国際情報

金正恩最大の後見人が金慶喜である証拠はエスカレーターの順

現在、金正恩の最大の後見人は、金正日氏の義弟・張成沢氏だと言われているが、龍谷大学教授の李相哲氏はそれに異を唱える。李氏が後見人について解説をする。

* * *
金正恩の最大の後見人は、妻で金正日の実妹の金慶喜と私は見ている。その証拠となる映像がある。金正日一行が平壌市内のスーパーを視察している時のもので、彼が死ぬ2日前の12月15日に朝鮮中央通信が配信した映像である。

下りのエスカレーターの先頭に立つ金正日から3段上に金慶喜が立っている。その3段後ろに金正恩、その後ろ、ひとり挟んで張成沢の姿がある。北朝鮮では公式発表された情報が大きな意味を持つ。この映像も「たまたま撮影された」などということはない。明らかにこの映像を出すことで、金正日のすぐ後ろに立つ妹の権威を高める意味があったはずだ。

実際、金正日が2008年8月に脳卒中で倒れてから、彼の周辺の処理をし、彼の意思を周りに伝えてきたのは金慶喜だった。おそらく自分が死んだ後のことも妹に話していただろう。逆に言えば、金慶喜は金正日が心の中で何を考えているのかを、息子の金正恩以上に知っていた。

だから、今の権力内部の人たちがどういう人間なのか、金慶喜は金正日を通じて把握していたはずで、必要に応じて甥に「この人間は信用していいが、あの人間には注意しろ」などとアドバイスしていくことになるだろう。そういう意味で彼女は金正恩の最大の後見人と言えるだろう。

金慶喜は1946年、金日成と金正淑(最初の妻)の間の3人の子供の末っ子として生まれている(長兄が金正日)。正式な肩書は朝鮮労働党政治局員・朝鮮人民軍大将・軽工業部部長。金日成総合大学で経済学を学んでいた時、夫の張成沢と知り合い、父親の猛反対を押し切って結婚。朝鮮労働党書記を務め、後に韓国に亡命した黄長燁は回顧録の中で、「金慶喜は頭がよく、闊達な性格」と評価している。

ただ金慶喜は兄・金正日と同様に健康不安を抱えている。具体的な病名は分からないが、かなり昔から鬱病に悩み、2006年に一人娘の張琴松がパリで自殺した時には、ショックでアルコール依存症になったという。軍歴が全くないのに大将の肩書を与えたのは、彼女の権威付けのためと、軍部との意思疎通にそれが必要だったから、ということもあるだろうが、当時は健康状況がよくない彼女を慰めるためだったという説も出たほどだ。

「今も週2回はモルヒネを打っている」とか、「重い糖尿病を患っている」との情報があり、いつまで持つのか不安視する向きは少なくない。

※SAPIO2012年2月1・8日号

トピックス

羽生結弦が主催するアイスショーで、関係者たちの間では重苦しい雰囲気が…(写真/AFLO)
《羽生結弦の被災地公演でパワハラ告発騒動》アイスショー実現に一役買った“恩人”のハラスメント事案を関係者が告白「スタッフへの強い当たりが目に余る」
女性セブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
『ここがヘンだよ日本人』などのバラエティ番組で活躍していたゾマホンさん(共同通信)
《10人の子の父親だったゾマホン》18歳年下のベナン人と結婚して13年…明かした家族と離れ離れの生活 「身体はベナン人だけど、心はすっかり日本人ね」
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
「中野駅前大盆踊り大会」前夜祭でのイベント「ピンク盆踊り」がSNSを通じて拡散され問題に
《中野区長が「ピンク盆踊り」に抗議》「マジックミラー号」の前で記念撮影する…“過激”イベントの一部始終
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン