ライフ

心血管改善にA評価のDHA インフル対策にも期待の実験結果

 冬の訪れとともに、気になるのがインフルエンザ。首都圏では7年ぶりで11月中に流行が始まったことも話題となり、予防への取り組みを強めている家庭も多いだろう。そうした中、11月にDHA・EPA協議会より発表された「DHA・EPA協議会ニュースレター VOL.5」によると、秋田大学と大阪大学が実施したマウスを使った共同研究により、青魚などに含まれる不飽和脂肪酸DHAに、インフルエンザを予防・治療する働きが期待される結果が出た。

 この共同研究では、2009年に日本でも大流行した「インフルエンザ(H1N1)2009」を感染させたマウスに対して、DHA代謝物(プロテクチンD1、以下PD1)がどういった効果を表すかを検討・確認したもの。

 そのひとつは、インフルエンザ感染前と感染直後にPD1を投与したマウスと、投与していないマウスを比較。前者が感染後14日間の生存率が100%に対して、後者は10日で40%を下回るなど、PD1がインフルエンザに予防的に働くことが示された。また、PD1がインフルエンザウイルスに与える影響について調べた培養細胞を使った実験では、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する作用が確認されたという。

 こうした結果を受けて、予防医学と食の関係を研究する早稲田大学研究院の矢澤一良教授は、DHAの有用性や可能性について大きな期待を寄せる。

「予防医学は、病気になってから治療する『治療医学』とは異なり、病気にかからないことを目指しています。同じ環境で生活しても、風邪をひきやすい人とひきにくい人、生活習慣病にかかりやすい人とかかりにくい人がいます。実はその違いは食べ物にあることが少なくありません。だから食べ物を賢く選んで、ヒトの機能を調節する――その考え方が予防医学の根底を成しています。治療医学においても予防医学と同じ目的で、ワクチンを用いた予防接種が行なわれています。しかしワクチンに相当する作用を持つ食品成分も存在します。そのひとつがDHA・EPAです。

 DHA・EPAは免疫力を向上する作用がすでに認められているため、インフルエンザの予防を期待できることがわかっていました。今回の実験結果から、インフルエンザウイルスの種類にかかわらず、DHA代謝物は体内に侵入したウイルス増殖を抑制する可能性が十分にあり、このことは大変貴重な成果であるととらえています。今回見出されたDHA代謝物の作用が、DHAの摂取で起こるかという点については、現段階ではまだわかりませんが、私は今後の研究の進展により解明される可能性があると考えています」

あわせて読みたい

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン