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新聞の「政争の具にするな」は政治闘争から身を引きたいだけ

 新聞ではしばしば「政争の具にするな」というフレーズが使われる。自らも新聞界に身を置く東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏は、このフレーズを安易に使うことに警鐘を鳴らす。

 * * *
 新聞が政治の現状を嘆くとき、お決まりのフレーズに「政争の具にするな」という言い方がある。最近では、産経新聞が4月8日付社説で「政争の具にせぬルールを」と題して、国会が日銀審議委員の人事案について不同意にした問題をとりあげた。

「政争の具にするな」というフレーズは、たとえば年金改革や選挙制度改革のような重要案件をめぐっても、しばしば使われる。しかし、いったい政治闘争の焦点にならないような重要案件があるのだろうか。

 重要であればあるほど既得権益との戦いは激烈になる。年金で言えば、若者の現役世代と引退した高齢世代では、生涯の受益に無視できないほどの大きな格差が存在している。選挙制度でも比例代表をどれだけ認めるかによって小政党と大政党で大きな差がつく。それを改めようとすれば、激しい政争になるのは必然である。

 東京新聞もときに使ってきたから、えらそうに言えないが、新聞が「政争の具にするな」と叫ぶのは、激しい政治闘争から一歩、身を引いていたい気分もにじんでいる。私自身はずばり賛否を明らかにしたほうが読者に分かりやすいと思う。

 日銀人事で言えば、これまでの金融政策をどう評価するかが判断の軸になる。私は否定的だ。だから「国会の否決は妥当」と考える。

※週刊ポスト2012年4月27日号

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