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尖閣沖衝突事件 漁船の正体は人民解放軍の作戦行動

 尖閣諸島の漁船衝突事件は、YouTubeに動画をアップする人物が登場し、その後、第5管区海上保安本部・神戸海上保安部の主任航海士(43)が流出させたことを告白するなど、大きなニュースであり続ける。今回の流出により、事件のあらましが多くの国民に知られるようになったものの疑問が残る。果たしてあの漁船の正体はいったい何だったのか? 中国関連の著書多数の評論家・宮崎正弘氏がその可能性を探る。

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 この事件で目を引くのは、海上保安庁の船に体当たりをした漁船が、「トロール船」であったということだ。近海漁業とは異なり、トロール船は魚群を追いかけて遠洋に出る。当然、魚群探査機を積載する。

 これは中国の人民解放軍からすれば「レーダー」だ。中国ではいかなるレーダーも、軍の許可無くしては取り付けられない。とすれば、このトロール船は、軍部の許可を得た船、という結論が出る。導き出される可能性は2つ。

【1】軍のカモフラージュだった。

【2】軍の代理人として出航していた。

 どちらにせよ、これが人民解放軍の作戦行動だったことは明らかだろう。人民解放軍は、勝手に「第1列島線」を設定し、九州から、沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島にいたるラインを作戦区域としてきた。

 このところの軍は、さらに野心を燃やし、伊豆諸島から、小笠原諸島、グアム・サイパン、パプアニューギニアに至るラインを「第2列島線」とし、そこへの進出を窺っている。実際、第2列島線へ艦や潜水艦を差し向け、しきりに訓練を行なっている。

 尖閣諸島事件は、おそらくその一環なのだろう。漁船を日本領海内に侵入させた場合、日本はどう動くのか。このシミュレーションを行なったのだ。

※SAPIO 2010年11月24日号

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