酒屋としては、五反田の酒屋・伊豆屋で丁稚奉公していた祖父の中澤仁作さんが暖簾わけをしてもらい、昭和11年に始めた老舗。3代目の寿行さん(51)が先代で父親の寿久さんが病に倒れたことから、急遽後を継いだのだという。
自らを物好き・凝り性と分析する中澤さん。そんな彼が姉さん女房の由美子さん(53)と相談の上、一時はコンビニに姿を変えていた店をリニューアルし、2010年9月から角打ちのできる現在のスタイルにした。
「安売りに走ってもこの時代ですから儲けは出ませんしね。もともと酒は飲むのも見るのも勉強するのも好きですから、それなら飲めるスペースを作って、お客さんと楽しく時間を過ごすのもいいんじゃないかなというわけですよ」
トイレのドアをはじめ店内の壁をすべて白く塗ったのも、その壁にちょっと浅めの棚を取り付けたのも、すべて中澤さん。
「店内の壁が白いし、酒の貯蔵スペースと角打ちスペースの仕切りをワインボトルの詰まった木箱にしたことなどから、ちょっと居酒屋ムードになってしまい、誤解するお客さんもいるんです。でもうちはあくまで居酒屋ではなく、立ち飲み有料試飲コーナーのある酒屋ですから」