国内

首相の靖国参拝中止 土井たか子議員の質問がきっかけだった

上智大学名誉教授の渡部昇一氏によれば、日本人は「日本は悪い国だった」と教え込まれ、いまだにそう信じている人も多いという。「日本が侵略戦争をしたから」というのがその理由だ。渡部氏は、「はっきりさせておきたいのは、日本が侵略戦争をした事実はないということだ」と指摘する。

* * *
日本がこのような方向に進む転換点となったのは中曽根康弘内閣だった。

日本は1951年にサンフランシスコ講和条約締結によって国際社会に復帰した。世界のほとんどの国が求め、日本も希望して結んだ条約であることを考えれば、これをもって戦後の実質的なスタートとすることに異存を持つ人間はいない。

ところが、ある時期から「日本は1948年の東京裁判を受諾して国際社会に復帰した」という方向に議論が曲げられた。東京裁判は戦勝国側が自らの都合で勝手に決めたことを、日本に押しつけるための舞台だった。

そうした裁判が日本の国際社会復帰の出発点になりえるはずはない。

発端は1985年11月に開かれた衆院外務委員会での土井たか子議員の、「日本の侵略戦争をどう思うか」という質問だった。政府委員として答弁に立った外務省の小和田恆条約局長は、「日本国政府としては極東軍事裁判を受諾している」とした。

「日本が中国に侵略戦争を行なった」という判決を下した東京裁判を持ち出したことにより、外務省が日本の侵略戦争を認めているという印象を与えた。

この発言がいつのまにか政府見解となった。その後、中曽根首相は中国の胡耀邦総書記に「靖国神社に公式参拝することにより、貴国をはじめとするアジア近隣諸国の国民感情を結果的に傷つけることは、避けなければならない」という書簡を送ることにつながる。

以降、日本の首相は靖国参拝を取り止めることになった。

※週刊ポスト2011年4月1日号

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
3大会連続の五輪出場
【闘病を乗り越えてパリ五輪出場決定】池江璃花子、強くなるために決断した“母の支え”との別れ
女性セブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン