ライフ

タモリ、加藤茶、倍賞千恵子他 感動を呼んだ弔辞の例を紹介

 みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある同氏が、弔辞について考える。

 * * *
 葬儀に欠かせないもののひとつに、弔辞がある。

 なにしろ弔辞といえば人生のオチ。映画でいえばクライマックスのようなものだ。クライマックスの出来いかんによって映画はその評価が決まるように、人の人生も弔辞の出来いかんで評価が決まる。私は絶対にそう思っている。

 最近の弔辞で一番印象に残っているものといえば、なんといっても赤塚不二夫さんの葬儀(2008年8月)でのタモリさんの弔辞だ。

 すべてがアドリブだったという衝撃的な事実を抜きにしても、あの素晴らしい弔辞で語られた内容が、すでに名声の高い赤塚不二夫という人間を神格化させたとすら思う。

 ここで、著名人の弔辞の例を紹介しよう。

【著名人弔辞リスト】 ※故人(弔辞を読んだ人)の順
■中村勘三郎(大竹しのぶ、野田秀樹など)
■安岡力也(内田裕也)
■横山やすし(横山ノック、西川きよし)
■市川森一(西田敏行)
■森繁久彌(松岡功・東宝名誉会長)
■渥美清(倍賞千恵子)
■植木等(小松政夫)
■荒井注(いかりや長介)
■いかりや長介(加藤茶)
■坂上二郎(萩本欽一)
■美空ひばり(中村メイコ)
■逸見政孝(山城新伍)
■赤塚不二夫(タモリ)
■芥川龍之介(菊池寛)
■夏目漱石(芥川龍之介)

 タモリさんの弔辞に限らず、有名人の弔辞はどれも感動的である。

 石原裕次郎(1987年)への弔辞は、あの勝新太郎が読んでいる。そこで勝新は、裕次郎のことを、

「兄弟!」

 と呼んだ。あの迫力でそういわれた日にゃ、葬儀会場にいる列席者、みんなゾクッとしたでしょう。心からグッときたでしょう。

 渥美清(1996年)の葬儀で弔辞を読んだのは、『男はつらいよ』で、渥美清演じる寅さんの妹を演じていた倍賞千恵子だ。

「私もみんなも『お兄ちゃん』とか『アニキ』って呼べなくなっちゃったのよ。それ本当に哀しいし、寂しいよ」

『男はつらいよ』を見ていた誰もが、本当に死んじゃったんだ、寅さんが……と感動を超え慟哭するようなセリフである。

 いかりや長介の葬儀(2004年)における加藤茶の弔辞も素晴らしかった。

「(今は無理だが)多分そのうち本当に全員集合になるかもしれないけど」

 このセリフを聞いた誰もが“その全員集合は豪華だけれど、今はまだ早すぎる!”と、故人の死を悲しみつつ、同時にドリフの偉大さを再認識したに違いない一節だった。

 人生の最後にこんな感動を呼ぶ弔辞を、自分の葬儀のときにも読んでほしいと思うのが普通だと思いませんか?

※週刊ポスト2013年1月25日号

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン