宙ベンチャーのispaceにとって、人類が月を日常的に利用する世界は「すぐそこにある未来」だ。 4年前、同社は国際的な月面無人探査レース「Google Lunar XPRIZE」でファイナリスト5チームに選出。当時のチーム名「HAKUTO」を受け継ぎ、「HAKUTO-R」という月面探査プログラムを進めている。2022年には月着陸船(ランダー)を月面に送り、2023年には自社開発の月面探査車(ローバー)の実証実験を行なう予定だ(スケジュールは2021年11月時点の想定)。 さらに、その後は月面にある環境の調査、特に水資源の調査・掘削を目指し、人類の「月面生活」の最初の一歩を担う──。彼らの当面の目標である。「人が月に暮らすに当たって、何よりも重要なのが水です」と、同社のCOO・中村貴裕氏は言う。「水は生活用水だけではなく、水素と酸素に分けて液化すればロケットの燃料になります。2010年以降の調査で分かってきたのは、月の極域には1mほど掘れば大量の氷があり、その量は数十億tに上るかもしれないということ。月面に建設したプラントで水素燃料を作り出せれば、着陸船や月面探査車、さらには火星探査に向かうロケットの中継基地になり得るのです」 そんななか、アメリカも月の開発に本腰を入れ、月軌道に宇宙ステーションを作るゲートウェイ構想を開始している。 重力が地球の6分の1である月では、ロケットの打ち上げコストが地球よりもずっと安価になる。38万km離れた地球軌道にいる衛星に補給燃料を送る場合でも、地球から輸送するのに比べて、はるかに安いコストで済むのだという。 また、月にはソーラーパネルの原料となる鉱物もある。「よって、いずれ月は宇宙における水素ステーションとして位置づけられていくでしょう。そのように月に経済圏が生まれることは、人類にとって大きな意義があるはずです。地球の経済圏と月の経済圏がお互いにフィードバックし合うなかで、様々な技術やビジネスが培われていくからです。そして、その中心となるのが、僕らの調査しようとしている水資源であるわけです」 1000人が滞在し、年間1万人が月を訪れる「ムーンバレー構想」──それを現在の地球に当てはめると、観光地としての「南極」とほぼ同じくらいの規模だそうだ。「観光業やメディア、教育業界にとっても、宇宙や月面といった“コンテンツ”は魅力的でしょう。地球と月を人が日常的に行き来するようになるうち、宇宙旅行のコストも徐々に下がっていきます。当社は月面への高頻度かつ低コストでの輸送を行なうことで月と地球の経済圏を支えていきたい。社員が『出張』で月に行くような世界が、当たり前になっていくかもしれませんね」取材・文/稲泉連 撮影/黒石あみ※週刊ポスト2021年12月17日号
2021.12.08 16:00
週刊ポスト
HISとANAが出資するPDエアロスペースは航空機型のロケット開発を進める(時事通信フォト)
盛り上がる民間人向け宇宙旅行ビジネス 2029年の商用化目指す日本企業も
 12月8日、実業家の前澤友作氏が宇宙へ出発する。向かう先は地上400kmの軌道を周回する国際宇宙ステーション(ISS)。搭乗するのはロシアの宇宙船ソユーズで、出発地はカザフスタンのバイコヌール宇宙基地だ。 その翌日の9日、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が設立したブルーオリジンもまた、5人の民間人が搭乗するロケットをアリゾナの射場から打ち上げる予定だ。今年7月以来、同社の有人宇宙飛行は3度目。搭乗者の1人はアメリカ人の最初の宇宙飛行士、故アラン・シェパード氏の娘で、他の4人は投資家だという。 現在、世界では民間人向けの「宇宙旅行」ビジネスが盛り上がりをみせている。 すでに約900人が申し込んでいるヴァージン・ギャラクティック、スペース・アドベンチャーズ、イーロン・マスク氏のスペースXといった企業が次々と存在感を示しており、高額な旅行費を出せさえすれば、「宇宙旅行」は既に身近なものになり始めているのだ。 日本発の宇宙旅行サービスを目指すPDエアロスペースの代表・緒川修治氏は、「宇宙旅行の申し込みをした人は、既に約2万人に上ると言われています」と話す。いずれその一翼を担おうとする同社が開発しているのが、「サブオービタル」の宇宙旅行に使用する航空機型の宇宙船だ。 人工衛星やISSの飛行は、地球を周回する「オービタル飛行」と呼ばれる。一方、地上100km程度まで上昇し、自由落下によって約5分の「無重量」を提供する形態を「サブオービタル飛行」と呼ぶ。「我々は沖縄県の下地島空港で実証実験を行なっています。航空機型の宇宙船であれば、射場に適した土地の少ない日本でも、既存の空港を『宇宙港』として活用できます。また自然豊かで海に囲まれた『島』を出発地にすることで、地球の美しさを上空からも感じられるプランが提案できます」 事業計画では2029年にサービスを開始し、初年度は50人、5年後に年間1000人の宇宙旅行の実現を目指す。同社の宇宙船で注目すべきは、飛行高度、すなわち大気環境に応じて「ジェットとロケットの切り替え」ができる独自エンジンを搭載していることだ。「ジェットモードで飛び立ち、宇宙空間をロケットモードで飛行、着陸時に再びジェットモードに切り替えることで、東京とニューヨークを2時間で移動する『極超音速機』になります。再使用可能な宇宙往還機なので、宇宙空間まで“ロケット”を運び、これにより人工衛星を軌道に投入する事業にも活用できます」 現在の宇宙旅行はまだ“旅行が好きなセレブ”のものだが、いずれ「退職金で夢だった宇宙に行ってみる」と思えるくらいのものになる、と緒川氏は続ける。「世界で民間による宇宙飛行が現実となった本年は、数十年後に振り返った時、『宇宙旅行元年』だったと言われているはずです。我々も事業化に向け、準備を進めていきます」取材・文/稲泉連※週刊ポスト2021年12月17日号
2021.12.06 19:00
週刊ポスト
昨年の年末ジャンボでも1億円以上当せんしているのに未換金となっている本数が6本もある(時事通信フォト)
宝くじの「時効当せん金」は毎年100億円以上 なぜ高額当せんでも換金されないのか
 年末ジャンボ宝くじが発売されている。コロナ禍に揺れた1年の締めくくりとして、億万長者の夢を求めて宝くじを買ってみるのもいいだろう。だが、それとともに、去年買った宝くじの当せん確認を忘れてないか振り返ってみることも大切だ。毎年、多額の時効当せん金が出ているからだ。宝くじの時効について、ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也氏が考察する。 * * * 毎年、師走の声を聞くと、あっという間に年の瀬のムードが高まっていく。特に今年は年始からコロナ禍に翻弄され続けて、さまざまなことに自粛や我慢を強いられる1年だった。 いま発売されている年末ジャンボ宝くじは、そんな1年の終わりに、夢をみるためのレクリエーションとして価値が高まっているといえるだろう。年末ジャンボとジャンボミニを何枚ずつ買おうか。買い方は、連番か、バラか、3連バラか……など、いろいろ考える人も多いだろう。 ところで、せっかく買った宝くじも、当せんの確認をしなければ当せんしていることに気付かないまま時効を迎えてしまう。法律(当せん金付証票法)では、当せん金の時効について、「当せん金付証票の当せん金品の債権は、これを行使することができる時から一年間行使しないときは、時効によつて消滅する。」(第12条〈特別措置〉) と規定されている。 では、実際にどれぐらいの当せん金が時効になっているのか? 宝くじを運営する全国都道府県及び全指定都市の公表内容をもとに、みていくことにしよう。毎年100億円以上発生する「時効当せん金」 年に5回行われるジャンボ宝くじを含めて、宝くじ全体で当せん金の時効がどれだけ発生しているのか? その推移をまとめたのが、別掲(図1)のグラフだ。 2020年には、時効当せん金は128億円。この金額は前年度の販売総額の1.61%に相当する。毎年度、100億円を超える時効当せん金が発生している。 これは、そもそも発売総額の5割に相当する額までとされている、当せん金の総額のうち、1.61%が換金されていないことを示しており、それだけ宝くじの楽しみを味わい損ねているともいえる。10年間で時効となった1億円超の当せんは145本も 時効の大半は、当せん金額の小さい300円などが占めている。ただ、そればかりではない。中には当せん金額1億円以上の高額当せんも相当数含まれている。 時効となった高額当せんの本数をまとめたのが、別掲図2のグラフだ。近年は、毎年度10本前後が時効を迎えている。特に2013年度には21本もの1億円当せんが換金されずに終わっている。 さらに高額の当せん金4億円以上でみても、毎年度1~4本の時効が発生している。 このように、億円単位の当せん金を換金せずに時効となってしまうのは、「もったいない」どころの話ではない。もし時効後に何かのきっかけで買ったくじが当せんしていたことに気付いてしまったら、生涯悔やんでも悔やみきれないだろう。ジャンボ&ミニの当せん確認取り違えに要注意 宝くじの当せん金の時効はどうして起こるのか?「宝くじを買ったこと自体を忘れてしまった」「宝くじの当せん確認をするのが億劫だった」「300円などの末等が当せんしたが、小額の当せん金を換金するのが面倒だった」「ジャンボとジャンボミニの当せん確認を取り違えてしまった」「買った宝くじをどこかに無くしてしまった。」――など、いくつかの理由が考えられる。 購入自体を忘れてしまったり、確認が億劫だったりするのは、意識を高めて防ぐしかないだろう。せっかく宝くじを買ったのだから、なんとか忘れずに、ぜひとも当せん確認にこぎつけたいところだ。 また、小額の当せん金も面倒くさがらずに、換金したほうがいいだろう。 ジャンボとジャンボミニの当せん確認の取り違えは要注意だ。特に、両方のくじを買っている場合は、誤って「ジャンボの宝くじの当せんを、ジャンボミニの当せんの表で確認する」といったミスが起こりかねない。ここは、それぞれの当せんの確認を冷静に行いたいところだ。 いったん確認が終わった後、「もしかしたら、もジャンボとミニの当せんの表を間違ってみていないだろうか?」とチェックをしてみるのもいいだろう。宝くじの保管場所「額縁の裏」や「冷蔵庫の中」も 買ったくじをどこかに無くしてしまった場合は厄介だ。くじが見当たらないと、「どうせ高額の当せんなんか当たっていないから、探すだけムダだ」という、あきらめの考えが出やすい。 では、どこを探せばよいか? 1000万円以上の高額当せんを受け取りに来た人にアンケートした結果によると、宝くじ券の保管場所として多かったのは、「机の引き出し」「神棚や仏壇」「カバン・ハンドバッグ」だったという。 その他にも、たとえば、衣替えをしてタンスにしまった洋服のポケットの中、クルマのダッシュボードの中、ヘソクリと同様に大切にしまったつもりの額縁の裏、冷蔵庫や靴箱の中など。どうしてそんなところにあるのか分からないが、とにかくあらゆる場所を探したい。「支払い期限」が迫る昨年の年末ジャンボ それでは、時効となった当せん金はどうなるのか? 時効当せん金は宝くじの収益金と同様に、発売元である全国都道府県及び全指定都市へ納められて、収益金とともに公共事業などに役立てられる。つまり、社会のために広く役立てられるわけで、決してムダになるわけではない。 ただ、時効で当せん金を換金できなかった場合、そんなに広い心で悠然と構えられるものではない。やはり、くじを買った立場からすれば、当せん金の時効はぜひとも避けたいところだ。 まだ換金されていない高額の当せん金については、宝くじの種類別に支払期限や本数が公表されている。 最近の公表内容によると、10月29日現在、去年の年末ジャンボで1億円以上当せんしているのに未換金となっている本数は「6本」あるという。その支払期限は2022年1月7日に迫っている。「正夢」が「悪夢」に変わる時効 去年、年末ジャンボを買った人で当せんの確認をし忘れている人は、ぜひこの機会に確認すべきだろう。 今年の年末ジャンボをどう買うかも大事だが、それとともに、去年の当せん確認も大切だ。去年買った宝くじの当せん確認ができれば、今年分と去年分の2回分、ダブルで宝くじを楽しめることになる。 よく、宝くじを買う人は、その理由として、「くじを買ってから当せん発表までの間、夢を見ることができるから」という。たしかに、くじを買った人だけが一攫千金の夢を見ることができる。くじは買わなければ絶対に当たらない。 ただし、くじを買っても当せん確認をしなければ、当たったことに気付くことすらできない。そうなれば、夢は夢のままで終わってしまい「正夢」にできない。 それどころか、もし時効となった後に、何かの拍子に高額当せんしていたことに気付いてしまったら、言いようのない「悪夢」を味わうことにもなりかねない。 そうならないためにも、いま一度、過去に買った宝くじの当せん確認忘れがないかどうか、振り返ってみるべきだろう。
2021.12.06 07:00
NEWSポストセブン
1993年、新宿区歌舞伎町のゲームセンターで夜遅く、クレーンゲームに興じる若者たち(時事通信フォト)
ゲーセンの経営を支えるクレーンゲーム マニアも知らない「グレーな実態」
 コインを入れると操作できるボタンやジョイスティックでクレーンを前後左右へ動かし、透明な箱の中に積まれている景品をつかみとる「クレーンゲーム」は、ゲームセンターだけでなくスーパーマーケットや映画館、観光地などにもある敷居の低いアーケードゲームだ。景品をクレーンでつかむのが簡単ではないことでも知られているが、近年ではまったく景品をとれないように設定する「クレーンゲーム詐欺」や景品の偽物、模造品が摘発されている。俳人で著作家の日野百草氏がゲームセンターの現状、クレーンゲームの運営そのものがグレーな仕組みで成り立っている実態についてレポートする。 * * *「クレーンゲームね、大半のところはグレーでしょうね、そもそも厳密には違法ですし」 関東の古びたリサイクルショップ、積まれた生活用品、家電の山に埋もれるように店主(60代)はいた。店でひときわ華やかなのが入り口の旧型クレーンゲーム、そのケース内ではファンシーなぬいぐるみが色あせている。店主はかつて、いまはなき中堅メーカー系ゲームセンターの店長もしていた。現在もグレーな関わり(言及はしない約束)ながら、独立系を中心にアミューズメント業界に精通している。「高価な人気ゲーム機をクレーンゲームの景品にする、あれも本来は違法です」 ほのぼのとしたクレーンゲームのイメージにそぐわない「違法」という物騒な話、こうしたクレーンゲームの類を総じてプライズゲーム(「UFOキャッチャー」はセガ固有の商標)と呼ぶが、いわゆるゲームセンター、風営法5号(改正前は8号)営業店舗のクレーンゲームは「おおむね800円以下のものを提供すること」という解釈基準により特別に「許されて」いる。風営法第23条2項で「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」とあるものの「(違法と)当たらないものとして取り扱う」という特例(本旨ではないため個々の法解釈は言及しない)でお目こぼしを受けている状態だ。昭和の時代からガムやチョコ、キャンディー程度なら黙認されてきたがクレーンゲームも警察次第、業界の自主規制で運用されるグレーな存在である。もちろん高額景品なら射幸心を煽る「賭博」とされる。「でもね、プリクラもありますけど、やっぱり稼げるのはクレーンゲームですから」 日本アミューズメント産業協会(以下JAIA)によれば2019年のクレーンゲームを筆頭としたプライズゲームの売り上げは2988億円で総売上の55.3%を占める。いまやゲームセンターの売り上げの半分以上はプライズゲーム、とくにクレーンゲームだ。JAIAは主に5号営業を対象とした業界団体で今回、取材で疑問点など回答を得たので、その内容を逐次注釈とした。また、本稿ではプライズゲーム全般を便宜上クレーンゲームとする。「(高額景品は)ボウリング場とかショッピングモールとかね、ゲーセンより好き勝手です」移動制限とか下降制限、配置などクレーンの操作はしています 実際、ゲームコーナー(業界の呼称はシングルロケ)など風営法にあたらない店舗の一角にあるようなクレーンゲームにはゲーム機本体や携帯音楽プレーヤーを景品にしている筐体もあるが、これは明らかな高額景品、グレーどころか法的にアウトである。「でも捕まったりはしませんからね、(警察も)その程度なら注意するくらいでしょう。見せしめでやられたら運がなかった、でしょうね」 こうしたショッピングモールやビデオショップなどにあるゲームコーナーの一部は風営法が適用されない規模(営業面積の10%以下)やレイアウト(明確な入り口や区画を作らず一般営業フロアの一部とする)で対処している。また2017年、「絶対取れないクレーンゲーム」で大阪のゲームセンターが摘発されたが、このように絶対取れない設定にも関わらず「取れると称して遊戯に誘引」した場合は詐欺罪(2018年、実際に詐欺罪で有罪判決)となるが、立件するには単に「取れない」というだけでは難しい。「なかなか証明できませんからね、まあ民事で野放しです。警察も暇じゃない。景品にもよりますが、まともなゲーセンなら1個取るのに3000円くらい使ってもらえれば御の字、そんなところじゃないですか」 ペイアウト率(景品の払い出し)は30%もあれば上出来ということで、あくまで店や景品原価にもよるが3000円というのはそれほどボッタクリではない、ごく普通だという。「筐体にもよりますがプレイ回数、インカム(入金数)、プライズの(排出された)数を見て払い出しの調整をします。実際はもっと複雑ですが、簡単に言えばこんな感じです」 だとすれば店側が操作すれば、それは100円、200円で取れるゲームにもなるし、1万円使っても取れないゲームにもなるのでは。「もちろん操作はしてます。アームをゆるくしたり、移動制限とか下降制限、配置を工夫したりね。大手は決まりがありますが、独立系や風営法外でやってる店はこれまた好き勝手でしょう。絶対取れないのはダメだけど、難易度そのものに法規制はありませんから」 移動制限とはアームの可動域を狭めること、下降制限はクレーンの降りる位置を調整すること、配置とはプライズを置く場所で、いかにも取れそうな(落ちそうな)場所に置いたりする。客も必死なら店も必死、常に100円、200円で取られては経営が成り立たない。「結局は店のさじ加減ですね。日々試行錯誤です」 その店側のさじ加減、試行錯誤に問題はないのか。それこそ確率機、ある一定額以上のお金を費やせばアームのパワーが強くなって景品をとれる確率が高まる、「必ず」まとまった金額を使わせて景品をとらせる、とされる確率機はユーザー間で当たり前のように語られるが、公式にはその存在を明確には認めていない。確率を設定できる筐体はあるが確率機ではない、あくまでクレーンを操作する遊び、というスタンスである。当たり前の話で、技量を無視した結果の制御は5号営業のゲーセンでは風営法違反となるからだ。大問題では?「大問題でしょうね。筐体にもよりますが、それをいいことに好き勝手やってる店は本当に酷い。だから確率機なんて噂される。実際、確率機呼ばわりされてもしょうがない」 これについてJAIAからは「機械の調整について協会は決められない、各社にゆだねている」と回答いただいた。前述の2017年の「取れない詐欺」のような件は「個別の事例で協会へ報告があった場合は、所管の警察と相談して対応している」とのことだが、やはり難易度や確率に関しては各社、各店舗の自主判断でしかないようだ。日本ではないが、今年アメリカでセガの現地法人が「一定金額を入れないと取れない設定にして、いつでも腕次第で取れると称する確率機は詐欺」と訴えられている。2019年にはアリゾナ州も訴えた(のち和解)。ちなみにタイではクレーンゲームそのものが賭博とされ、すべて許可制である。結局、経営が厳しい もちろん日本でも店によっては好き勝手、逮捕まで至らずとも指導が入ることは少なくない。昨年末には山形県のゲームセンターが行政指導を受けた。前出の店主が続ける。「クレーンでくじを取らせて景品と交換するやつですね、あれはだめです。グレーでもなんでもない。二次交換は完全に違法です」 二次交換と呼ばれるくじを景品と交換する行為は、ゲームセンターのような5号営業には認められていない。4号営業(旧7号営業)のパチンコ・パチスロ店(この場合くじでなく出玉)に認められている行為だ。たとえばクレーンゲームで取った景品を店員に「他の景品に替えて」とお願いしても断られるのは二次交換、違法だからである。「それでも違法な二次交換は無くなりませんね、一見さん相手の観光地なんかでよく見るでしょ、ゲーセンはパチンコと違うからダメなのに」 こっそり交換してくれたなんて個別の事例はともかく、原則的にはその景品を取って終了、でなければならない。パチンコ店のような4号営業は出玉を景品(ライターの石とか貴金属など)に替えられ、さらにその景品と称する物体を別の店に持っていけば現金に替えられる(三店方式)が、あくまで4号営業かつそれぞれ別の店だから許されている。なぜ許されているかは政治の話となるが、5号営業やそれに類するゲームセンターは許されない。「結局、経営が厳しいんですよ。コロナで潰れた店も多いですから」 コロナ禍以前からゲーセン業界はインターネットやポータブルゲーム機、スマホゲームを始めとした消費者の嗜好と遊戯の変化に苦戦していた。そこに降って湧いたコロナという災難、ゲーセンの多くは自粛を守ったが、保証金ですべてを賄うことなど不可能だ。ゲーセンの中にはなけなしの保証金を受け取らずに営業を強行せざるを得なかった店舗もあったが、結局売り上げ不振で閉店、廃業した店も多い。正直に自粛を守ったばかりにゲーセンは追い詰められた。セガサミーホールディングスはゲームセンター事業を他社に譲渡して撤退、エターナルアミューズメントは自己破産した。各地の独立系も軒並み閉店している。「だから違法なことをしていいとは言いませんが、背に腹は代えられないんでしょうね。クレーンゲームの高額景品などまさにそれです」 こうした動きに対してJAIAは『アミューズメント施設における景品提供営業のガイドライン』として自主ガイドラインを定めている。会員の場合は注意し、非会員の場合は「逸脱が酷い場合は所管の警察署に相談」している。「以前から偽物や模造品も景品に使われてますね。店が問屋に騙されたとかもありますが、偽物が欲しいとか、そうした依頼を店がしていることもあります」 この店主の話、もう完全に犯罪だが、悲しいかな一部の悪質な店舗には偽物、もしくは模造景品が実際に横行している。「警察から目をつけられたら引っ込めて、ほとぼり冷めたらまたやる感じです。いたちごっこですよ」 事件化したものでは2016年、秋葉原のゲームセンターがスクールアイドル活動を描いた人気アニメ『ラブライブ!』の偽グッズを景品にして書類送検された。直近では2021年11月に愛知のゲームセンターやその運営会社が『鬼滅の刃』の類似品をクレーンゲームの景品にして混同惹起行為で書類送検された。理由は「売り上げを伸ばしたかった」とのこと。「そうした景品は独自のルートがあります。それを手引きするブローカーや代理店もあります」このような偽物、模造品があるということは、それを扱う業者がいるということだ。実際、この事件では卸した3社が逮捕、もしくは書類送検されている。「他に人気のだと『モルカー』とかね、似たような景品ありますよ。昔のジッポーっぽいライターとかと同じパロディという名目ですけどね。悪質なとこだと『ワンピース』とか『ドラゴンボール』なんかも偽物、つまり海賊版が景品にされています」 重ねて、こんなことをしているゲームセンターやゲームコーナーはごく一部、と言いたいところだが、自社プライズが豊富で法令遵守の厳しい大手ゲーム会社のチェーン店でもない限り大なり小なり存在する。とくに地方のロードサイド店舗の独立系などは酷い。「景品を安く済ませて利益率を上げたいのもありますが、鬼滅みたいな人気プライズは場末のゲーセンだと仕入れも大変なんです。とにかくどこも苦しい、だから違法な行為に手を染める」 これについてもJAIAでは、著作権に特化して定めた『AMプライズマーク』を景品に貼付しているので確認してほしいとのこと。このプライズマークのない景品は適正でない可能性があるという。クレーンゲームに若い転売ヤーが群がる いまやゲームセンターは存亡の危機。その家賃や電気代、人件費を鑑みれば明らかに限界である。実際、各店舗スタッフから聞かれるのは厳しい声ばかりだ。先の店主の話をさらに掘り下げるため、筆者は都内のゲームセンターに勤める知人に改めて話を聞いた。「クレーンゲームね、グレーな設定が横行しているのは事実です。表に出てないだけでプライズ関連は言えないことばかりです。店によっては限りなく取れない鬼設定にしています。独立系なんて、いつ警察から警告が来てもおかしくない店もあります」 JAIAも指導はしているが非加盟の店舗に対して強制力はないし警察も立証が難しい。大金はたいて取れなくても実力と言われればそれまでだ。「客層も変わりました。一般客とは呼べないようなあやしい連中もいます」 昔のクレーンゲームといえば一時の楽しみに興じる家族連れやカップル、酔客などが中心だったが、近年は新たな客が増えたという。「転売ヤーですね。油断するとごっそり持ってかれます。うちだと若者の集団です。フリマアプリで売って小遣い稼ぎしてるのでしょう。鬼滅がとくに狙われますが、マニアが好む人気フィギュアも狙われますね。相場をきっちり調べてるみたいです」 手に入れた景品を売っても違法ではないが、転売ヤー対策で厳しい設定にすると一般客まで離れてしまう。かといって一般客向けに易しく設定すれば連中の餌食となる。「その一般客の財布の紐も昔に比べて固くなりました。いまゲーセンって高くつきますから。クレーンゲームに大金使う人なんて転売ヤーの他にマニア、あと水商売とか限られます。昔みたいに1000円そこらで楽しめる場所じゃないですからね。でも店を維持するにはそうせざるを得ないんです。つまり、いろいろ限界なんですね」 地域差もあるのだろうが、聞けば聞くほどにクレーンゲームのほのぼのとしたイメージとは真逆の現実、それでもゲーセンはクレーンゲームに頼らざるを得ない。なるほどクレーンゲームだけのゲーセンが増えるわけだ。「他の筐体もありますけどクレーンゲームほどじゃない。うちの稼ぎも大半はクレーンゲームです。クレーンゲームの人気が無くなると店は維持できない、それくらいゲームセンターはクレーンゲーム頼みです。でもそれって危険ですよ、次の展開がなければ、新しい稼げる何かがなければゲーセンそのものが本当に終わっちゃうかもしれないんですから」 経営が厳しいから、その場しのぎのグレーな行為に手を染める、そうして一般ユーザーが次々と離れてしまう。コロナ以前からゲームセンターの衰退が噂されて久しいが、不明瞭な仕組みでユーザーを翻弄するような、それが許された平成までの「ゲーセン」気質のままではもう乗り切れない。クレーンゲームによる一連の摘発や悪い噂の数々は表層の一角、健全化はもちろんだが、日本全国で廃業に追い込まれ続けるゲームセンターという業態そのものが、その場しのぎでない大転換を迫られているのかもしれない。【プロフィール】日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。1990年代から月刊「コンプティーク」を始め多くのアニメ誌、ゲーム誌や作品制作に携わった経験を持つ。近年は文芸、ノンフィクションを中心に執筆。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。著書『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社・共著)、近著『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)他。
2021.12.05 16:00
NEWSポストセブン
【動画】年収1000万円以上世帯が4割超 東京23区の超高収入エリアは
【動画】年収1000万円以上世帯が4割超 東京23区の超高収入エリアは
 『週刊ポスト』が、所得水準に着目し東京23区を10グループに分けて特徴をまとめました。 もっとも高所得な世帯が密集しているのは千代田区西部の山の手地域から港区北部へと広がる地域で、なかでも港区麻布永坂町は年収1000万円以上の世帯が4割を超えています。 調査にあたった、『東京23区×格差と階級』の著者で早稲田大学教授の橋本健二氏は「この地域は、大卒者と単身者の比率が高く、高学歴のキャリアウーマンが単身で住む“ホワイトカラー女性地区”になっていると推測できます」と解説しています。【↑ 上の写真クリックで動画へ】
2021.12.05 07:00
NEWSポストセブン
テレワークの普及でマンションに広さと部屋数を求める人が増えている。
世帯年収1400万円のパワーカップルが都内新築マンションを買いあさる「危うさ」
 東京都心の新築マンションの価格上昇が止まらない。月によっては平均1億円を超えることもあるが、それでも契約率は高い水準を維持して売れている。好調な売れ行きを支えているのが、夫婦ともに高収入のパワーカップルといわれるが、そこには大きな落とし穴が潜んでいる。住宅評論家の山下和之氏がレポートする。 * * * 民間調査機関の不動産経済研究所の調査によると、2021年1月から10月までの首都圏新築マンションの平均価格は6565万円。10月としては過去最高だったバブルのピーク時の6123万円を大きく上回っており、2021年1年間の平均が過去最高を更新するのは間違いない。とんでもない価格上昇だ。 それでも売り出した月に何%が売れたかを示す月間契約率は、コンスタントに70%前後で推移し、70%を上回る月もある。 新築マンションの多くは完成前に売り出される、いわゆる“青田売り”だから、初月に70%売れれば、竣工までにはまず完売できる見込みが立つ。そのため、70%が好不調のボーダーラインといわれるが、これだけ値段が高くなっても、そのボーダーライン前後か、それを上回っているのだから、驚いてしまう。23区の新築マンション平均価格は「1億円超え」も この価格上昇を牽引しているが、都心部を中心とする東京23区の新築マンションであるのはいうまでもない。 やはり不動産経済研究所のデータによると、2021年度上半期(4月~9月)の首都圏新築マンションの平均価格が6702万円に対して、東京23区の平均は8686万円に達している(別掲図1参照)。 月単位の平均価格をみると、4月は1億180万円、8月には1億812万円と1億円を突破したこともある。それでも、4月は首都圏平均の契約率73.6%に対して、東京23区は76.6%と首都圏平均を上回るほどに売れた。8月も首都圏平均73.0%に対して、東京23区は72.5%だから、堅調に売れたことが分かる。 かつてのバブル時には誰もが将来の収入アップに疑いを持たなかったが、現在はパンデミックから完全には抜け出せない先行きへの不安感が強い。そんな環境で、いったいどんな人たちが買っているのだろうか。2億円、3億円以上のマンションは「現金買い」 都心部の平均でも1億円以上という高額物件を多数手がける大手不動産会社の幹部によると、こんな具合だ。「パンデミックの影響もあって、外国人買いは目立たないが、日本にも2億円、3億円以上のマンションを現金で購入する大金持ちがたくさんいます。 代々の資産家のほか、IT関連などの新興企業の創業社長がそうです。そのほか1億円前後のマンションは、医師、弁護士などのライセンサー、パワーカップルが高額のローンを利用して買っています」 なかでも、このところ急増しているのが、パワーカップル。いろんな定義があるが、夫婦ともに年収が高く、夫婦合わせて1000万円以上の年収が最低ラインで、なかには1400万円以上とする向きもある。 いずれにしても、優良企業で役職についている高額所得者が多い。銀行からの信用力も高く、取得する物件は都心の優良物件だから、将来の資産価値は安定している。貸し倒れのリスクは極めて小さいと、銀行も安心して融資しているという。パワーカップルは自己資金1割以下で買っている そこで別掲の図2をご覧いただきたい。これは、首都圏の新築マンションを買った人たちのライフスタイル別の住宅ローン借入額と、自己資金比率を示している。 平均すると、借入額は4791万円で、自己資金割合は19.1%だから、平均6200万円ほどの物件を、2割程度の自己資金を用意して買っていることになる。 それに対して、既婚・共働きで、世帯総年収が1000万円以上の、いわゆるパワーカップルの自己資金比率は9.9%にとどまっている。既婚でも専業主婦(主夫)世帯の自己資金比率は26.1%だから、パワーカップルの自己資金は極めて少ない。 先の不動産会社の幹部によると、こんな事情もあるらしい。「扶養家族のいないパワーカップルだと、税金をたくさん払っているので、高額の住宅ローンを組めば、ローン減税で多額の税金が返ってきます。ですから、手元に現金があっても、目一杯ローンを組むカップルが多いのです」 銀行の融資担当者も、実績を挙げるために、それなりの貯蓄がある夫婦に対しては、貯蓄は手元に残することを勧め、多額の融資を組ませることが多いという話もある。いつまでパワーカップルでいられるのか しかし、これはたいへん危険だ。まず、いつまでいまのパワーカップルを続けられるのかという問題がある。 子どもはつくらないと考えていても、いつ欲しくなるか分からない。妊娠・出産・子育てとなると、収入が一時的にしても大幅に減少するだろうし、ひょっとしたら、その状態が5年、10年と続く可能性がある。その間、それまで通りの住宅ローン返済を行っていけるのかどうか、疑問が残る。 それに、共働き世帯ではどちらかの収入が減ったり、無くなったりするリスクは2人分あり、専業主婦(主夫)世帯に比べて2倍という考え方もできる。だから、最悪の場合を想定して、どちらかの収入だけになっても、貯蓄の切り崩しなどによって、一定期間は何とか返済を継続できる準備をしておく必要がある。 さらに、離婚のリスクも考えておくべきだろう。厚生労働省の『人口動態統計』の2019年度版によると、年間の婚姻件数約58万組に対して、離婚件数も21万組に達している。単純に比較はできないが、3組に1組以上は離婚する時代といってもいいかもしれない。 しかも、人口の減少によって婚姻件数は大幅に減少しているが、離婚件数はむしろ増加傾向にあり、欧米並みの離婚率に近づきつつある。 共働きであれば、共有名義で取得しているだろうから、離婚となると名義をどうするのか、ローン支払いをどうするのか、たいへん面倒な手続きが発生する。金利上昇リスクが増大する「変動金利型」 利用する住宅ローンの金利タイプによっては、金利上昇によるリスクも考えておかなければならない。 住宅ローンの金利タイプには、借入後に市中の金利が上がると、適用金利も上がって返済額増える「変動金利型」、一定期間のみ金利が固定しているが、その後は金利が上がる可能性のある「固定金利期間選択型」、借入時の金利が完済まで確定している「全期間固定金利型」がある。 金利水準は変動金利型が最も低く、全期間固定金利型が高いが、最近では金利の先高感が薄れているところから、変動金利型を利用する人が多い。各種の調査をみても、7割から8割が変動金利型になっている。 東京都心近くで新築マンションを買う場合、2021年度上半期の平均価格8686万円のうち8000万円のローンを組むケースを想定すると、金利タイプ別の返済額は以下のようになる。【借入額8000万円の資金計画の例】(設定条件:35年元利均等返済・ボーナス返済なし、世帯年収1400万円)(1)変動金利型金利/0.375%、毎月返済額/20万3279円、返済負担率/17.4%(2)固定金利期間選択型金利/0.65%、毎月返済額/21万3015円、返済負担率/18.3%(3)全期間固定金利型金利/1.08%、毎月返済額/22万8823円、返済負担率/19.6% みずほ銀行の2021年11月の金利で試算すると、1.08%の全期間固定金利型なら毎月返済額は22万8823円が、変動金利型だと20万3279円に、2万5544円も負担が少なくなるのだから、変動金利型の人気が高いのも当然かもしれない。金利が上がると月額5万円近く返済額が増えることも しかし、変動金利型には借入後に市中の金利が上がると、適用金利も上がって、返済額が増えるリスクがある。 仮に、5年後に金利が0.5%上がっていると、以下にあるように、返済額は20万円台から22万円近くに増え、1.0%のアップでは23万円台半ばになり、1.5%の上昇だと25万円台になる。【変動金利型で6年目からの金利が上がった場合】(設定条件:35年元利均等返済・ボーナス返済なし、世帯年収1000万円)(1)当初5年間金利/0.375%、毎月返済額/20万3279円、返済負担率24.4%(2)6年目から金利が0.5%アップした場合金利/0.875%、毎月返済額/21万8636円、返済負担率26.2%(3)6年目から金利が1.0%アップした場合金利/1.375%、毎月返済額/23万4708円、返済負担額28.2%(4)当初金利から1.5%アップした場合金利/1.875%、毎月返済額/25万1487円、返済負担率30.2% 年収1000万円のパワーカップルなら、1.5%の金利上昇でも年収に占める年間の返済額の割合を示す返済負担率は30.2%にとどまっているが、一度膨らんでしまった家計支出を減らすことは簡単ではない。まして、先に触れたようにどちらかの収入が減ったり、無くなったりすると、たちどころにアウトだろう。ローン支払い以外のコスト増に要注意! いまひとつ、忘れてはならないのが、新築マンションを購入すると、住宅ローン返済だけではなく、各種のラインニングコストがかかるという点だ。 民間調査機関の東京カンテイの調査によると、2019年に首都圏で専有面積70平方メートルの新築マンションを買った場合の月額管理費の平均は1万9085円、修繕積立金が7826円、駐車場利用料が2万3563円で、合計5万474円かかる。 東京23区だけに限ると、管理費が2万2911円、修繕積立金が8176円、駐車場利用料が3万2025円で、合計6万3112円に達する。 住宅ローンの返済に加えて、これだけの負担が発生することを考えておかなければならない。 変動金利型の利用でも、住宅ローンの20万3279円に6万3112円が加われば総額27万円近くに増える。全期間固定金利型だと29万円以上に増加するのだ。 しかも、これらのラインニングコストは、年を追うごとに増えるリスクがある。特に注意が必要なのは修繕積立金。最新の新築マンションの多くは、当初の修繕積立金を少なくして、5年後、10年後に積立額を増やす段階増額方式を採用している。そのため、5年後、10年後に負担がいくらになるのかも確認して、返済に問題がないかどうかを確認しておかなければならない。 以上のように、パワーカップルだからこそ、気をつけておかなければならない点が多い。収入が多いから大丈夫と慢心せずに、万全の資金計画を考えていただきたいものだ。
2021.12.05 07:00
NEWSポストセブン
有名企業の20の失敗事例を徹底解説した荒木博行さん。通例を覆す新たな視点も提示した
『世界「失敗」製品図鑑』著者が示す成長への作法は「戦犯探しをしないこと」
「失敗は成功の母」と昔から言うが、実際のところ巷にあふれているのは成功者のストーリーである。だからこそ、「失敗事例」を集めたこの本が人気なのだろう。株式会社学びデザイン代表取締役の荒木博行氏は、『世界「失敗」製品図鑑 「攻めた失敗」20例でわかる成功への近道』(日経BP)で、アマゾン、アップル、ネットフリックス、ソニー、トヨタなど、有名企業の20の失敗事例を徹底解説した。荒木氏の深く前向きな分析は、失敗から学ぶ大切さとともに、失敗する勇気や、失敗をポジティブに受け止める環境・文化の大切さを教えてくれる。失敗を成功につなげるために必要なこととは──荒木氏に話を伺った。※ ※ ※GU、カローラ……あのヒット商品の前にあった失敗──アマゾンの「ファイアフォン」、アップルの「ニュートン」、コカ・コーラの「ニュー・コーク」、ナイキのゴルフ用具事業……、聞き覚えのある製品やサービスの失敗の顛末は、学びがあると同時に、ストーリーとして興味深いものばかりでした。「失敗」に注目されたのはなぜでしょう。荒木:我々は成功者の語るストーリーをよく聞きます。それはそれで非常に示唆に富む話ではあるのですが、成功者が語ると、何でも正当化されてしまう側面はあるんです。朝ごはんは何を食べているとか、本当に成功に関係あるの? と思うような話を含めて、成功者が語ることで、意味を持ってしまったりする。だから僕は、失敗事例にこそ、学ぶべきヒントがあるんじゃないかと感じていました。 ただ、失敗事例って世の中にあまり出ていないんです。なぜかといえば答えはシンプルで、情報が少ないから。誰しも己の失敗を語りたくないじゃないですか。だからこそ、こういう本を通じて、失敗を前向きな学びの題材にしてもらえたら、と考えました。──「あのユニクロが野菜業界に参入!」と、ビジネス界に大きな衝撃を与えるも、1年半で撤退したファーストリテイリングの野菜事業・スキップ。しかしこの失敗が、現在のGU(ジーユー)の成功につながった。失敗なくして成功なし、を痛感します。荒木:必ずしもそういう事例ばかりではないんですが、その後のビジネスにつながった失敗事例を中心に選んでいます。 ただ、失敗の意味合いやインパクトは、業界や産業によって違います。たとえば医療業界では失敗は避けるべきことですが、スタートアップ企業が失敗しても、それほどではないですよね。だから「どんどん失敗しようぜ」とは一概には言えません。ただ一つ言えるのは、変化の激しい社会において、1年間で12個プロダクトを出せる会社と、1個しか出せない会社があったとしたら、1個しか出せない会社は相当リスクが高いということ。対して12個出せる会社は、顧客から手痛いフィードバックを受けながら、徐々に顧客のムービングターゲット(動く標的)を捉えることができるわけです。──トライ&エラーを繰り返して、成功に近づいていく。トヨタのカローラも「パブリカ」の失敗を経て登場しました。荒木:トヨタのスピーディな意思決定は学ぶところが多いと思います。最初の失敗を引きずらず、決めるべきタイミングに決める。言うのは簡単ですが、とても難しい意思決定だとも思います。失敗分析は「ずるい」もの──名将・野村克也氏が「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言ったように、失敗には相応の理由があることがよくわかります。ユーザー視点の欠如、競争ルールの理解不足、社内不全といった多角的な視点から、荒木さんは失敗の原因を分析していますが、中でも、通説とは異なる新たな視点を提示するなどの「深堀り」が魅力です。荒木:たとえばコカ・コーラのニュー・コークは、「20世紀のマーケティング史における最大の失敗事例」と言われ、顧客ニーズを理解できなかった失敗事例として、多くの本で取り上げられてきました。でも今回、できるだけ予見を持たずに、改めて当時の新聞記事や、社長が語った記事などを当たっていくと、ちょっと違うぞと。顧客志向が欠如していたどころか、むちゃくちゃ顧客のことを考えているんですよ。それでも失敗したのはなぜかと考えていくと、伝えるときの「態度」や「見え方」に問題があったのではないかと。 深堀りというと響きはいいんですが、結局、失敗分析ってずるいんです。結果が出た後は、いくらだって何だって言えますからね。だからせめてもの礼儀作法として、自分も同じ状況に置かれたらこれ以上のことはできなかっただろう、というところまで情報を探っていく。僕の場合は、自分も同じことをするだろうな、という地平に立ってはじめて、この本を書くことができました。──製品やサービス自体は成功していたのに、社内事情によって打ち切りになるというケースもありました。マーケットや顧客といった「外」だけではなく、社内という「内」にも、攻略すべき相手、戦う相手が潜んでいるということですね。荒木:ソニーのAIBOは画期的なロボットでしたが、世に言うソニーショックの余波で、生産中止の判断が下されました。この例からもわかるように、プロダクトのオーナーは顧客の目線と同時に、会社の経営状況や経営陣の価値判断をつねに意識しなければいけない。とくに新規事業は経営陣の一存で成否が決められがちな脆弱な存在ですから。「失敗」と「成功」は糾える縄の如し──失敗がもっと気軽に語られるようになると、失敗を恐れないマインドも広がるように感じます。荒木:そのためには一つ作法があって、戦犯探しをしてはいけないです。たとえばサッカーの日本代表が負けると、どの選手が悪かったとか、誰と誰を代えればよかったとかいう話になりがちですよね。そういう話をしたくなる気持ちは僕もわかるんですが、属人性を排除して、構造的なところまで下りていかないと本当の失敗分析にはならないし、失敗が語られるようにはならないと思います。──失敗を前向きに受け止める土壌も大切ですね。荒木:世の中で騒がれるような大きな失敗は数が限られますが、もう少し小さい失敗、いわば「失敗もどき」はビジネスの世界でたくさん起きているはずし、必要でもあります。「失敗もどき」をどの段階で見つけ、属人的ではなく構造的に読み解き、改善していけるか。それが企業の成長につながっていくと思いますね。──ちなみに荒木さんは失敗されますか?荒木:こんな本を書いていると「荒木さんは失敗しないんですよね」と言われるんですが、もうね、失敗の連続。だからこういう本を書いているんです(笑)。 これまでずっと「失敗」という言葉を使ってきましたが、失敗って抽象度の高い言葉なんです。前作(『世界「倒産」図鑑』)で書いた「倒産」は定義が明確です。対して失敗は、売上目標の50%以下だったら失敗なのか、何年以内に目標をできなかったら失敗なのか……。何らかの定義づけをすることもできるのですが、今回は、その辺りをあえて曖昧にしました。というのは、失敗って、単にある時間軸で切り取ったときの評価だからです。──確かに、失敗がのちに成功を産んだのなら、それは失敗ではなかった、とも言えます。「禍福は糾える縄の如し」といいますが、失敗と成功も糾える縄の如し、と本書を読んで感じました。荒木:短期で切り取ってみるとネガティブなことも、長期で見れば、評価はいかようにも変わるんですよね。それは僕自身の人生を振り返っても、そう感じます。失敗は必ずしも避けることではない、というメッセージをこの本から感じてもらえたらうれしいです。◆荒木博行(あらき・ひろゆき)株式会社学びデザイン代表取締役社長。住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。フライヤーやNewsPicks、NOKIOOなどスタートアップ企業のアドバイザーとして関わるほか、絵本ナビの社外監査役、武蔵野大学で教員なども務める。著書に『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』シリーズ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』(日経BP)など著書多数。
2021.12.04 16:00
NEWSポストセブン
12月末まで「完全閉店SALE」が行われているエディー・バウアー
エディー・バウアー撤退 「純然たるアメカジブランド」が不振に陥った本当の理由
 米国カジュアル衣料大手の「エディー・バウアー」が今年12月末で日本から全店撤退することが発表された。現在、店舗やオンラインストアで開催されている「完全閉店SALE」は、すべての商品が値引き対象となっているため多くの買い物客で賑わっているが、いったい敗因は何だったのか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。 * * *「エディー・バウアー」日本撤退の理由を端的にまとめるなら、売上高の不振によるものです。 いまや外資系ブランドの不振・撤退は見慣れたものとなりましたが、特に近年は「オールドネイビー」や「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」の撤退、「アバクロンビー&フィッチ」や「GAP」の不振といったように、米国のカジュアルブランドの苦戦が目立ちます。業績不振はコロナ禍と関係ない 日本でエディー・バウアーを運営していたエディー・バウアージャパン社は、本国直営というわけではなく、住商オットー(ドイツのカタログ通販大手オットー社が51%、住友商事が49%を出資する合弁会社)が70%、米エディー・バウアー社30%の出資比率で1993年に設立されました。 その後、2008年に住商オットーが合弁を解消し、ドイツ資本100%となるなど紆余曲折があり、そのドイツ企業からの資金援助を打ち切られたために撤退するのでは?と報道されています。もっとも、アメリカ本国でもエディー・バウアーは2009年に一度経営破綻していますから、日本国内に限らず、米国本国でも不振だったといえるでしょう。 日本国内の業績は長年鳴かず飛ばずの状態が続いており、東京商工リサーチによると2017年2月期の売上高は115億円ながら当期損失5800万円とわずかながら赤字に転落しています。 その後も業績はほぼ横ばいから微増で推移し、黒字転換したこともありましたが、2020年2月期は売上高115億円、当期損失は5億5400万円、コロナ禍に見舞われた2021年2月期の売上高は90億円にまで減少しています。 2020年3月以降は世界中がコロナ禍に見舞われたため、売上高減少は仕方のない側面もありますが、2020年2月期(2019年3月~2020年2月まで)はコロナ禍が本格化しておらず、まだインバウンド需要も旺盛だったため、その状況を考えると業績は低迷続きだったと言わざるを得ません。単調なアメカジの割に値段が高かった ではエディー・バウアーの業績がコロナ禍前でも振るわなかった理由は何かというと、商品計画や出店戦略が日本国内市場に合っていなかったからだと考えます。 エディー・バウアーは「老舗アウトドアブランド」と位置付けられていますが、個人的に商品を見ると、現在国内で支持を集めているアウトドアブランドに比べると「機能性」という点が弱く、個人的には「アウトドア」というより「カジュアル寄り」に見えました。 その割にはジャケットが2万円前後、長袖シャツ7000円弱、パンツ1万円台などと、他のカジュアルブランドと比べると割高感がありました。 また、撤退が発表された時点でのエディー・バウアーの国内店舗数はアウトレット店を含んで56店舗でしたが、出店場所は路面店、ファッションビルに加えてイオンモールやららぽーとなどにも相当数入店していました。 路面店やファッションビルならまだしも、ららぽーとやイオンモールでは競合のカジュアルブランドと比較すると明らかに値段が高すぎ、売れ行きが伸び悩むのも当然だったように思います。「ノースフェイス」や「スノーピーク」、「モンベル」などの高機能なアウトドアブランドならその価格でも通ったのかもしれませんが、日本人の目にはエディー・バウアーはあくまでもアウトドアテイストのカジュアルブランドと映り、同施設内で競合する「ユニクロ」や「GAP」、「ワークマンプラス」などと比べると明らかに高すぎるという印象を持たれたのでしょう。 おまけにファッション性もそれほど高くはなく、単調な無地・ベーシックなチェック柄のシャツなど、どちらかというとベーシックなアメカジでしたので、やはりその価格でコンスタントに売り上げを伸ばすのは難しかったと思います。アメカジブランドが乱立しすぎた では、値段が安ければ売れるのかというと、そういうものでもありません。それは低価格ブランドの範疇に入るオールドネイビーやアメリカンイーグルの撤退が証明しています。安くても売れない物は売れないのです。 近年の米国カジュアルブランドの不振を見ていると、日本市場では「純然たるアメカジテイスト」は受け入れられにくくなっているのではないかと個人的には感じています。ましてや、アメカジを販売するブランドはすでに日本にたくさんあり、それ以上の数を必要としていない状況です。 昔でしたら、アメカジを買う店は「ライトオン」や「マックハウス」に代表されるジーンズ専門店で、各地方にはリージョナルチェーンが乱立していました。そして1990年代後半にGAPが日本に上陸し、2000年代にはユニクロが隆盛となりました。 ちょうど筆者が20~30代頃のことですが、当時の自分を振り返ってみても、アメカジ服を買う店は、ジーンズ専門店チェーン、GAP、ユニクロの3つあれば十分でした。もちろん、それら以外にも高価格なビンテージブランドやこだわりのブランドもありましたが、リーズナブルなアメカジ服を買う先には困らなかったのです。 そうなると、後発上陸したオールドネイビーやアメリカンイーグル、アバクロなどが伸びる余地はありません。国内のファッショントレンドも2010年以降、アメカジブームは下火になっていましたから、後発ブランドにとっては余計に厳しい状況だったといえます。 もっともアメリカンイーグルやオールドネイビーはメンズの品揃えがTシャツとトレーナー、ジーンズばかりと言った具合に単調さが目立っており、ユニクロやジーユーのバリエーションの豊富さに比べて大きく見劣りしていたことは否めません。 エディー・バウアーにも同様の目が向けられていたのでしょう。中には3Lとか4Lの“アメリカンサイズ”を好むおじさんなどにファンが多かったようですが、ユニクロの最終値下げ品を見てもXLばかりが残っている状況を見ると、ビッグサイズ愛好家の人口自体はそれほど多くないことが分かります。そのため、豊富なサイズ展開も売り上げ規模を拡大する原動力にはなり得なかったといえるでしょう。GAPはエディー・バウアーの二の舞になるか いま、日本で残っているアメカジブランドではGAPがありますが、やはり価格戦略で迷走し、苦戦が続いています。 上陸からずっとGAPの定価設定は高く、シーズンによっても異なりますが、ジーンズが7900円~1万円台前半でした。これが在庫処分になると990円~2900円にまで値下がりするのですから、定価自体に信用がなくなるのは当たり前です。そして、そうした大幅値下げが常態化していました。 GAPはようやく重い腰を上げて、2020年秋冬から定価設定の引き下げ、セールを常態化しないことを宣言しました。一例を挙げるとジーンズの定価は3990円~4990円となりましたが、コロナ禍によって売れ行きが鈍ったのか、セールの変革はすでに店頭では頓挫しており、引き下げた定価をさらに割引販売するという新たなセールの常態化が出現しています。 GAPの苦戦についても、定価設定への不信感に加えて、やはりアメカジテイストが国内市場では受け入れられにくくなっているのではないかと個人的には見ています。 ユニクロはアメカジテイストをベースにした部分はありますが、現在は「ユニクロU」や「+J」と言ったデザイナーズコラボラインで目先の変化を付けているばかりでなく、ビジカジラインやスポーツ系を増やしています。 ジーユーもデザイナーコラボのほか、国内トレンドファッションをメインにしつつメンズビジカジラインもあり、国内では無敵を誇る2ブランドともにアメカジ色はメインの潮流ではありません。 一方でアメカジを得意としてきたジーンズ専門店チェーン各社はコロナ禍前から苦戦に陥っています。価格面も含めてユニクロやジーユーとの競争に負けたという部分もあるでしょうが、やはり、「純然たるアメカジテイスト」が受け入れられなくなったのでしょう。 エディー・バウアーは心機一転、遠からず再上陸するのではないかという噂が業界内にあります。もし、再上陸するのであれば、高価格・高機能な本格的アウトドアブランドにシフトする必要があるでしょう。ブランド価値を再構築できなければ、再び上陸したところで同じ結果が待っていると思います。
2021.12.04 07:00
NEWSポストセブン
日本大学経済学部の本館(東京都千代田区/時事通信フォト)
ついに理事長まで逮捕された日大 それでも付属中学の受験人気が落ちない理由
 日本大学の経営とカネをめぐる不祥事が次々と発覚し、ついには所得税法違反容疑で理事長の田中英寿容疑者も逮捕される事態となった。日大ブランドのイメージはガタ落ちだが、不思議なことに中学受験では日大付属校の志望者が増加しているという。なぜ保護者はわが子を日大の付属校に入れようとするのか。中学受験に詳しい安田教育研究所の安田理氏がレポートする。 * * * まずは2022年度入試に向けての志望状況を見てみよう。次に掲げるのは、主に中堅校の受験生が受けている首都圏模試(中学受験の4大模試の1つ)の直近11月の模試の志望動向である。共学校について男女別に志望者数ベスト10を挙げてみる。【共学校男子】1位/日本大学第一、2位/関東学院、3位/日本大学第二、4位/東京電機大学、5位/芝浦工業大学附属、6位/青稜、7位/日本大学、8位/桐光学園、9位/日本大学第三、10位/千葉日本大学第一【共学校女子】1位/日本大学第二、2位/目黒日本大学、3位/日本大学第一、4位/東洋大学京北、5位/成城学園、6位/日本大学、7位/獨協埼玉、8位/青稜、9位/広尾学園小石川、10位/関東学院 なんと男子では10校中5校が、女子では10校中4校が日大の付属系である。女子では実にベスト3を日大の付属系が独占している。このほか男子校では日本大学豊山が1位である。 日大の付属系の中学校は首都圏には9校あり、うち7校が共学校である。ここまでで校名が出ていない学校は、女子校の日本大学豊山女子と共学校の日本大学藤沢だけである。 首都圏には300校もの私立中学がある中で、これは際立った現象と言える。日大付属校「3つのタイプ」と「内部進学率」 日本大学の付属校は、校名が様々であることに気づかれたと思うが、ご存じない方のために、3つのタイプがあることを説明しよう。●正付属(日本大学の後に地名)首都圏でいうと、日本大学、日本大学豊山、日本大学豊山女子、日本大学藤沢がこれに当たる。日本大学と同一法人の学校である。●特別付属(日本大学の後に数字)日本大学第一、日本大学第二、日本大学第三。戦前は日本大学が直接経営していたが、一種の財閥解体のような形で独立して別の学校法人になった学校である。東京にしかない。●準付属(日本大学の前に地名)首都圏でいうと、目黒日本大学。千葉日本大学第一は日本大学第一の学校法人が経営。地方には北は札幌日本大学から南は宮崎日本大学まで多数あり、別の学校法人との提携関係にあるが、提携が解消されることもしばしばある。 日本大学への進学は、在学中の成績と「日本大学付属高等学校基礎学力到達度テスト」(1・2年は年に1回、3年のみ年2回実施)の結果、面接、小論文などの総合判定により、各学部から入学が許可される。 付属校からの内部進学者数は、正付属、特別付属、準付属の違いというよりは学校ごとの違いが大きい。正付属でも日本大学豊山は日本大学に8割くらい進んでいるのに対し、日本大学は近年他大学進学に力を入れている。 特別付属では日本大学第一は日本大学に7割ほど進んでいるのに対し、日本大学第二は他大学が多く日本大学には3割程度しか進んでいないといった具合だ。目黒日本大学は2019年に準付属となったばかりの学校だ。なぜ日本大学の付属を目指すのか? 2018年の日本大学アメフト事件をご記憶の方も多いだろう。実はこの時も中学入試においては受験業界の予想に反して“日大付属離れ”は起きなかった。保護者たちの間では、一部の体育会系の問題であり、中高の教育には関係ないという受け止め方が多かったのである。 今回はトップの不祥事とはいえ、やはり同じような受け止め方をしている保護者が多い。しかし、こうした問題はあくまで大学の事柄としても、中学受験の段階でなぜこれほどまでに日大の付属校が選ばれるのであろうか。いくつかに分けて考えてみよう。●付属校を選ぶ理由 中学受験においては2018年から付属校志向が一段と高まった。それは2016年から始まった「大学入学定員の厳格化」によって、有力な大規模私立大学が軒並み難化したことが背景にある。 親戚の高校生、近所の高校生が大学入試において次々と不合格になった姿を見聞きし、中学受験の保護者は他人ごとではないと感じた。大学がそれほどに難しくなっているなら中学から付属校に進ませようと考えたわけである。●地元の中堅公立高からでは「MARCH」に進めない? 有力な私立大学が難しくなっていることは、保護者は別の面からも感じている。「真ん中レベルの公立高校に進んだ近所の高校生が、今自分の知らない大学に通っている」「週刊誌の現役進学者数の記事を見ると、地元の公立高校からは『MARCH(明治、青山学院、立教、法政、中央)』には1桁くらいずつしか進学していない」 そうしたことを言ってくる保護者が少なくない。それなら確実に進める付属校のほうがいいという考えだ。●すべての学部がそろっている 以上のことなら日本大学の付属校に限らず、ほとんどの大学付属校が志望者を増やしてもよさそうであるが、ここにもう1つの理由がある。小学校6年生の段階で付属校を選ぶということは進路の幅を狭めてしまうという心配をほとんどの保護者がしている。 その点で、一般的な社会科学系、理工系各学部はもちろん医学部、国際関係学部、生物資源科学部、芸術学部までそろっている日本大学は、わが子が将来どのような分野を目指すことになっても対応できるという安心感を持てるのである。●わが子の学力を考えた時に…… 上記のように保護者が考える背景には、当然だが2年なり3年なり塾に通わせて、何回か模擬試験を受けさせて、わが子の学力を客観視できるようになったという事情もある。 公立中学に進ませて高校受験に挑んでも学力的には現状とそんなに変わらないのではないか。「これから高校受験、大学受験と苦労を重ねるよりは付属校に進んだほうが楽しい生活を送れるのではないか」と判断しているケースも多いのである。 以上のようなことが絡み合って、日本大学の付属校に多くの志望者がいるのだが、田中理事長の逮捕・辞任が出願にどう影響するのか注視していきたい。
2021.12.03 07:00
NEWSポストセブン
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が全面解除となった2021年10月1日の羽田空港第2ターミナル(時事通信フォト)
緊急事態宣言下の闇営業で繁盛した飲食店が「客離れ」に直面している
 法律や契約にのっとらずに行われている営業が「闇営業」と呼ばれるのが本来なのだが、最近では、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために自粛を求められている営業行為をあえて実行している店舗に対して用いられていた。もちろん、この意味での闇営業は違法ではないので、緊急事態宣言下では大繁盛していた。ところが、世の中が通常どおりに戻り始めると、少し様子が変わってきたらしい。ライターの森鷹久氏が、営業自粛要請がなくなったら客離れがすすんだと嘆くかつての闇営業飲食店についてレポートする。 * * * 新型コロナウイルスの新規感染者数が減少し、繁華街には人出が戻っている。多くの店では消毒や換気を実施し、そしてソーシャルディスタンスの呼びかけを行なっていて、まさに「ウィズコロナ」時代を生きていることを実感させる。様々な手間は増えたが、少しずつではあるけれど客が戻ってきたと、どこの店で働く人も笑顔を見せるなか、なぜか今になって「客足が減った」と嘆いている飲食店がある。「11月になって規制が緩和され、周囲の店にはそれなりに人出が戻りましたが、うちは戻るどころか減りました。数ヶ月前は一人勝ちの状態だったんですけどね」 東京のオフィス街に近い繁華街で居酒屋を営む鹿島恵一さん(仮名・40代)は、緊急事態宣言下でも営業自粛要請を無視し、通常通りの営業を続けていた。酒類の提供をやめず、深夜まで同じように営業を続けていた店は近隣にも2店ほどあったためか、酒が飲める貴重な店だと遠方から来る客もいて、大いに賑わっていた。「うちが営業を続けるから、周りの店も酒を出し始めたりしてね。人が来るから、周りの店も潤う。キャバクラのキャッチの兄ちゃん、呼び込みの姉ちゃんまでウロウロして、本当に賑やかだったんですよ」(鹿島さん) ところが、緊急事態宣言が明け、飲食店に出ていた様々な要請が解除されると、それまであった客足がパタリと止んだ。鹿島さんは首を傾げるばかりだが、近くの居酒屋店主は「そりゃそうでしょう」と吐き捨てる。「決まりを破ってやっていた店、という印象は、我々みたいな同業者だけでなく、客も感じているということですよ。あの時は、やってる店がそこしかなかったというだけでね。まともにやっていた店には、ちゃんと常連が戻っている」(近くの居酒屋店主) 緊急事態宣言下でも通常通りの営業をしている飲食店に客が殺到している、そんな光景は全国あちこちでみられたが、そうした店から今、客足が遠のき始めているというのだ。 大阪市内で複数の居酒屋を経営する吉川裕太さん(30代)も、そうした世の中の雰囲気をひしひしと感じている。「うちは、国や自治体の要請を守っていましたが、守らない店には人が殺到して本当に悔しい思いをしていました。でも、要請が解除になった途端に、お客さんたちは『あの店は闇営業だから』といって敬遠し始めています」(吉川さん) なかには、闇営業の店に通っていながら闇営業店をバカにする客もいて、それについては吉川さんも「身勝手すぎる」と腹を立てるが、それでも闇営業店の自業自得に他ならないと思っている。「闇営業でもしないと客が離れてしまう、という危機感は誰もが持っていましたし、うちもやるかどうか、相当迷いました。でも、あの時に、たとえ要請というお願いであっても、それを守っていたか守っていなかったかというところは、お客もちゃんとみているんですよ」(吉川さん) コロナ禍をどう過ごしていたか、その印象によって、店への客の戻りに差が出ているというが、これは正直者がバカを見なくて済んだ、という結果なのか。止むに止まれず営業を続けた店にも言い分はあるのかもしれないが、アフターコロナの客や消費者の判断は、以前にもましてシビアになっているのかもしれない。
2021.11.28 16:00
NEWSポストセブン

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