“スイッチ”がはいるとあどけない顔がきりっと引き締まった──
まだ小さな右手と左手を自在に操りながら、自宅のピアノでスタンダード・ジャズの名曲『タイガー・ラグ』を鮮やかに弾き始めた奥田弦くん(10)。さっきまで妹の千歌ちゃん(7)と一緒に家の中を走り回っていたのに、鍵盤を前にした表情は真剣そのものだ。ときにはカメラ目線でおどけるなど、小学4年生にして“サービス精神”にもあふれている。
弦くんはすでにコンサートの観客動員数が1000人を超えるプロのピアニストだ。7才で地元のジャズフェスティバルに出演。8才でソロコンサートを開き、昨年12月にファーストCD『奥田弦』(ポニーキャニオン)をリリースし、ジャズ専門誌『JAZZ JAPAN』が主催する「ジャズジャパン・アワード」のニュー・スター(新人賞)部門を受賞した。
最近は『天才てれびくん』(NHK)、『金スマ』(TBS系)などテレビにも引っ張りだこの天才少年は、どのように育ったのだろうか。
音楽好きの両親のもとに生まれた弦くんは、3才のころから家にあった小さなおもちゃのピアノで遊び始める。ピアノ経験のある父親の孝さん(43)が指遣いなどを教えたほかは、ほぼ独学でピアノを学んだ。5才のころにアメリカの有名なジャズ・ピアニスト、ビル・エヴァンスのCDを聴いてジャズにはまり、毎日3時間もの練習を重ねるようになった。
弦くんの一日は朝6時半から始まる。新聞を読んで7時半に家を出て、学校へ。午後4時半ころ帰宅すると、うがいと手洗いをして大急ぎでおやつタイム。通常は4時45分から7時までピアノを練習し、夕ごはん。
食後も7時半から8時半~9時くらいまで練習し、ぱぱっと宿題と明日の準備をすませ、お風呂にはいって9時半に就寝するというスケジュールだ。休みの日には4~5時間、コンサート直前には10時間練習することもあり、ピアノに触らない日はないという。
※女性セブン2012年2月16日号