芸能

マッサン視聴率低下の原因 玉山鉄二がろくに働かないからか

「国民的」であることに変わりはないのだが…。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が朝ドラの現状を分析した。

 * * *
 NHKの朝ドラに異変が。「マッサン」の第8週週間平均視聴率が、19.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録し話題を集めています。というのも、「ごちそうさん」から「花子とアン」まで、すべての週で週間平均は20%超えだったから。つまり、「あまちゃん」以来の20%割れ、らしい。

 ではなぜ、「マッサン」の視聴率が落ちてきたのでしょうか?

 原因を分析する声が、あちらこちらから聞こえます。多くの人は、「遅々として進まない展開」にイライラしているもよう。簡単に言えば、開始から2ヶ月たってもウイスキー作りに飛び込んでいかない、煮え切らない主人公に幻滅、そんな意見が目につきます。

 たしかに、ストーリー展開の遅さは視聴者離れの一因かも。けれども、もっと別の要因もあるのでは?

 ちょうど2日ほど前、ユネスコは「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」を無形文化遺産に登録することを決めました。丁寧なモノ作り、職人仕事の価値再発見。今、世界的に再評価されているタイミングです。
 一般的に、「職人」という言葉から受けるイメージは……自分の仕事に信念を持ち、謙虚で、努力家。コツコツと仕事をし、人が見ていないところでも自分自身の課題に向かって工夫を重ねる。寡黙で、問題を誰かのせいにしたりしない……。

 では、「マッサン」は? 問題の所在が見えてこないでしょうか?

 ご存じのように、主人公のモデルは、「ウイスキーの父」と呼ばれたニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝。まさにモノ作りの象徴の一人です。ところが、その人物の描き方が、私たちが抱く「職人」のイメージや期待感と、大きなズレを生んでいるのです。

 玉山鉄二演じるマッサン・亀山政春は、ろくに働かない。昼まで家でぐだぐた。家賃は払わずに滞納。ご都合主義で突然、小説家になるとか、パン屋になるとか言い出す。

 ウイスキー作りに目覚め、本場・スコットランドで本格的に修業してきた人であれば、モノ作りの大変さやその魅力、凄さや深さを知っているはず。そう簡単に、「パン屋になってみよう」などと言うでしょうか? 他の職人仕事をリスペクトし、思いつきでモノ作りができるなんて甘い考えは持たない、ばずでは?

 それだけではありません。ウイスキー作りが本当にやりたい仕事なのかどうか、今一つ伝わってこないのです。もし、真剣にウイスキーが作りたいのなら、可能性が少しでもある場所へ出向いて自分からその職に食らいつくはず。頭を下げるはず。ところが、マッサンはせっかくのオファーにもいろいろ文句や難点をみつけて、仕事をしようとしない。

 時に、ウイスキー作りをあきらめて実家に戻ろうと考えたりする。しかしその割には、実家の日本酒造りに対してもリスペクトや敬愛が感じられない。最も身近な「モノ作り」の現場に対してすら、見下げたような態度。そんな人物が、モノ作りの担い手として輝いて見えるでしょうか?

関連記事

トピックス

AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト