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浮気で離婚した後に元妻の不貞が発覚 慰謝料の減額は可能か

 夫が浮気により離婚したとなれば、男性が責任を問われるのは当然だが、浮気で離婚した後に、実は元妻側にも不貞が発覚したような場合、慰謝料などの減額は可能なのだろうか? 弁護士の竹下正己氏はこう回答している

【質問】
 私の浮気がバレて離婚が成立しました。離婚調停では、その浮気が問題となり、元妻の要望どおりの慰謝料と自宅の権利をもっていかれてしまいました。しかし、その後に元妻も不貞していたことが発覚。この場合、改めて調停を求め、慰謝料の減額や自宅を取り戻すことは可能なのでしょうか。

【回答】
 調停は、和解の一種です。和解は、紛争を解決し、蒸し返しをさせない効力があります。争いとなった権利関係で話がついた以上、矛盾する証拠が後から出てきても、和解どおりに権利が定まったこととして文句はいえません。調停の場で、元妻の不貞行為の有無が問題になっていたとすれば、そのことを前提で調停したのですから、浮気の確証が調停の後で取れても後の祭りです。

 次に元妻の貞淑を信じていたからこそ一方的に責任を認めて、本来の財産分与以上に沢山の財産を渡したとすれば、あなたには誤解があったことになります。民法第95条では「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする」と定めています。

 そこで離婚することはともかく、財産分与の約束は錯誤で無効といいたいところです。しかし、元妻が貞淑だったとの認識は、あなたが不利な調停に応じた動機に止まります。そして、動機は意思表示そのものではありません。そこで、こういう動機だから調停に応じるということが表明されていないと、無効にはなりません。調停の場で元妻の浮気などがまったく話題にもなっていなければ、錯誤無効の主張は無理です。

 しかし、不貞は不法行為で、あなたはその責任を取りました。調停で争点にならなかった元妻の浮気が判明した場合、元妻の不法行為に基づく慰謝料請求が可能です。

 ただ厄介なのは、調停条項中に「他に債権債務はないことを確認する」という「包括的清算条項」がある場合です。元妻はこれを盾に取るでしょう。しかし最高裁は、交通事故の示談後、思いがけない後遺症が出た事案で、示談当時予想できなかった不測の事態に関する損害まで放棄したと解すべきではないと判断しています。諦めることはありません。

※週刊ポスト2014年1月31日号

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