国内

佐藤和孝氏 28歳の山本美香さんに出会い「一目惚れだった」

 内戦の続くシリアで凶弾に倒れたジャーナリスト・山本美香さん(享年45)の死は、日本メディアのみならず、世界各国で大きく報道された。英BBCは2分以上にわたって報じ、米国務省報道官も哀悼の意を示した。公私におけるパートナーとして彼女を支えた、ジャパンプレス代表の佐藤和孝氏(56)が、17年前にふたりが出会った頃からの友人である作家・高山文彦氏に“想い”を語った。

 * * *
――そもそもふたりはどうやって知り合ったの?

佐藤:美香は大学を卒業した1990年にCS放送の朝日ニュースターにディレクターとして入社して、雲仙普賢岳噴火(1991年)の取材をやったり、報道現場を何年か経験した。

――雲仙では当初、被災した住民に取材しようとしてもなかなか話してもらえなかったみたいだね。でも、彼女は現地に何日も泊まり込んで後片付けの手伝いをしながら、やっと話を聞かせてもらえるようになった。彼女は家庭用ビデオカメラを1台持って一人で取材していたんだよね。

佐藤:当時は報道現場でもカメラマン、ディレクター、音声マンなど3~4人のチームで動くのが当たり前だったから、かなり奇異に見られていたみたい。彼女は一人で撮影から取材、編集までこなすビデオジャーナリストの先駆けだった。

 その後美香は報道から外されて、総務関係の部署に異動になったのをきっかけに1995年に会社を辞めてしまった。その前後に結婚をしていったん家庭に入ったけれど、すぐに僕が所属していたアジアプレスに出入りするようになった。

――ちょうどその頃、僕も彼女に会わせてもらったよね。まだ28歳くらいか。本当に可愛いらしい子だった。

佐藤:とにかく一瞬で惹かれたよ。一目惚れだった。好奇心にあふれていて、輝くような瞳が印象的だった。

 彼女は僕がボスニアの内戦を取材したドキュメンタリー『サラエボの冬~戦火の群像を記録する』(1994年、NHK-BSで放送)を見てくれていて、初めて話した時に「戦場で生きている人々を描いていて感動した」といってくれたんだ。

――人の話を真剣によく聞く子だった。

佐藤:外ではいい子、家ではものすごく暴れ者(笑い)。家の中を走りまわるのが好きで、機嫌のいい時は大きな声をあげたりして。とにかく少女みたいな子だった。

――いつか3人で飲んだ時に、ふたりをタクシーに乗せて見送っていたら、車内でずっと佐藤のほうを向いてしゃべりかけているのがわかるんだよ、さっきまで黙ってたのに(笑い)。

佐藤:よくしゃべる子だったよ。僕は家ではずっと彼女の話の聞き役だった。カエルの置物が好きでね。無事に「帰る」から縁起がいいって。

――彼女は前夫と離婚して、あなたと付き合い始めたんだよね。

佐藤:ご両親には本当に申し訳なかった。最初は受け入れてもらえなかったけど、ふたりで一生懸命やって取材の成果がどんどん放送されていくうちに、次第に認められるようになりましたよ。

※週刊ポスト2012年9月21・28日号

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン