ライフ

奇跡的な金環日食 「地球でしか見られない」と向井万起男氏

 5月21日、25年ぶりに金環日食が観測される。世紀の天体ショーを前に、アジア初の女性宇宙飛行士・向井千秋さんの夫である向井万起男氏(慶應義塾大学医学部准教授)が日食の神秘について語る。

 * * *
 これほどきれいな金環日食、皆既日食が見られるのは太陽系の惑星でも、ただひとつ、地球だけでしょうね。
 
 地球の衛星は月です。太陽の直径は月の約400倍、地球から太陽までの距離は地球から月までの距離の約400倍ある。距離と大きさが非常に絶妙なんです。だから月が太陽の真正面を通る時にドンピシャに覆い隠す。これはまさに“宇宙の奇跡”です。

 衛星が1つだけ、というのがまたいいんです。人類はそれが当然と思ってありがたみを感じていないけれど、水星や金星には衛星がありません。火星には2つ。木星には60個以上あるんですよ。

 地球ほど条件の揃った惑星はそうないと思います。宇宙広しといえど、人類以外の知的生命体が他の惑星で同じような日食を見られる確率なんて本当に稀でしょう。ゆえにロマンもあるんでしょうね。

 萩原朔太郎の詩やかぐや姫など、月をモチーフにした文学作品が多いことも、無縁ではないはず。月が2つあったら、世界の文学も変わっていたに違いないです。

 古来、幾多の文明で日食は神の祟りや凶事の予兆と恐れられ、様々に研究されて占術や宗教などにも波及していきました。地球に与えた日食の影響は無視できません。

※週刊ポスト2012年5月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト