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元祖ゆるキャラのムーミン 作家生誕100周年で新たなブーム

ムーミンとは「存在するもの」。作者生誕100周年で新たなブーム

 8月9日は“ムーミンの日”。この日はムーミン・シリーズの作者トーベ・ヤンソンの誕生日であることから、10年前にムーミンの日と定められた。今年はヤンソンの生誕100周年という記念の年で、すでにかつてない規模の「MOOMIN!ムーミン展」が全国を巡回し、関連書籍が続々出版されるなど、新たなブームが起きている。来年には日本にムーミンのテーマパークも建設される予定だ。キャラクター大国である我が国において愛され続けるフィンランドのキャラクターたちの人気の理由とは――。

 猛暑の午後、長い行列ができているのはムーミンベーカリー&カフェ(東京ドームシティ・ラクーア店)。ここでは北欧の家庭料理や、ムーミン・シリーズのキャラクターたちをモチーフにした可愛らしい料理を楽しめる。等身大のムーミンやムーミンパパが相席してくれることでも話題だ。子供のみならず女性を中心に大人にも人気で、「平日の午前中など、少し空いている時間に一人で来てムーミンを見ていると癒されます」と30代女性は語る。

 ムーミンが日本に上陸したのは1964年。「ムーミン谷の冬」が『少年少女新世界文学全集』(講談社)に収録された。1969年にアニメのテレビ放送が始まると一躍、子供たちの人気ものに。岸田今日子が声優を務めた温かみのあるムーミンの声を覚えている方も多いのではないだろうか。90年代入ると、作者のヤンソンが監修に参加したアニメが新たに日本で制作される。この作品は翌年から母国フィンランドに輸出され、さらに欧州やアジアなど世界各地で放送されて、世界的なムーミン人気に一役買った。

 現在日本は、フィンランドに次いで世界で2番目に多くのムーミンファンがいる国だという(Moomin Characters マネージング・ディレクター Roleff Kråkström氏)。ヤンソン生誕100周年の今年6月にはムーミンの日本公式ウェブサイトもオープンした。

 ムーミンとはカバではなく、ムーミントロール族。トロールとは北欧の神話などに出てくる醜い生き物で、妖精と言われることもあるが、作者のヤンソンはムーミンについて「彼らは人間でも動物でもありません。もちろん妖精でもありません。しいて言えば、“存在するもの”かしら…」と述べている。ちなみに大きさは「大体、電話帳くらいの大きさかしら」(ヤンソン、『MOE×ムーミンの公式ガイド』より)。

 ムーミンのほかにスナフキンやミイ(リトルミイ)などの個性的なキャラクターも人気だ。ヤンソンが「私も彼のようになりたい」(出典・同上)と語っているスナフキンは、自由と孤独を愛し、哲学を持つ旅人。人好きだけれど、決して群れない。「だれかを崇拝しすぎると、ほんとうの自由は、得られないんだよ」「明日もきのうも遠く離れている」などの名言がファンの心をつかんでいる。

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