「歯茎には血管がありますが、歯には血管がないので、栄養分として体の内側からカルシウムを届けることはできないんですよ。微量ですが、だ液にカルシウムが含まれていて、再石灰化できるのは、だ液に溶けているカルシウムだけです。でもカルシウムというのは水に溶けにくい性質で、一般的なカルシウム剤は普通はだ液に溶けません」(釜阪さん)
カルシウムが必要だからと牛乳を口に含んでも、歯にカルシウムがつくわけではなく、だ液には溶けずに栄養分として吸収されるため、骨には届くが歯には届かない。
「水に溶けやすい水溶性のカルシウムであれば、再石灰化を促進するガムの開発が可能になると考えました。実は商品名の『POs-Ca』というのは、水溶性カルシウムであるリン酸化オリゴ糖カルシウムの物質名の略です。このリン酸化オリゴ糖カルシウムが配合された『POs-Ca』は、さらに優れた再石灰化促進を実現し、再結晶化(歯の結晶構造を回復)・再硬化(硬い歯を取り戻す)の効果が実証された唯一のガムなんですよ」(釜阪さん)
大阪歯科大学の臨床実験では三重県下のある小学校で、給食後『POs-Ca』および『POs-Ca F』を2粒5分間噛む――というのを1年以上継続。その結果、エナメル質の再石灰化・再結晶化が進み、初期虫歯が改善されたケースが確認された。
「ウェブサイトの『POs-Ca TV-CM』動画の一部でも紹介していますが、兵庫県に世界最高レベルの設備を持つ、『SPring-8(スプリングエイト)』という実験施設があります。宇宙探査機・はやぶさが持ち帰った超微粒子を分析するなど、世界有数の研究機関です。
その最先端テクノロジーによって、『POs-Ca』を噛んでカルシウムが浸透した歯の再結晶化が、科学的にも証明されました。さらに『SPring-8』では、社会経済などの発展に寄与することが期待される研究成果を1年間に一つだけ、実施した何千件もの実験から選ぶ『ひょうごSPring-8賞』という賞があり、2010年度に『POs-Ca』が食品で初めて受賞したんです」(栗木所長)
ガムの機能レベルには、キシリトールなどの代替甘味料によって、初期虫歯の原因になる酸を作らせないようにした第1世代。酸で失われたカルシウムを補う機能(再石灰化)を持たせた第2世代、近年はさらに進化した機能(再石灰化・再結晶化・再硬化)を持つ第3世代領域に突入しているという。こうしたガムの進化は、世界的にもオーラル(口腔)ケアが健康に重要な役割を果たすことが認知され、歯磨きやデンタルリンスと並び、ガムが歯の健康を促進するアイテムとしてニーズが高まっているためだ。