国際情報

多額のカネ持つ中国高官の海外逃亡先 米、加、豪が人気

 中国社会科学院の研究によると、海外に逃亡した中国高官の数は1990年代以降、1万6000~1万8000人にのぼるとされる。その実態について拓殖大学海外事情研究所付属華僑研究センター長の澁谷司氏が解説する。

 * * *
 なぜこれほど多くの高官が海外へ逃亡するのか。

 理由はいくつかあるが、今のところは汚職の摘発を恐れて高飛びするケースが目立つ。政権が代わったり、自分の上司が失脚したり、別の派閥から上司が来たりすると、いきなり汚職の疑いをかけられてしまうことが日常茶飯事の国である。財産を築いても中国国内にいる限り、いつ奪われてもおかしくないため、海外に逃げる。

 汚職の疑惑を突然かけられるのは、ランクの高い官僚であっても例外ではない。中国人の権力闘争の人物相関図は日本人には理解できないほど複雑であり、例えば現在の習近平体制は「反腐敗」の姿勢を打ち出しているが、誰が狙われているのかはまったくわからない。

 当面安泰と言えるのは、せいぜい習近平国家主席を筆頭に激しい権力闘争に勝ち残ったチャイナ・セブン(中央政治局常務委員会常務委員の7人)、その直下の政治局員、これら最高幹部計25人程度までである。それ以外の官僚は、いつ誰が海外に逃げてもおかしくない。

 逃亡先として人気なのは、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどだ。共通するのは移民の受け入れが盛んな国という点で、比較的、移住のハードルが低い。多額の資金を持つ中国高官のような移民は受け入れられやすい。

※SAPIO2013年6月号

関連キーワード

トピックス

現地取材でわかった容疑者の素顔とは──(勤務先ホームページ/共同通信)
【伊万里市強盗殺人事件】同僚が証言するダム・ズイ・カン容疑者の素顔「無口でかなり大人しく、勤務態度はマジメ」「勤務外では釣りや家庭菜園の活動も」
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《巨人V9の真実》400勝投手・金田正一氏が語っていた「長嶋茂雄のすごいところ」 国鉄から移籍当初は「体の硬さ」に驚くも、トレーニングもケアも「やり始めたら半端じゃない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
フランクリン・D・ルーズベルト元大統領(写真中央)
【佐藤優氏×片山杜秀氏・知の巨人対談「昭和100年史」】戦後の日米関係を形作った「占領軍による統治」と「安保闘争」を振り返る
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン