ライフ

英語の「happy」に対応する日本語は明治になってから作られた

 フジテレビ系バラエティー番組『ホンマでっか!?TV』でお馴染みの脳科学者・澤口俊之氏が、近ごろの“登山ブーム”を脳科学的に分析する。

 * * *
 ここ数年、ファッショナブルなウエアで登山をする若い女性、“山ガール”が増加傾向にあるようですが、登山ブームは、「日本人の進化」という観点からみるとかなりうなずけるものです。

 地球上に存在するすべての生物は、細胞から構成されていますが、その細胞一個一個に、遺伝子情報を記録したゲノムが存在しています。つまり、ゲノムとは、細胞の中に存在する遺伝子情報の総体です。

 そして日本人は、大きくみれば同じゲノム・クラスター(ゲノム集団)に属します。それは、進化的にほぼ同一の言語や文法などを使ってきたからです。したがって、日本人は、「日本列島環境への適応」という観点からみても、共通した身体的、脳的特徴を共有しているとみなせます。

「日本列島環境への適応」は、当然ながら私たち日本人の脳機能に大きな影響を及ぼしてきました。そして、影響を与えたもののひとつが、「登山」なのです。

 日本列島は、南北に細長い島国で、その中央を急峻な山脈が縦断しています。国土の75%を山地が占めますが、これほど山が多く平地が少ない環境は非常に珍しいため、山と海への適応そのものが、日本人の民族的特徴を作りました。

 例えば、英語の「happy」に対応する日本語はもともと存在せず、明治時代になってようやく、訳語としての「幸福」が造語されました。もともと存在していた「幸」は「山の幸」「海の幸」の幸で、かつ、幸は「境」を意味する「さ」と霊力を意味する「ち」が組み合わさったという説があります。

 古来から、日本人は、山に霊的なものを感じてきたようで、山に入り、山の「霊力」をうまくコントロールしてとった食べ物(獲物)こそが「山の幸」でした。

 これらのことから日本人は、山に入り食料をとるという行為に幸を感じる=適応するような性質を(民族的・ゲノム的に)持っていると推測できます。

※女性セブン2012年11月1日号

関連記事

トピックス

荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
舞台『シッダールタ』での草なぎ。東京・世田谷パブリックシアター(~2025年12月27日)、兵庫県立芸術文化センター(2026年1月10日~1月18日)にて上演(撮影・細野晋司)
《草なぎ剛のタフさとストイックさ》新幹線の車掌に始まり、悟りの境地にたどり着く舞台では立見席も
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
「異物混入」問題のその後は…(時事通信フォト)
《ネズミ混入騒動》「すき家」の現役クルーが打ち明ける新たな“防止策”…冷蔵庫内にも監視カメラを設置に「なんだか疑われているような」
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン