ビジネス

二重三重の電源喪失対策 設計上原発の安全性格段に高まった

 電力需給見通しが発表された。すべての原発を停止したままでも夏に高まる電力需要をなんとか乗り切れる見通しではあるが、昨夏より1.6ポイント悪化した4.6%という厳しい状況だ。経営コンサルタントの大前研一氏が、原発の安全性について解説する。

 * * *
 原発を持つ電力9社が試算した今夏の電力需給見通しが発表された。原発再稼働を織り込まない9社平均の予備率(最大需要に対する供給余力)は4.6%だが、福島第一原発事故前の原発依存度が高かった関西電力と九州電力は、東京電力からの融通(関電38万kW、九電20万kW)によって、ようやく最低限必要とされる3%を確保するという綱渡り状態だ。

 融通を受けないと予備率は関電1.8%、九電1.3%にすぎず、しかも3%では、もし大型火力発電所でトラブルが起きたらブラックアウト(大停電)の危険がある。

 その一方で、政府は先ごろ閣議決定したエネルギー基本計画で、石炭火力とともに原子力を、昼夜を問わず低いコストで安定的に発電できる「ベースロード電源」と位置付けて再評価した。これに対し、反原発派は「福島の教訓はどうなったのか」と反発している。

 だが、政府組織の対応や地元自治体との連携・役割分担、電力会社の情報共有、万一の時の避難対策などのソフト面はともかく、ハード面から見る限り、原発の安全性は福島の教訓に学んで格段に高まっている。

 ハード面の福島の教訓とは、2012年7月に上梓した拙著『原発再稼働「最後の条件」』(小学館)などで指摘したように、原子炉自体は自動的にスクラム(緊急停止)できたので「電源さえ喪失しなければ冷却して冷温停止に持っていける」ということだ。すでに東電の柏崎刈羽原発や関電の大飯原発などは、それを踏まえて電源喪失に陥らないための二重三重の対策が講じられている。

関連キーワード

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト