国内

金利が低すぎるのに高過ぎる日本の預貯金率に大前研一氏疑問

 日本人は資産運用に対する考えを改める必要がある――経営コンサルタントの大前研一氏は指摘する。

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 車や家電、パソコンなどの耐久消費財も、日本人は外国の人々に比べて、古いモノを修理しながら長く大切に使うという発想に乏しく、買った途端に激しい価値の下落に襲われます。車は買ってすぐに売りに出しても30%くらいの損が出る。オーストラリアでは10年落ちのクルマでもまだ30~40%の下取り価格があります。民主党が「生活者第一」を掲げるなら、日本の悪しき伝統である業界主導の中古資産の決定メカニズムに先ずメスを入れるべきです。

 一方、「所有に対するペナルティ」が世界で最も大きな日本では、政府には期待しない、という人は、固定資産の圧縮がバランスシート破産に陥らないための第一歩です。

 次に、“塩漬け”にされている「流動資産」が多いことも問題です。日本人の金融資産の構成をみると、現金・預金が5割と突出していますが、アメリカ人は株式や投資信託で4割以上を運用し、イギリス人やオーストラリア人は日本よりもはるかに高い利率の保険・年金準備金に5割以上を注ぎ込んでいます。

 預貯金で貯め込む理由を、多くの人は「いざという時のため」といいます。しかし、いざという時のために保険に加入し、年金も積み立てている。ムダな重複を解消して、ある程度リスクをとってグローバルな株式や投資信託で運用するというのが世界の常識です。スズメの涙ほどの金利しか生まない金融商品では、セカンドライフ開始時の財産の不足を補うことはできません。

※週刊ポスト2010年12月10日号

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