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病気になるリスクの高い性格「タイプD」 簡易判定法を紹介

 病は気から──それを裏付ける性格と病気の関係についての研究が世界中で注目されているが、2013年12月に発表された最新研究によると、定年退職直後のシニア世代には、病気になりやすい性格の人が多く、とくに注意が必要だという。

 都内在住の67歳の山崎克司さん(仮名)は2012年1月に勤め先の中小企業を定年退職した。それまで仕事一筋で生きてきたため、大きな喪失感に襲われ、日々の生きがいを感じられず、ふさぎ込みがちに。

 そんな姿を心配した妻から「老人会などに入ったり、趣味を作って外に出たほうがいい」と勧められたが、「一日中家にいる自分のことを疎ましく感じているのでは」と考え、今度は自室に閉じこもるようになった。

 そんな生活を送るうち、山崎さんは息切れやめまいを感じるようになったが、「長生きしても仕方がない」と一向に病院に行こうとしない。見かねた妻が強引に山崎さんを病院に連れて行ったところ、以前患ったことのある不整脈が再発したと診断された──。

 実はこうしたシニアの病気の原因は、本人の性格によるものかもしれない。そんな可能性を指摘したのは岡山大学の研究グループだ。同大学院医歯薬学総合研究科疫学・衛生学分野の研究グループは2013年12月、「高齢者の新たな健康リスク要因は“性格”!?」と題する調査結果を発表した。

 その報告によると、「タイプD」と呼ばれる性格の人は病気になるリスクが高いという。「タイプD」とは「否定的な感情や考えを抱きやすい傾向(否定的感情)」と、「他者からの否認や非難などを恐れ、否定的な感情を表現できない傾向(社会的抑制)」を併せ持った性格を指す言葉で、英語の「Distressed personality(悲観的な性格)」の頭文字をとったもの。簡単にいえば、物事をネガティブに考えるだけではなく、自分の考えを他人に伝えられずに溜め込んでしまいがちな性格だ。

 このやっかいな性格の存在を世界中に知らしめたのが、1996年に世界的に有名な英医学誌『ランセット』に掲載された論文だ。オランダのティルブルフ大学のヨーハン・デノレット博士(精神医学)らの研究グループが31~79歳の心臓病など心血管疾患のある約300人を調査したところ、「タイプD」の性格の人は、そうでない人に比べ、心血管疾患を患ってから5年間の全死亡リスクが4.1倍高いという衝撃の結果を発表したのだ。

 そして海外では近年、そんな「タイプD」と病気との関係が注目され、健康への様々な影響が研究されている。

 そんな中、前述の岡山大学の研究グループは、日本人に対する初の調査を行ない、さらに世界で初めて、高齢者に限定した調査を行なったのだ。研究の中心的役割を担った医師の葛西洋介氏が説明する。

「日本が高齢化社会を迎える中、高齢者に対する様々な調査の一つとして、『タイプD』の性格を持つ人がどれくらいいるのか。そしてその人たちの心理的、身体的影響を検証することで、病気などの予防に役立てられればと考えました」

 件の研究は、2010年8月に岡山県内の3市町に居住する65歳以上の住民全員に調査票を郵送し、回収された1万3929人を分析した。その結果、「タイプD」の人の割合は、実に46.3%に上った。つまり、日本の高齢者のおよそ2人に1人が「タイプD」の性格だったことになるのだ。

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