国内

小沢一郎・元代表と和子夫人 「離婚報道」に至るまでの経緯

 民主党の小沢一郎元代表と和子夫人の離婚騒動がメディアを賑わせている。週刊文春は6月21日号で「小沢一郎 妻からの『離縁状』」というタイトルで和子夫人が後援会関係者に書いたとされる手紙を掲載した。一体、小沢に何が起きているのか、本誌がレポートする。(文中敬称略)

 和子の変調は小沢の地元や支持者の間では早くから知られていた。

 それまでの和子は、永田町での活動に集中する小沢の代わりに、文字通り「金帰火来(きんきからい)」で毎週のように選挙区に帰って、いわゆる「票田の草刈り」に没頭した。後援会を切り盛りし、有権者の声を聴き、それを小沢に伝えた。小沢も和子を政治的にもかけがえのないパートナーと頼り、和子が岩手から戻ってくる日には、いつも利用していた夜10時着の新幹線を東京駅で迎えることが習いとなった。

 一方で、これも多くの家族が抱える問題として、小沢の母・みちと和子の微妙な関係も存在した。みちは夫・佐重喜、そして息子・一郎を支えた鉄壁の後援会を築き上げた原動力だった。その自負と小沢への愛が、あるいは和子を嫁として迎える心のハードルになっていたのかもしれない。

 やがて、みちが病に倒れてからは、後援会を支える重責は和子の双肩にかかり、和子はその役目を見事に果たしたが、病床のみちは和子を完全に受け入れはしなかった。その献身的な看護を拒否することもあったという。時には医療スタッフの世話さえ善しとしない頑迷さを見せたとされる。

 当時、若き自民党幹事長として飛ぶ鳥落とす勢いだった小沢は、妻と母の確執の間で、母の介護という難題も抱えることになった。時には、小沢自ら母の口に食事を運ぶこともあった。

 みちは1995年に他界した。

 それからの和子は、小沢王国の大黒柱として駆け回ったが、その頃から政界、マスコミ界の絨毯爆撃のような小沢への人物破壊が激しさを増し、和子の使命感や誇りにも影響を与え、心身の屈折を生じさせたようだ。

 和子の言動に変化が生じてきたことは、家族だけでなく、後援会でも心配の種になった。日に日に変わっていく姿に周囲の心痛は大きかったに違いない。小沢にも悔恨が沈殿していった。時にはありもしないことを口走り、根も葉もない中傷と知る噂で小沢を激しくなじることもあったという。

 自分の内面、ましてや家庭の“阿鼻叫喚(あびきょうかん)”の様を語ることなどありえない。内なる葛藤を抱えながら小沢は政権奪取にひた走った。それを止めることは誰にもできない。それこそ小沢における政治家の摂理なのだ。夫婦の関係は難しくなるばかりだった。

 やがて和子は世田谷区にある小沢邸の敷地内に別棟を建て、そこで生活するようになった。それが「別居」と報じられたこともある。

 和子は、あんなに心血を注いできた後援会活動にも、実弟が亡くなった10年ほど前から、ぷっつりと姿を見せなくなって家に閉じこもるようになった。これは後援会関係者なら誰もが知る事実だ。「小沢家の問題」を取材するマスコミも、きちんと地元に行けば簡単に確認できるはずである。

 その頃でも小沢は、毎夜9時過ぎには自宅に帰ることを決め事にしていた。和子との会話はほとんどできなくなっていたが、それでも、指呼の間(しこのかん)にいる和子が昔日のように「パパ!」と声を掛けてくるかもしれない。そんな期待も秘めていたのだろう。

 しかし現実の和子は、ますます猜疑心や妄想にとらわれるようになり、最も信頼している次男以外の言葉は受け入れないほどに憔悴を見せるようになった。いきなり秘書に小沢のスケジュールを詳細に報告させ、その立ち寄り先に片端から連絡して、「小沢は本当にそこに行ったのか」と詰め寄る異常な行動が周囲を驚かせる“事件”も起きた。

 次男と小沢の関係にも暗雲が立ち込めた。和子の心を救いたいと、実家である福田家の関係者が話し相手になって支えた時期もあったが、そうした努力は誰の目にも不毛で、和子を訪れる人は少なくなっていった。

 父と母、父と弟の間に立って辛苦を引き受けてきた長男も、ついに家を出る決心をした。

 そして小沢は、求められるまま和子に離婚のフリーハンドを与えた。家族の絆を取り戻すことはますます難しくなった。

※週刊ポスト2012年7月6日号

関連記事

トピックス

中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン