ライフ

71歳主婦 「秘められた可能性」スーダンポンドで445万円失う

 高齢者や震災後不安を抱える人の資産が狙われている。弁護士の紀藤正樹氏が最新の手口を明かす。

 * * *
 東日本大震災により多くの方が大変な被害を被ったが、震災で生じた不安や混乱に乗じて、詐欺集団が活発に動いている。特に最近急激に被害が増えている外貨を巡る詐欺には要注意だ。

 昨年9月、都内在住の主婦(71歳)の自宅にあるダイレクトメール(DM)が届いた。同封されていたのは、「進み始めた多様性の国、スーダン共和国」という見出しが躍るカラーのパンフレット。

 写真とグラフをふんだんに用いて、「秘められた可能性、埋蔵資源+農業」「期待される経済の発展」などの文面で遠く離れたスーダンの魅力と将来性を紹介する内容だった。

 DMが届いたのとほぼ同時期に発送元のA社から、「1口50スーダンポンドが15万円。いまなら15口限定で、2か月後に7倍以上になります」とスーダンの通貨・スーダンポンドの購入を勧める電話があった。

 さらに同じ日に別のB社から電話があり、「パンフレットは届きましたか。A社からスーダンポンドを購入すると、のちにわが社が高く買い取ります」と持ちかけられた。

 続け様の甘い囁きに負けた主婦が15万円で1口購入すると、すぐB社から「まだ買えるかA社に聞いてください。もう1口買ってもらえると高く引き取ります」と連絡があった。

「すごい人気だ。早くしないと」と焦った主婦は、さらに15万円を振り込んで2口目を購入。その後も「15口買ってくれたら225万円になります」「500万円以上出資すると特別会員になります」と執拗な勧誘が続き、最終的に生命保険を解約して445万円分も見知らぬ国の通貨を買ってしまった。

 しかし、その後A社、B社とも連絡が取れなくなった。業者所在地はもぬけのからで、主婦はようやく騙されていたことに気づいた。同居する夫にはまだ言い出せずにいる。

 これは、東京弁護士会の山内隆弁護士に寄せられた実際の相談例だ。現在、同様の外国通貨をめぐる詐欺商法に遭う被害が増えている。

※SAPIO 2011年6月29日号

関連キーワード

トピックス

役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン