だが、いくら財布のヒモが緩くなろうとも、デフレ時代に植え込まれた消費者の敏感な価格意識がそう簡単に崩れるとも思えない。
「大手メーカーのハムやソーセージが値上げするなら、子供のお弁当に入れる回数を減らしたりスーパーのPB商品で代用したりするしかない」(40代主婦)と、“生活防衛宣言”をする巷の声も聞かれた。
流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏は、イオンやセブン&アイなど大手小売店や卸売業者が企画する、このPB(プライベートブランド)商品のさらなる台頭を予測する。
「いまのPBはひと昔前の“安かろう悪かろう”といったイメージはなく、むしろナショナルブランド(NB)をも凌駕する品質と価格競争力を持っています。食品メーカーは自社の冠をつけなくてもPB商品を作れば一定の販売数量も約束されます。
仮に、食品メーカーが自社の主力商品値上げで売り上げが落ちるようなら、新たな特徴を持たせた商品を開発し、大手スーパーやコンビニ向けのPB戦略を加速させるでしょう。新商品として売り出せば、価格や内容量で批判されることもありませんしね」(鈴木氏)
とはいえ、消費者の目を逸らす目的でPBをヒットさせられるほど甘い世界ではない。
「セブン&アイのPB『金の~』シリーズが人気になっているように、価格一辺倒ではない消費者ニーズは、上質なプレミアム志向で需要を拡大させています。単なるNBの“二番煎じ”で売れる時代ではありません」(前出・鈴木氏)
さて、夏の値上げ商品はどこまで消費者の購買意欲を繋ぎ止めておけるのか。