国内

民主外交最大の罪は日米関係損なった点にあると櫻井よしこ氏

「歴代最悪の首相」と評価される菅直人氏は、人気取りの国内政治に忙しく、外交に見向きもしなかった。まさに日本外交は放置されていた。鳩山由紀夫首相時代も含めて、日米同盟を毀損し、日本の地位を貶めた民主党政権の罪は重い。野田佳彦新首相の下、巨大化する中国に毅然と対峙し、米国やASEAN諸国からの信頼を取り戻すために、日本は何をするべきなのか。ジャーナリスト・櫻井よしこ氏が指摘する。

* * *
この2年間の民主党政権下で、日本外交はあまりにも大きなものを失ってきました。国の指導者の役割の中で最重要のものが安全保障と外交です。国際社会との関係で方向性や課題の処理を間違えると、即、国益が損なわれるのは、民主党政権下の日本の実態を見れば明らかです。それだけに野田佳彦新政権には、早急な外交の立て直しが求められます。

野田氏はお父さんが自衛官で、安全保障の重要性はよく認識していると思われます。また、いわゆるA級戦犯についても、すでに法律的に全員がもはや戦犯ではないと語っています。その考え方は正しいのです。

そこで課題は、野田氏がその考え方を保てるかどうかです。日本国民の視点から見て正しい立ち位置を守り続けることができれば、それが外交・安保政策を支える強い力となるはずです。そこから初めて日本外交の立て直しが可能になります。

これまでの民主党外交のどこが決定的に間違っていたのかを見てみましょう。まず、最大の罪は、日米関係を大きく損なったことです。

2009年9月に首相に就任した鳩山由紀夫氏は、普天間飛行場移設問題で、日米合意を覆して「最低でも県外」と主張しました。しかし彼には何の「腹案」もなく、日米関係を決定的に壊しただけで首相の座を降りました。この間、日米関係は、正式な形での日米首脳会談が一度も行なわれないという非常事態に陥りました。

後を継いだ菅直人首相は、「日米関係の重要性」を言葉ではいいましたが、実際には何もしませんでした。普天間問題は1ミリも動かず、米国が日本の参加を強く求めているTPPも、口では「やる」といいながら放置しました。菅氏の頭には、そもそも「外交」の文字は存在していなかったのでしょう。

※週刊ポスト2011年9月16・23日号

トピックス

大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン