芸能

柳楽優弥 リアルな演技に高評価、「いい意味でドス黒い」評 

『ゆとりですがなにか』の演技には「こういう奴いる」と高評価

 ゆとり世代の人間模様を描いたドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)に出演中の柳楽優弥(26)が異彩を放っている。柳楽演じる道上まりぶは、いわゆる“ゆとり第一世代”の1987年の生まれ。風俗店の呼び込みをしながら、東大合格を目指して11浪中という変わり者の設定だ。ひげを生やしたワイルドな風貌で、いかにもチンピラ風。主人公らを呼び止める客引きのシーンは「こういう奴いる」とネットで話題になるなど、リアルな演技に再び評価が高まっている。

 10代の頃とは違った役どころで新味を出している柳楽。いったい何が変わったのか。イケメン評論家の沖直実さんはこう語る。

「2004年の『誰も知らない』の頃は、目ヂカラとオーラで演じているところがありましたが、今は確かな演技力が加わっています。共演している岡田将生(26)さんと松坂桃李さん(27)は、まだ汚れていない透明感のある俳優ですが、柳楽さんはいい意味でドス黒さがあります。酸いも甘いも経験して、いろいろな苦労をしたからでしょう。どこか吹っ切れた感じがして、見ていて気持ちがいいくらいです。

 一時期は『やる意味がない』と言って仕事を断るくらい天狗になっていたそうですが、『信長協奏曲』や『まれ』でも存在感のある演技を見せていたように、今は与えられた一つ一つの役を大事に、熱心に演じているのが伝わってきます」(沖さん・以下「」内同)

 柳楽には長い低迷期があった。14才という若さでカンヌ国際映画祭の最優秀主演男優賞という頂点に立った後も年に1本のペースで映画に主演していたが、2007年の『包帯クラブ』以降は徐々に露出が減り、2008年には急性薬物中毒で病院に搬送される騒ぎも起こした。

「『包帯クラブ』という作品は、私はとても好きな作品でした。この頃から柳楽さんの演技力が凄かったのでその先も楽しみにしていたのですが、後が続きませんでした。それでも彼が復活できたのは、奥さんと子供の存在が大きかったと思います。もし彼がずっと独り身のままだったら、自分だけ生活できればいいので中途半端でも役者活動は続けられたかもしれません。でも家族を養わなければならない状況が、彼を大きく変えたのだと思います」

 2010年に、学生時代から交際していたタレントの豊田エリー(27)と結婚。その年に長女が誕生している。柳楽はこの頃に、車のディーラーで洗車のアルバイトを始めた。さらにその後は居酒屋でもバイトを経験。役者としては不遇の時代に違いないが、柳楽本人は社会常識や知識を学ぶことができたと振り返っている。そして2012年、蜷川幸雄演出、村上春樹原作の舞台『海辺のカフカ』に主演するチャンスが巡ってきた。

「役者の世界に戻って、自分は本当に演技が好きだということがわかったのだと思います。顔も名前も売れている中でアルバイトとして人前に出ることはものすごく勇気のいることですが、それを乗り越えたことで、稽古でつらいことがあっても負けない精神力を手に入れたのではないでしょうか。

 映画『ディストラクション・ベイビーズ』の完成披露舞台挨拶で、『世代交代です!』と宣言したのも自信と覚悟のあらわれだと思います。もう、ちょっとやそっとじゃブレない。一生役者として生きていく心意気を感じました」

 芸歴は長いが、まだ26才。今後はどのような俳優になるのだろうか。

「いきなり頂点に立って、どん底に落ちて、再び這い上がってくる。これは芸人さんでいえば有吉弘行さんとよく似た歩みです。有吉さんも柳楽さんも、泥水をすするような経験があったおかげで、自分の進むべき道というものがはっきりと見えています。

 今後はワイルドな役だけでなく、ベタな恋愛ドラマの相手役もできますし、病的な役や、ユーモアがあるのでコメディーの役もできると思います。蜷川さんの厳しい稽古を乗り越えたからか、演じられる幅が広くなりました。若手俳優というのは流行り廃りの中でもがいていくものですが、柳楽さんは淡々とマイペースで、自らの役者道を歩んでいくのではないかと思います」

 このまま完全復活となるか。今後の活躍に注目である。

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