芸能

冬ドラ 金曜テレ東の山田孝之と日曜NHKの鈴木京香に期待感

 ドラマが始まるこのタイミング、今期はどれを見るかと目移りしがちだ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が注目の2作を挙げた。

 * * *
 ハンバーグから、人の歯が出てきた。かと思えば、大学のキャンパスでは恋人に衣服をはぎ取られた全裸の男性教員が出現。まさか、という出来事が、次々に現実の中で起こる。「ドラマの時代」と言われても、ちょっとやそっとのフィクションでは、この現実の迫力に負けてしまいそうです。

 冬ドラマがスタートするこの時期。そうした刺激的現実の中で、視聴者が「見続けたい」と思うドラマを作り続けるのはたいへんな努力を要するのでは--と、制作陣のご苦労を察します。しかし、そうした刺激的な現実に対抗しようとして、ドラマの刺激をただ強めたり派手なフィクションにすればいい、というものではない。過度のドタバタやグロやおふざけは、ドラマの面白さを深めていく手法にはなかなかなりえない。

 思い返せばちょうど1年前。冬ドラマ「明日、ママがいない」(日テレ)の過激な台詞や舞台設定に、抗議が殺到しスポンサーがCMを取りやめるなど社会問題になったことは記憶に新しい。当コーナー「山下柚実 最新ドラマ時評」でも批評しましたが、テレビが刺激を志向すれば話題になる、といった時代ではもはやないということの、実例でしょう。

 今、ドラマの現場では制作陣が必死に独自のアイディアをひねり出したり、趣向を凝らしたりしている。そうした努力がヒシヒシと伝わってくるドラマが、1月9日に始まった「山田孝之の東京都北区赤羽」(テレビ東京金曜深夜)。

 何とも言えない不思議なタッチ。「連続ドキュメンタリードラマ」と銘打たれたその中身は……時代劇映画の撮影中に極度のスランプに陥った俳優・山田孝之の姿から始まる。山田はそのトランプから抜けだそうともがく。「ウヒョッ!東京都北区赤羽」(清野とおる著)という漫画に刺激を受けたと、実際に赤羽へ行き、漫画家・清野氏や赤羽の住人たちと交流していく……。

 街が舞台の、ドキュメンタリータッチ。しかし、どこか「虚構」じみている。いったいどこからがお芝居で、どこからがドキュメント? と探りたくなる。まさしく、リアルとフィクションの「あわい」がテーマであり、それを遊ぶ意欲作らしい。始まったばかりでまだ全体像はよくわからないけれど、少なくとも、ドラマという枠組みに対してとことん「ねらい」を持ちこみ、「趣向」を凝らそうと挑戦しているあたり、期待が持てます。

 もう一つ、チャレンジングなドラマが始まりました。1月11日にスタートした「だから荒野」(NHK日曜午後10時)。最初は、NHKお得意の「アラフォー女性」を狙った、いかにもドラマかなと思った。日常に疑問を抱いてしまった一主婦が、別の人生を模索して旅に出て……云々。

 ところがこのドラマ、そんな風合いをまといつつも、実は破壊的。ハチャメチャ。シリアスドラマというよりも、ハジケていたのです。主人公は、家族と家庭を一瞬にして捨て去ることを決める。葛藤は無い。ヒッチハイクで東京から九州まで逃げる。今どき、ありえない。私に言わせれば、現実性とかリアリティという枠組みをあっさりと捨て去った、中年「ファンタジー」ドラマです。

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン