スポーツ

トミー・ジョン手術 球速増し投球内容良くなるとの考え方も

 完治したとは言い難いこともあり、米国ではヤンキース・田中将大に「トミー・ジョン手術を受けるべきだ」とする声が大きい。
 
 田中に右肘側副靭帯の部分断裂が発覚したのは7月のことだった。肘の腱を再建する「トミー・ジョン手術」を受けるか否かの判断に注目が集まったが、田中は手術を回避。メスを入れずに、血小板を患部に注射して損傷した組織を再生させる「PRP治療」を選択した。
 
 しかし米国ではこの判断に対し、当初から疑問の声が多数を占めていた。
 
 ニューヨークの地元紙『Newsday』は故障発覚直後から「タナカはトミー・ジョン手術を受けるべきだ」とする記事を掲載。2012年にメジャーデビューした剛腕、マット・ハービー(メッツ)がPRP治療後の投球で患部を悪化させ、結果的には手術に踏み切った事例を引き合いに出し、田中に手術を迫った。
 
 その背景には「異変があれば即手術」が常識になっている米国の事情もある。大リーグに詳しいジャーナリスト、福島良一氏の話。
 
「実は今年は、トミー・ジョン手術の初の執刀から40年の節目。この間の医学の進歩により、成功率も格段に上がりました。そのうえ最近では、手術前よりも球速が上がり、投球内容も良くなると考えられるようになっています」

 確かに最近の米球界では手術を経験した選手の活躍が目立つ。

「米球界の至宝」と呼ばれて2010年にメジャー入りしたスティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)は入団した年に肘を故障してトミー・ジョン手術を受けた。1年のリハビリ後に注目されたのはその球速だ。もともと平均150キロ台後半をマークしていた速球派だが、手術後には160キロオーバーを連発。「術後のほうが速くなった」と騒がれた。

 日本人にも同様のケースが見られる。田澤純一(レッドソックス)だ。日本での社会人時代は最速150キロだったが、2010年に手術を受けて復帰した翌年以降は球威を増し、2012年には最速156キロを記録。リリーフ陣の柱として、今年も日本人初となる2年連続70試合登板を達成した。

「彼らの活躍があるからか、最近では年齢が若いほど手術で球速が速くなると考えられているようです」(前出・福島氏)

関連記事

トピックス

中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
「山健組組長がヒットマンに」「ケーキ片手に発砲」「ラーメン店店主銃撃」公判がまったく進まない“重大事件の現在”《山口組分裂抗争終結後に残された謎》
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
財務省の「隠された不祥事リスト」を入手(時事通信フォト)
《スクープ公開》財務省「隠された不祥事リスト」入手 過去1年の間にも警察から遺失物を詐取しようとした大阪税関職員、神戸税関の職員はアワビを“密漁”、500万円貸付け受け「利益供与」で処分
週刊ポスト
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン