そして、視聴者を惹きつけているのが、この番組のテーマである“しくじり”、つまり、失敗から教訓を学ぶという内容だろう。オリエンタルラジオが講師を務めた回は昨年10月の番組第1回で放送され、今年の正月にはその完全版がオンエアされた。オリラジはデビューしてすぐに売れっ子になりながら、あっという間に凋落したエピソードを語った。そうした経験を振り返り「なりたくてなる天狗はいない」「負けてからビッグマウスになる勇気」と言った中田敦彦の発言は注目を集め、名言としてまとめサイトにアップされたほど。
「Eテレで、各界の第一人者が学校に行って授業を行う『課外授業 ようこそ先輩』という番組がありますが、『しくじり先生』はそれと対極の番組。失敗から得られる教訓には、成功談とはまた違った説得力があります。その人が悩み、自分なりに答えを見つけてきた経験なので、リアリティーがあるし、言葉に強さがある。杉村太蔵さんの謝罪会見なんて、ネットで検索すればいくらでも出てくるけれど、本人が語るからこそ興味深い。
それに、講師役のタレントは、過去の失敗が話の中心だから、何でもあけすけに話してしまっている。そこまで言って大丈夫なの?と思わせる危なっかしさもひとつの面白さになっています。台本にない予期せぬ発言が飛び出す破壊力というのは、失敗エピソードならではだと思いますね。成功した話は“ここまでやりました”という話で終わりがちだけれども、失敗談は底なしなのかもしれない。こんなに失敗談って奥が深いのかと圧倒されましたね」(前出・ペリー荻野さん)
オリラジ中田の言葉のように、講師陣の語ったことが名言としてネットで拡散しているのは、バラエティーのネタにとどまらない失敗談の奥深さ故かもしれない。
1月22日の放送では、講師役のさとう珠緒がぶりっ子で女性から嫌われ仕事が激減したエピソードを紹介し、女性に好かれることの重要性を説いた。「プンプン」とポーズを作るなど、久しぶりにぶりっ子キャラを全開。「腹黒さ最高」「一周回って好き」といったコメントがツイッター上に溢れた。
これまでの放送回を見ると、どんな講師をキャスティングするかが番組の盛り上がりを左右すると言っていいが、前出・ペリー荻野さんはこんな提言をする。
「今なら、ゴーストライター騒動の新垣隆さん、離婚騒動の渦中にある高橋ジョージさんのしくじりエピソードはぜひ聞いてみたい」
今後の番組に注目である。