芸能

織本順吉 悪代官からいじめられっ子の父になった出来事語る

 ヤクザ映画に親分役でよく出演していた俳優の織本順吉(88)は、テレビ時代劇でも悪代官などの悪役をよく演じていた。なぜ悪役に向くようになったのか、悪役の決まりきった芝居をやらなかったときのことについて語った言葉を、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづる連載『役者は言葉でてきている』からお届けする。

 * * *
 織本順吉は1970年代、東映のヤクザ映画に数多く出演している。『仁義なき戦い 完結篇』『新仁義なき戦い 組長の首』『実録外伝 大阪電撃作戦』といった実録映画では、堂々と構えながらも実は内心ではビクついている親分役を演じ、独特のユーモラスな雰囲気を出していた。

「僕は一生懸命に怖いヤクザの親分をやっているわけです。だけど、僕がやると怖くないんですよね。『わしには貫目が足りんのじゃ』というセリフがあったんですが。要は『貫禄がない』ということですね。それを言うと、そこに出ている役者仲間たちがクスクス笑うんです。それでも、深作欣二監督はOKを出してくれました。

 深作さんには『順ちゃん、これやってくれよ』と頼まれることが多かったです。『あいつに頼めば間違いないだろう』という、一種の便利屋的な役目でした。

 親分といっても、弱者みたいな親分ばかりでしたよね。そういう時は逆にやることにしていました。強面のつもりでやると、かえってどこか弱みが出るもんなんです。僕が本気になって強気になると、そういう滑稽さが出るようで。コメディって、そういうところがありますよね。一生懸命にやると、おかしくなる。ですから、意識的に気弱な感じでやったことは、ほとんどないですね。

 作家の別役実さんから、奥さんの楠侑子さんとの二人芝居を頼まれたことがあるんですよ。渋谷のジァン・ジァンという小劇場でね。『なんで僕なんかに声かけたんですか』と別役さんに聞いたら、『俺は「仁義なき戦い」の織本さんを観て、出てもらいたいと思った』と言うんです。嬉しかったですね」

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン