ライフ

進行性がんで半身まひ パチンコのため訓練し杖で歩行可能に

 パチンコや競馬などのギャンブル、インターネット、アルコールなど様々なものへの依存症患者が増えていると報じられている。ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が、最新刊『1%の力』(河出書房新社)でつづったエピソードから、好きなことを思い切り楽しみながら依存症にならず、限られた人生を楽しく生きたパチンコ好きな男性の例を紹介する。

 * * *
 9月17日に『1%の力』(河出書房新社)という新刊を上梓した。その中に次のような話を書いた。

 4年前、ある女性が男の子を産んだ。文字通り幸せの絶頂で、子どもが2か月になろうとしていたとき、夫の胃と肺に進行性のがんが見つかった。28歳の妻は、子育てをしながら愛する夫のために徹底的に尽くそうと考えた。

 ところが進行性のがんを封じ込めることはできず、肺から脳に転移し、右半身まひを発症する。嚥下障害にもなり、食道に穴を開け、そこから管で栄養を摂取するようになっていった。

 当の夫はずいぶんとやんちゃな人だった。病院でも新聞を読みながら競艇の舟券を妻に買いに行かせた。妻が「何かしてほしいことがある?」と聞くと、「家に帰りたい。一緒にいてくれたらそれでええ」と夫は返した。

 病院からは「こんなに重病の人が家で生活できるわけがない」と引き留められたが、最終的には夫がしたいようにさせた。

「暇やからパチンコがしたいなあ」と夫が言い出した。妻は車椅子で連れ出そうと考えていた。しかし夫は「パチンコのために」と言い出し、片方にまひがあるにもかかわらず根性で猛訓練をし、杖をついて歩けるようにまでなった。

 やりたいことをやろうとするとき、人間には不思議な力が湧いてくる。時折襲ってくる激痛には、食道ろうから痛み止めを入れてパチンコをやっていた。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン