米国スポーツ専門局ESPNによれば、昨年までの過去5年で肘の手術を受けた大リーグ投手は108人。今季はマット・ムーア(レイズ)、クリス・メドレン(ブレーブス)らエース級の若手投手が手術を受け、過去最多の30人近くに上った。メジャーに渡った日本人選手では田澤のほか、松坂大輔、藤川球児、和田毅が手術を選択した。
では本当に手術すれば球が速くなるのか。日本整形外科認定スポーツ医で京都警察病院の古川泰三・診療部長は、「故障前より球威が増すことは十分考えられる」と語る。
「ただし、新しい腱が元々あった傷んだ靭帯よりも強かったから速くなったなどということはありません。これはあくまでも術後の体のケアによるものです。
肘の負担を減らすために行なうリハビリ・筋トレで総合的な身体機能が向上することや、肘に負担を与えないためのフォーム改造によって、投球バランスが改善された結果と考えられます。また、術前に抱えていた痛みや不安感が解消されることにより、全力投球できるようになったという面もあるでしょう。
しかしそれには、適切な体のケアやトレーニング法を知っていなければならず、そうしたノウハウがないと術後の成績は悪くなります。術後のリハビリを含めた専門的な知識が必要な手術なのです」
※週刊ポスト2014年10月10日号