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小栗演じる信長とクドカン新作は「運動神経」で楽しむドラマ

2014.10.18 16:00

 ドラマウォッチャーにとっては忙しくも胸高なる季節。今期の注目作の出来栄えはどうか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 秋ドラマの話題作がスタートしました。久々の月9での小栗旬主演、しかもこの枠で初の時代劇と注目される「信長協奏曲」(フジテレビ系午後9時)、初回視聴率は15.8%。一方、宮藤官九郎脚本・錦戸亮主演の「ごめんね青春!」(TBS系日曜午後9時)は10.1%。録画視聴も当たり前の今、もはや視聴率という数字の意味はよくわかりませんが、ドラマ内容を見る限り、どちらも実にいい感じで走り出しました。

「信長協奏曲」は、勉強嫌いで歴史に全く興味がない高校生(小栗旬)が、戦国時代にタイムスリップ。いきなり織田信長として生きていく、という破天荒な設定。「典型的な現代の若者」が「武士」になるという超飛躍。それを、実に楽しげに躍動感たっぷりに、イキイキと演じる小栗旬の姿がいい。軽やかな身体は、まるで子犬のように跳ね回っている。脇の役者陣--柴咲コウ、向井理、柳楽優弥……それぞれの個性もよく際立っています。

 一方、「ごめんね青春!」は静岡県三島市の男子・女子高校を舞台にした学園コメディ。脚本担当クドカンは、学園ものにありがちな「いじめ、学級崩壊、妊娠は、一切やらない」と封印したとか。えらい。男子校と女子校を舞台にした青春ドラマ、つまり「凡庸さ」を土俵にするという宣言です。

 平凡な日常の中でどこまでぶっ飛べるか。突き抜けるか。転がるか。ふざけた台詞の応酬、その合間にふと滲み出す、ほろ苦い青春の風景。そのリアリティが視聴者の胸にぐっと響く。

 二つのドラマに、共通する点が見てとれそうです。それは、スピード感。切り替えの多用。転換の素早さ。ハジケていく言葉と身体。個性的なキャラクターが次々に入れ替わり立ち替わり登場。両者ともに、ライク・ア・ローリングストーン的ドラマ、と言えるでしょう。

 従来のように、ストーリーをじっくりと追って犯人を特定したり、登場人物にじんわりと感情移入して一緒に悩んだり泣いたり、といったドラマの形にとらわれない。作り手と受け手の「運動神経」で楽しむドラマスタイルです。

 一方、こうしたハジけたドラマと相前後して、対照的な、従来手法によるドラマも始まっています。「さよなら私」(NHK火曜午後10時)。20年ぶりに再会した親友同士を演じるのは、永作博美と石田ゆり子。今は専業主婦と映画プロデューサー、対照的な生き方をしている二人。ところが、一緒に階段からころげ落ちた時、互いの心が入れ替わってしまう……。

 って、現代人が戦国武将になるのと同様、無茶苦茶な設定。まぁ、フィクションだから無茶は無茶としてありうるけれど。大林映画「転校生」のパクリなのか、それともパロディのつもりなのか。

「さよなら私」はスピード感も身体感覚も特筆すべき工夫がなく、ただ筋を追いかける旧来のドラマ手法。それでいていきなり、「はい、二人の人格は今入れ替わりました」とか言われても……見ている側には困惑が広がるばかり。

 ドラマウォッチャーにとっては忙しくも胸高なる季節。今期の注目作の出来栄えはどうか。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

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 秋ドラマの話題作がスタートしました。久々の月9での小栗旬主演、しかもこの枠で初の時代劇と注目される「信長協奏曲」(フジテレビ系午後9時)、初回視聴率は15.8%。一方、宮藤官九郎脚本・錦戸亮主演の「ごめんね青春!」(TBS系日曜午後9時)は10.1%。録画視聴も当たり前の今、もはや視聴率という数字の意味はよくわかりませんが、ドラマ内容を見る限り、どちらも実にいい感じで走り出しました。

「信長協奏曲」は、勉強嫌いで歴史に全く興味がない高校生(小栗旬)が、戦国時代にタイムスリップ。いきなり織田信長として生きていく、という破天荒な設定。「典型的な現代の若者」が「武士」になるという超飛躍。それを、実に楽しげに躍動感たっぷりに、イキイキと演じる小栗旬の姿がいい。軽やかな身体は、まるで子犬のように跳ね回っている。脇の役者陣--柴咲コウ、向井理、柳楽優弥……それぞれの個性もよく際立っています。

 一方、「ごめんね青春!」は静岡県三島市の男子・女子高校を舞台にした学園コメディ。脚本担当クドカンは、学園ものにありがちな「いじめ、学級崩壊、妊娠は、一切やらない」と封印したとか。えらい。男子校と女子校を舞台にした青春ドラマ、つまり「凡庸さ」を土俵にするという宣言です。

 平凡な日常の中でどこまでぶっ飛べるか。突き抜けるか。転がるか。ふざけた台詞の応酬、その合間にふと滲み出す、ほろ苦い青春の風景。そのリアリティが視聴者の胸にぐっと響く。

 二つのドラマに、共通する点が見てとれそうです。それは、スピード感。切り替えの多用。転換の素早さ。ハジケていく言葉と身体。個性的なキャラクターが次々に入れ替わり立ち替わり登場。両者ともに、ライク・ア・ローリングストーン的ドラマ、と言えるでしょう。

 従来のように、ストーリーをじっくりと追って犯人を特定したり、登場人物にじんわりと感情移入して一緒に悩んだり泣いたり、といったドラマの形にとらわれない。作り手と受け手の「運動神経」で楽しむドラマスタイルです。

 一方、こうしたハジけたドラマと相前後して、対照的な、従来手法によるドラマも始まっています。「さよなら私」(NHK火曜午後10時)。20年ぶりに再会した親友同士を演じるのは、永作博美と石田ゆり子。今は専業主婦と映画プロデューサー、対照的な生き方をしている二人。ところが、一緒に階段からころげ落ちた時、互いの心が入れ替わってしまう……。

 って、現代人が戦国武将になるのと同様、無茶苦茶な設定。まぁ、フィクションだから無茶は無茶としてありうるけれど。大林映画「転校生」のパクリなのか、それともパロディのつもりなのか。

「さよなら私」はスピード感も身体感覚も特筆すべき工夫がなく、ただ筋を追いかける旧来のドラマ手法。それでいていきなり、「はい、二人の人格は今入れ替わりました」とか言われても……見ている側には困惑が広がるばかり。

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