国内

日本人が原発に寛容になっていったのはオイルショック以降

かつて日本はいまほどに電気がなかった。それでも私たちはその生活を、不自由とは感じていなかった。ライフスタイルの変化がサービス産業を発展させ、それが電力需要を押し上げていったのだ。やがてそれは原子力発電を受け入れるまでになった。

1980年代にはいって、カラーテレビの普及率が100%に達すると、テレビは各家庭に1台の時代から各部屋に1台の時代になり、電機メーカー各社が繰り広げた「ベータ vs VHS戦争」を経て、ビデオデッキも急速に普及していった。

1985年には約半数の家庭にエアコンがつくようになり、キッチンでは2ドア式の冷凍冷蔵庫に野菜室やパーシャル冷蔵室が装備され、電子レンジが当たり前のものになり、電磁調理器=IH調理器に人々の関心が集まるようになる。

携帯電話にテレビゲーム、パソコンが急速に普及した1990年代を経て、私たちは屋内、屋外を問わず、当たり前のように電気の恩恵にどっぷりと浸る生活を送るようになった。見逃せないのは、そうした暮らしの変化を支えたのが、原子力発電であるという現実だ。

日本初の商業用原子炉である現在の中部電力・東海発電所が営業を開始したのは1966年だが、1970年の時点で、原子力による発電量は全体の5%にも満たなかった。それが、1980年には17%、1985年=27%、1990年=29%と、現在の28%とほぼ同率を示すまでに急増した。

「日本では人々が暮らしを充実させていたさなかの1973年と1979年に2回のオイルショックを経験しました。広島、長崎の記憶を持ち、原発に対してアレルギーの強かった世論は、石油の輸入に頼っている火力発電の不安定さを目の当たりにして、原発に寛容になっていったのです。もちろん国も、国策として原発を推進しました」(東京電力OB)

※女性セブン2011年6月16日号

関連キーワード

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン