国内

日本で政権交代が難しい理由 自民党が「政党ではない」から

 みんなの党・前代表である渡辺喜美衆議院議員が8億円もの大金を借りていたことが発覚して以来、政治の世界がにぎやかだ。政党がどのように再編されるのかといった方向へ興味が移りつつある。しかし大前研一氏は、戦後日本の自民党政治について問題提起している。

 * * *
 みんなの党の渡辺喜美前代表が化粧品会社ディーエイチシー(DHC)の吉田嘉明会長から8億円もの巨額の借入金をしていた問題は、浅尾慶一郎新代表の下での同党の帰趨(きすう)と野党再編の動きに焦点が移りつつある。だが、私がいま問題にしたいのは、今回の一件から見えてくる戦後日本の自民党政治の救いがたい宿痾(しゅくあ)についてだ。

 振り返れば、2009年に歴史的な政権交代で民主党政権が誕生した。1955年の保守合同から半世紀以上にわたる期間のほとんどで事実上の一党独裁を続けてきた自民党に対し、国民が制裁を下したのである。

 しかし、そこでリーダー不在によって頓挫した“アラブの春”現象が起こり、民主党はオウンゴールで失点を重ねて政権担当能力がなかったことを露呈した。それに失望した国民は、二度と民主党には任せられないということで、自民党が政権に復帰したわけである。

 なぜ、日本は政権交代が難しいのか? 端的に言えば、自民党が「政党ではない」からだ。自民党には政党としての筋の通った政策がないのである。

 たとえば、アメリカの場合、共和党は小さな政府で経営者寄り、民主党は大きな政府で労働者寄りと政策の対立軸がはっきりしている。イギリスやオーストラリアの保守党と労働党も同様の構図である。

 一方、自民党はどちらかというと経営者寄りと言いながら、実際にやってきたことは「大きな政府」で、北欧にもないような高度福祉社会の実現と弱者・敗者の救済だ。そういう矛盾した状況になったのは、もともと自民党が自由党と日本民主党の寄り合い所帯の根拠薄弱な政党で、アメリカで言えば共和党に近い派閥も民主党に近い派閥も丸ごと抱えているからだ。これは他の国にはない政党のキャラクターである。

 つまり、自民党というのは、いわば商業ビルの「109」スタイルで、右から左まで何でもござれの“よろず陳情受付所”“すべての票を取り込むための総合デパート”なのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《5か月ぶりの表舞台直前で》米倉涼子、ギリギリまで調整も…主演映画の試写会前日に“書類送検”報道 出席が見送られていた
NEWSポストセブン
天皇皇后、愛子さま
《溜席の着物美人が2日連続で初場所に登場》6年ぶりの天覧相撲に感じた厳粛さを語る 力士のみならず観客も集中し、「弓取り式が終わるまで帰る人がいなかった」
NEWSポストセブン
アメリカのトランプ大統領と、グリーンランド連帯の最前線に立つ41歳女性・市民団体代表(左/EPA=時事、右/Instagramより)
〈国家が消されるかも…〉グリーンランド連帯の最前線に立つ41歳女性・市民団体代表からのメッセージ “トランプによる併合”への恐怖「これは外交交渉ではない」
NEWSポストセブン
肺がんのため亡くなったフリーアナウンサーの久米宏さん(時事通信フォト)
《キー局に就職した有名アナも》久米宏さんに憧れて男性アナウンサーを目指した人たち 爆笑問題・田中はTBSラジオでのバイト時代に「久米宏さんになりたかった」
NEWSポストセブン
米倉涼子が書類送検されたことがわかった
《ゲッソリ痩せた姿で取調室に通う日々》米倉涼子が麻薬取締法違反で書類送検、昨年末に“捜査終了”の匂わせ 元日にはファンに「ありがとう」と発信
NEWSポストセブン
 相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
「美しすぎて語彙力消失した」6年ぶりの天覧相撲 雅子さまは薄紫の着物、愛子さまは桜色の振袖姿でご観戦
NEWSポストセブン
次期衆院選への不出馬を表明する自民党の菅義偉元首相(時事通信フォト)
《一体今は何キロなのか…》菅義偉元首相が引退を表明「健康状態は全く問題ない」断言から1年足らずでの決断 かつて周囲を驚かせた“10キロ以上の激ヤセ”
NEWSポストセブン
“メンタルの強さ”も際立つ都玲華(Getty Images)
《30歳差コーチと禁断愛報道》女子プロゴルフ・都玲華、“スキャンダルの先輩”トリプルボギー不倫の先輩3人とセミナー同席 際立った“メンタルの強さ”
週刊ポスト
相撲観戦のため、国技館へ訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2026年1月18日、撮影/JMPA)
《周囲の席には宮内庁関係者がビッチリ》愛子さま、特別な一着で「天覧相撲」にサプライズ登場…ピンクの振袖姿は“ひときわ華やか”な装い
NEWSポストセブン
女優のジェニファー・ローレンス(dpa/時事通信フォト)
<自撮りヌード流出の被害も……>アメリカ人女優が『ゴールデン・グローブ賞』で「ほぼ裸!」ドレス姿に周囲が騒然
NEWSポストセブン
次期衆院選への不出馬を表明する自民党の菅義偉元首相(時事通信フォト)
「菅さんに話しても、もうほとんど反応ない」菅義偉元首相が政界引退…霞が関を支配した“恐怖の官房長官”の容態とは《叩き上げ政治家の剛腕秘話》
NEWSポストセブン
ボニー・ブルーがマンU主将から「発散させてくれ」に逆オファーか(左/EPA=時事、右/DPPI via AFP)
「12時間で1057人と行為」英・金髪インフルエンサーに「発散させてくれ…」ハッキング被害にあったマンU・主将アカウントが名指し投稿して現地SNSが騒然
NEWSポストセブン